第7話 嬉しい理由


「ねぇスケアクロウ、どうしてあなたはずっとここに立ってるの?」


 そよ風の心地良い午後、幼いお嬢さんがスケアクロウに聞いた。スケアクロウは少し戸惑ってから、自分の話しをした。


 自分が人ではなかった頃の話。

 お嬢さんに恋をして、ずっと彼女を待ち続けている話。


 それはとても切なくて、スケアクロウは少し悲しい気持ちで笑った。いつかだったか、そんな笑顔を向けられたことがあった気がした。


「だから僕はずっとここにいるんだよ」


 幼いお嬢さんはとても悲しい顔をしてから、自分より背の高いスケアクロウをぎゅっと抱きしめてくれた。


 悲しい気持ちは、不思議と少しだけ楽になった。


「私、スケアクロウに笑ってほしい。だから、その人をスケアクロウに会わせてあげたいわ」


 幼いお嬢さんの言葉は優しくて、スケアクロウは嬉しくなった。大好きなお嬢さんと会えるかはわからないけれど、言葉の温かさと優しさが嬉しかった。

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