第3話 蜂蜜色の髪
小さなお嬢さんとスケアクロウが出会って、たくさん時間がたった。
島国では桜が咲き、日照りがきて、紅葉を楽しみ、雪を耐えてきたスケアクロウは、ここが島国とは違う国なのだとよくわかった気がした。
お嬢さんはとても美しく育った。もう小さなお嬢さんではなくなった。碧い瞳と蜂蜜色の長い髪がもっと似合うようになって、それを見つめるのがスケアクロウは好きだった。
でもスケアクロウは、海のような瞳よりもキラキラした髪よりも、ずっとずっと、お嬢さんのことが好きだった。大好きだった。
スケアクロウはお嬢さんに恋をした。
お嬢さんが小さなお嬢さんだった頃からずっと、毎日毎日スケアクロウの名前を呼ぶので、みんなもスケアクロウの名前を覚えてくれた。
「おはよう、スケアクロウ」
(おはよう、ジョージおじさん)
「あらスケアクロウ、ごきげんよう」
(ごきげんよう、ブラウン夫人。今日もいい朝ですね)
話しかけてくれた皆に、スケアクロウも丁寧に挨拶を返した。お嬢さんも変わらず会いに来てくれた。スケアクロウはどちらも嬉しかった。この街の鳥とも仲良くなって、この国の季節にも慣れていった。
スケアクロウは幸せだった。大好きな人たちに囲まれて、大好きなお嬢さんとお話をして、こんな日がずっと続けばいいと思った。
願った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます