第3話 蜂蜜色の髪


 小さなお嬢さんとスケアクロウが出会って、たくさん時間がたった。


 島国では桜が咲き、日照りがきて、紅葉を楽しみ、雪を耐えてきたスケアクロウは、ここが島国とは違う国なのだとよくわかった気がした。


 お嬢さんはとても美しく育った。もう小さなお嬢さんではなくなった。碧い瞳と蜂蜜色の長い髪がもっと似合うようになって、それを見つめるのがスケアクロウは好きだった。


 でもスケアクロウは、海のような瞳よりもキラキラした髪よりも、ずっとずっと、お嬢さんのことが好きだった。大好きだった。


 スケアクロウはお嬢さんに恋をした。




 お嬢さんが小さなお嬢さんだった頃からずっと、毎日毎日スケアクロウの名前を呼ぶので、みんなもスケアクロウの名前を覚えてくれた。


「おはよう、スケアクロウ」

(おはよう、ジョージおじさん)


「あらスケアクロウ、ごきげんよう」

(ごきげんよう、ブラウン夫人。今日もいい朝ですね)


 話しかけてくれた皆に、スケアクロウも丁寧に挨拶を返した。お嬢さんも変わらず会いに来てくれた。スケアクロウはどちらも嬉しかった。この街の鳥とも仲良くなって、この国の季節にも慣れていった。


 スケアクロウは幸せだった。大好きな人たちに囲まれて、大好きなお嬢さんとお話をして、こんな日がずっと続けばいいと思った。


 願った。

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