女性
女性はエラを見ると、にっこりと微笑む。
「別にとって食べたりなどしないわよ」
女性は口元に手を当て、クスリと上品に笑った。
隣にいるメイドは、エラに目を向けることなく無表情に目を伏せている。
エラは女性に「ここはどこ」と問う。
警戒心むき出しのエラを、女性は宥めるように自分の向かい側にある椅子に座るよう促す。
エラはそれを拒否するように女性を睨むが、女性も黙ってエラを見つめる。
彼女の優しく慈愛に満ちた瞳に、エラは睨んでも無駄だと諦め、黙って椅子に座ることにした。
女性は「ツキエ」と言うと、メイド服を着た少女に、飲み物を出すように指示する。
ツキエとは少女の名前のようだ。
ツキエはエラのもとへ行くと、紅茶は飲めるかと尋ねた。
泥水を啜って生きてきたエラには少女の言う「紅茶」が何なのか全くわからず、無知な自分を恥じて俯いてしまう。
「それでは紅茶でいいかしら?」
女性は見かねてエラに紅茶を勧める。
「ツキエの淹れてくれる紅茶はとっても美味しいの。私が保証するわ」
女性はツキエに紅茶を入れるように言う。
ツキエは黙って頷くと、そのまま近くにあるワゴンに迎い、紅茶の準備をする。
その間に、女性はエラに自己紹介を始めた。
「こんにちはエラくん。私の名前はイバラ、この館の主人です。」
イバラと言った女性は、エラをここに連れてきた経緯を話し始めた。
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