目が覚めると
エラが目が覚めると、いつもの汚い路地裏などではなく、シャンデリアなどの装飾に彩られた、まるでお城のような部屋だった。
暖かいベットから身体を起こす。ベッドで寝ることなんて初めてだったエラには、柔らかいベッドの感触は新鮮で、むず痒くなる。
エラはここはどこなのかと辺りを見回す。白を基調とした部屋に、高そうな家具が備え付けられている。
部屋を探索しようと、ベッドの近くに設置されている大きなタンスに足を運ぶ。タンスの高さは、エラより数センチほど高い。しかしそれが丁度よく、一番上の棚にも、少し踵を上げれば簡単に手が届いた。
エラはタンスの上に何が置かれてないか探る。しかし、上には何も無く、奥側には埃が溜まっていた。
タンスだけではない。一見城のように豪華な部屋ではあるが、よく見ると天井やシャンデリアなどの高さが必要な所には、埃が溜まっていたりと手入れが行き届いていないようだった。
しかし、部屋の隅には脚立が置いてあった。これさえ使えば届かないということもないだろうが…。
エラは脚立を両手で抱え、シャンデリアの真下に置く。置いた脚立を立てると、直ぐにそれに乗りシャンデリアに届くようにと手を伸ばした。
しかし、高さが足りない。手を伸ばしたエラとシャンデリアの距離は数十センチにも及ぶ。
恐らく、この家の持ち主もエラと同様にシャンデリアに手が届かなかったのだろう。持ち主はエラと同じく子供のだということが推測できた。
シャンデリアに手が届かないことが分かるとエラは脚立を降りた。降りようとする間、脚立は不安定にグラグラと揺れる。部屋に似つかわしくない粗末な脚立に多少の違和感を覚えるが、だからといって何も思いつかないエラは、脚立のことは放っておいて、部屋を出ようとドアノブに手を添えた。
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