episode18「こんにちは、元勇者―その②―」
ディバイン
「―――と言う事で夢のような何もない空間でひいお爺様に会いました」
グラエル
「そんな事が・・・そうか・・・お爺様が・・・」
俺の話を聞いた父上は何度も頷き、何か納得したように新人の執事に何か指示を出していた。
新人執事
「お持ちしました。こちらでよろしいでしょうか?」
グラエル
「ご苦労。それを私の書斎に置いといてくれ」
新人執事
「畏まりました。」
新人であるその執事は何か古びた本を持って来てそのまま父上の書斎に持って行った。
グラエル
「お前達が言いたい事は分かる。よって食後の後、私の書斎に6人全員足を運んでくれ」
エイリ
「私も来て良いかしら?思い出に浸っておきたくて」
母上がそう言うと父上は承認するように頷く。
食事後、父上が居るであろう書斎に足を運んで扉をノックする。
ディバイン
「父上、ディバインです。母上を含めて7人全員来ました」
グラエル
『入りなさい』
父上からの入室の許可を貰い、書斎に入る。
父上の書斎はこれまでに無い程の本の量が多く置いてある。
どれも専属の加工師と呼ばれているお抱えから本の劣化を防ぐ貴重な魔法を掛けて貰っているらしい。
ディバイン
「ひいお爺様の事なんですが・・・・」
俺がそう話しを切り出すと父上が机に置いてある写真立て思って目の前にあるソファーに座る。
グラエル
「お前達も座りなさい」
父上にそう促された俺達はそのままソファーに座り、お母様が父上の隣に座る。
グラエル
「祖父は・・・幼少の私にいつもとある事を言っていた・・・。」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
時は未だ各国での揉め事のあった時代。
当時皇帝だった父上が幼い私に対して祖父の所へ向かう様毎日促していた。
まだ私はその時は10歳であるが故に政に関わる事ではないと言う事で祖父の話し相手になる事が多かった。
グラエル皇子
「お爺様~遊びに来ました!!!」
シロウ
「お~来たか可愛い孫よ、丁度お前に一つ話す事があって待っていたのだよ」
お爺様は当時ディバイン達が生まれた離宮の所で体調を理由に暫く過ごしていてな、
身体は弱々しいがお爺様は声が高らかに元気であるが為、まだ子供だった私に気遣いをしていたのだ。
そんなお爺様は私にとあることを言っていた。
シロウ
「お前は将来、皇帝となった時は―――どの派閥も関係の無い対等な人間として生きなさい。そうすれば、お前が望む本当の希望溢れる未来が待っているぞ」
その希望と言うのが―――――
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ディバイン
「俺等三人・・・ですか?」
グラエル
「うむ、まぁ正しくはお前自身だ。ディバイン」
父上がそう言って息を吐く。
母上が父上に向き直り
エイリ
「あなた、確かこの城の内部全てや帝都や領ごとの初歩的な改革はシロウお爺様が元居た故郷を基に水道の改良や食の改良や国交全て熟したのですよね?」
母上がそう言うと父上が頷き
グラエル
「始祖の魔王が討伐されて以降お爺様は何よりも国交を友好的に進める為にまずは人々の安全的な暮らしをさせたいと言う事で故郷に居た時の知識を活用して問題のある場所を全て解決に導いたのだ」
そして人神族含むすべての種族を統括する今の種族名を作ったのは父上がほんの出来心だったらしい。
各国がそれを面白く受け入れたらしく次々に今の統括種族名が出来上がったのだ。
グラエル
「お爺様がお前に会ったのも何かの運命かもしれんな・・・ディバイン、お前を正式に皇帝へと、私の次の"王"になる為に明日の戴冠式を予定通りに行う。よいな?」
そう言えば待ちに待った戴冠式は何故か予定より早めに準備が出来るらしく、何故か結婚式まで設けられていた。
ディバイン
「分かりました父上、御身のままに。」
そして次の日―――――戴冠式当日。
式は順調に進み、教会に着いた。
教会の中には態々
女神アズリア
「四代目皇帝ディバイン・リエス・オズロック、貴方を次期皇帝になる事を認めます。そして―――――」
戴冠式のついでに結婚式も同時進行する事になり、アズリア様は―――リーンを見て
女神アズリア
「リーン・シェロス、貴方をリーン・ヴェロニカ・オズロックとして皇后として双方の継承を・・・そして結婚を認めます。」
アズリア様がそう言うと天から
天神族からの祝福の雨とも言える意味合いを持っている。
ディバイン
「――――ふぅ、やる事を終えた・・・」
リーン
「お疲れ様です・・・皇帝陛下♪」
継承及び結婚式の後、パレードが外で始まり、帝都住民達からも祝福された。
勿論戴冠式と結婚式の内情については全ての領や全ての国に伝わっている。
全てを終えた後、父上は書斎と寝室と私室を俺とリーンに譲渡し、離宮に居を構えた。
ディバイン
「仕事が多くなるかと思ったらすべて父上が済ませてしまったな・・・」
リーン
「でも、明日から忙しいでしょう?各国へ挨拶参りしたりしないといけないですし」
無論、国交は大事だ。
今の自分達の国に修正するような箇所は無いし、貧しい人達に元スラム街の多くの空き家を提供し、さらに経済が回復しつつある傾向になった。
王都にある冒険者ギルドも各方面にある領内のギルドもより一層力を入れているらしい。
ディバイン
「―――リーン、今日は二人で寝るとしよう」
俺がそう切り出すと
リーン
「えぇ、アナタ」
彼女は笑顔でそう答えた。
戴冠式と結婚式の後、ロックとカースは渡された領の領主や貴族街の居住を構えたりしてそれぞれ3人別々の道を歩む事にした。
勿論二人は来年と再来年に結婚する予定なので後々心配する必要はないのだ。
ディバイン
「(もし・・・将来生れてくる子供達に・・・俺は先々の大人たちの次の見本としてやれるだろうか・・・いや)」
俺は目を閉じて
ディバイン
「(各方面にはロックやカースも居るんだ。兄弟の力を見せようじゃ無いか)」
戴冠式と結婚式を終えた事で俺とリーンのみ学校は卒業と言う形で収まる旨の話を学校側と手紙でやり取りをした。
シロウ
「やぁ、また会えたね。皇帝への就任と結婚おめでとう」
ひいお爺様と夢の中で再会し、俺はその日の事を話した。
ひいお爺様はウンウンと頷き
シロウ
「俺の時もキミと同じで緊張はしたけど案外皇帝としての自覚を持てたしなぁ~」
女神アズリア
「そうですね当時の貴方も立派でしたよ、立川士郎さん」
シロウ
「なんか・・・元の名前はこそばゆいな・・・www」
ひいお爺様は当時の名前「シロウ・リード・オズロック」として公爵の爵位を受け取り、そしてひい御婆様と結婚したのだ。
シロウ
「――――でさぁ~」
ディバイン
「あー、でも今じゃそれも吟遊詩人によって継がれてますよ」
ひいお爺様のこれまでの珍エピソードを聞いたりした。
シロウ
「マジかよ~超恥ずかしい」
話し終えた後はそのまま―――次の朝日を迎えた。
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