episode15「お店に学びに行こう」
リィンバト先生
「―――って事で皇子等が見学しに来たけどいつも通り販売頑張ってくれや」
道具屋店員ウォッテン
「分かりました。店主が別件で席を外しているので自分ウォッテンがご紹介しますね」
翌日、視察も兼ねて俺達6人とクリェスとリィンバト先生とで色んな所を見学しに行った。
道具屋の店主であるリガリお婆ちゃんは全て国にある商業関係を総括するオーナーで、随分と前に歳を気にして総括を息子さんのレイベさんに任せたらしく、こうしてオーナーが手を離せない場合はリガリ婆さんが代わりに出向いて状況を聞いているらしい。
そして今回も運が悪い事に用事が入ってしまったらしい。
ウォッテン
「―――って事でこうして品質を見て一番売れなくなって古い物は少し距離はあるんですが処理場があるのでそこで瓶ごと処理します。何故瓶ごと捨てるかについてなんですが―――」
リィンバト先生
「ふむ、俺は長年薬学だけで学んできたが・・・・ポーション以外にも色々あるんだな・・・」
販売する側であるウォッテンさんの丁重で分かりやすい説明にリィンバト先生もウンウンと納得するように頷く。
鍛冶屋店主デンデ
「おう、丁度ロック皇子達に打ち込みやらせてたからこれやるよ、俺が打ち込んだ分。ウォッテンの兄ちゃんなら正確にわかるだろ?」
ウォッテン
「分かりました。―――成程、銅の剣が100本だから・・・一本10レガで銅貨一枚になるんで・・・1000レガですね」
因みにロックたち4人はせっせと道具屋と提携している鍛冶屋にクリェスと見学している。
俺とリーンは薬学を学んだ身なのでどういう感じに道具屋に販売されているか見学しているのだ。
店主デンデ
「ん~、一本ずつ売るんだったらもうちと安くならねぇか?」
ウォッテン
「ですがどれもデンデさんが打つと品質がより一層向上しているんで値上がりはしやすいんですよねぇ」
道具屋と言えば買う客との交渉も兼ねている。
ウォッテンさんの場合だと―――
店主デンデ
「んならこっちの鉄の剣と鋼の剣見てくれ」
ウォッテン
「ん―――そうですね・・・それじゃあディバイン様、どのような値段になるか当ててみて下さい」
ディバイン
「分かりました。―――んーと、鉄の剣が100本だけど・・・一本だけ200レガで残りは一本15レガですね」
何故その値段なのか、それは―――
ディバイン
「99本は大体ウチの弟達が初めて打ち込んだヤツですよね?だから一本15レガ。なんで一本だけデンデさんが打ち込んで俺を試したんですよね?」
リーン
「こればかりは長年培ってきた知識のお陰ね」
鍛冶屋の店主であるデンデさんが苦笑いしながら「バレちったか」と言う。
店主デンデ
「よし、それじゃその値段で売ってくれ、鋼の剣も鉄の剣と同じ打ち込み癖でな、その値段になるはずだよ」
デンデさんの言う通り鋼の剣も鑑定してみた所、やはりデンデさんの言う通り一本のみデンデさんが打ち込んだらしく、鉄の剣と同価値だった。
カース
「―――デンデさん、打ち込み終えて醒まして丈夫になった奴は城に戻って部下達に渡しますね」
店主デンデ
「おう、持って行きな。カース様」
シェノン
「ディバイン様、私はロック様とまだ打ち込んでます」
ディバイン
「おう、分かった」
丁度ヴィーナも出て来て鞘に納めている剣を両手で持って出て来た。
クリェス宰相
「リィンバト先生、私はこれからカース様とヴィーナ様と一緒に城に戻るので後の事はよろしくお願いします」
クリェスがリィンバト先生にそう言うと
リィンバト先生
「おう、子守は任せな」
そうしてクリェスはカースとヴィーナと一緒に城の方へ戻って行った。
リーン
「そーだ、この道具屋で一番売れやすいのって
リーンがそう言うとウォッテンさんが
ウォッテン
「そうですね、リーン様の仰る通りです。大体買うのは貴族の護衛や冒険者よりも騎士団の方が多いので」
防具一式揃える冒険者は大体一括で支払える程で貴族は大体装備品を整える事が多くめったに道具屋に出向かない。
なので騎士団が銅の剣や装備品を人数分買って来る事が少しずつ増えている為、卸業者よりもこうして直接関係者が二人か三人程買い付けに来る事がある。
ディバイン
「ん・・・?これは・・・魔剣と聖剣?」
俺が見た先に飾ってあるのは禍々しいオーラを放っている魔剣と神々しく輝いている聖剣だ。
防具一式も軽めの感じになっている。
ウォッテン
「あ~それは元
どうやらその伝説の剣独特のオーラを感じ取れる人はあまりいないらしい
ディバイン
「成程(店主が確か80歳ほどだから70と数年前程か・・・大帝国が勇者を
俺はウォッテンさんから聞いた勇者の事についてふと気づいた事がある。
まだ鍛冶をしているロック達に声をかける事にした。
ディバイン
「なぁロック、父上達から勇者の事について聞いた事無いか?」
俺がそう聞くと打ち込みの部屋からロックが出て来て
ロック
「勇者についてですか?それなら大帝国の歴史について父上の幼少期から世話になっていた元教育係のセダリアさんから聞きました」
セダリア・ガリル、貴族の中でもガリル一族だけ勇者の居た時代に長年共に長生きしていた一族である。
彼はその一族の中でも長寿でエルフと人間のハーフなのでは?と言われる程美形だ。
昔父上が若い時に教育係として教えをしていた逸材らしい。
リィンバト先生
「セダリア・・・?まさかのまさかで師匠から学んだ人が居たとは」
リィンバト先生はどうやらセダリアさんと師弟関係だったらしい。
聞いてみる事にした。
リィンバト
「俺の薬学に特化した知識は全部師匠からの受け売りでな、良かったらウチに居候しているんで会いに来ます?」
ディバイン
「俺とリーンで行く事にする。それと・・・リガリ婆さん、この装備品持って行っていいか?」
俺は何もない所から声をかけた。
すると、陰からリガリおばあさんが出て来てその場にいた全員が驚いた。
俺と
凄腕会長リガリ・カミカゼ
「やっぱ若は視力良いねぇ、魔力との相性もいい。良いよ、持って行きな」
俺の感覚からしたらこのお婆さん、俺等が居る事に気付いてて皆に気付かれない様に透明化の魔法を自分に発動させたんだよなぁ・・・言わないでおこう
店主リガリ
「この二つの剣は魔力の波長が同調していれば勇者様ぐらいか勇者様の子孫ぐらいにしか扱えない究極の武器だからねぇ・・・ただ」
リガリさんは目を細めて
リガリ
「若の場合は勇者以上の魔力だから完全に制御出来る。
ディバイン
「分かった。城内にはこれに触れないように御触れを出しておく」
そうして俺はそのままその武器と防具を持ってリーンと共にリィンバト先生の自宅に行く事にした。
あの後ロックとシェノンはその後、道具屋に出来上がった武器と防具を卸してから城に戻った。
今日は休日である為、実家に帰省する学生が殆どだ。
リィンバト
「―――ここが俺の家ですよ皇子。おーい、師匠!居るかー?」
元教育係セダリア・ガリル
『おーう、今開けるから待ってろ』
父上が昔『己の知恵より数百倍フル回転して私を圧倒させる天才的な教育係が昔居た』と言う事を少し聞いた事がある。
目の前の若々しい姿の男の人こそが――――ハーフエルフのセダリア・ガリルだ。
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