episode14「霊神族の授業「薬学」」

リィンバト薬学担当先生

「――――と言う事でこの組み合わせとしては葉っぱの状態での重なり合いや粉末状でも液状でも効果が薄れてしかも苦みだけしかないんだ。そこ等辺よく考えて制作するように」


次の日からは霊神族の先生であるリィンバト先生による薬学の授業を受けていた。


ディバイン

「――――こんなもんか?」


リィンバト先生

「おっ、流石ァ大帝国の皇子。ちゃんと正しい組み合わせのやつになってんな~・・・しかも正しい手順で作ったからか本来のヤツより飲み易そうだ」


そう言ってリィンバト先生は誉めてくれた。


先生は続けて


リィンバト先生

「まっ、お前等も彼ぐらいになれば上手く合わさって苦みの無い―――さらには飲み易いポーションになる。わからなけりゃ俺と他の先生呼んでくれ~」


授業は順調に進み、使った1000本のからのポーション用の瓶の内、失敗作が524本、成功したのが300本。


そして―――正しい手順で完璧に成功したのが176本。

100本近く正しい手順で成功したのが俺がほぼ制作したポーションだ。


男子生徒その①

「すげぇ・・・俺今度あの人に薬学教わろうかな?」


女子生徒その②

「アタシも教わろうかしら・・・?」


そして残りの数十本正しい手順で制作し、成功したのは―――紛れもない俺の婚約者のリーンである。

彼女はエルフの中でも薬学一本でその腕を買われてきた時があるらしい。


平民リーゼス

「凄い・・・、リーン様と同等に腕が良い人が居たなんて」


リーン

「私も彼も独学で得た知識よ。私にしか知らない知識を彼も身に着けながら私に教わっているのよ」


実は俺が完全に知識を得ても実際にやってみて上手くいかなければ意味は無い。

なので入学式前日までに彼女から少しずつ学んでいったのだ。


ディバイン

『―――って事で実際にやってみてその都度俺にアドバイスをくれ』


リーン

『ポーション制作を?仮にも貴方、一介の皇子ですのに・・・まぁ良いですわ。私が見て差し上げますから、やってみて下さいませ』


その日やはり知識はほぼあるとは言え、頻繁にやっていなかった為に成功したのは100本中22本弱だった。

なので色々腕を上げたのだ。


リィンバト先生

「よし、それじゃあここからが本題な?」


リィンバト先生はそう言ってホワイトボードを取り出してポーションについて分かり易く書いた。


リィンバト先生

「―――よし、まずは何で錬金魔法を使わないのかと言う事なんだが・・・深くは無いが大事な理由として」


①:錬金魔法は幅広く制作に打って付けであるが、その作った人の魔力次第で制作されたポーションの味が不味くなったり濃ゆかったりする為、基本的にはあまりお勧めしない。


②:制作するにあたって素材はほぼポーション一つに付き手持ちの素材を余らせてはいけない。


リィンバト先生

「二番目の理由としてはだな・・・精霊小国や各国にはたくさん素材の蓄えはある。だが万が一制作していない時に魔物が襲われた、または大怪我をする冒険者が増えたとか。まぁ様々な理由がある為に素材は決して余す事無く制作するのが良いんだ。勿論だが、採取する方も大事でな―――」


リィンバト先生が喋っている途中で鐘の音が鳴り授業は終わった。


リィンバト先生

「―――っともう時間だな。話は此処までにするが、他に聞きたい事があれば職員室か第二研究塔に居るから気軽に訪ねてくれ」


俺は次の授業の準備をし、そのままリィンバト先生の下へ訪ねた。


ディバイン

「―――って事で他にも知りたいんですけど」


俺がそう言うと先生は


リィンバト先生

「そうだな・・・んならポーションの種類はいくつあるか知ってるか?」


ディバイン

「上位互換を除けばライフポーションやマナポーション、麻痺や毒や睡眠、石化やその他も併せて20種類ですか?」


俺がそう答えると先生は拍手して


リィンバト先生

「正解。対象者に回復して使う物さえあればその正反対である対象者に対してダメージを与える為のポーションもある。それらを含むと20種類で正解だよ」


ディバイン

「因みにそのポーション種類によって攻略するダンジョンも多少は楽なんですよね?」


そう聞くと先生は頷き


リィンバト先生

「そうだね~冒険者は使ってくれたりするとスムーズに攻略するから・・・って言っても君じゃ状態異常に何一つ罹ったりしないよね」


リィンバト先生はそう言って苦笑いする。

聞けた事は一通り聞けたし・・・・


ディバイン

「先生、有り難うございました。それでは」


俺は一礼し、その場を去る。

職員室の方では――


セイタス魔法科担当

「リィンバト先生。彼は優秀だと聞きましたが―――実際にどうでした?」


そう彼に話しかけて来たのは魔法の授業を担当するセイタス先生だ。

リィンバトは笑いながら


リィンバト先生

「セイタス先生、そうですね~かの皇子はやはり才能がある。このまま皇子が臣下達に正しい製法を伝えればこの大帝国はより一層大した国にはなるかな」


国を導く者が次々と遺せば次の世代からまたその次の世代へ紡がれる。

その国はそれでさらに成長するのだ。


セイタス先生

「確かに。その創った物を販売する側である商人からしたらいい儲けにもなりますね、場合によっては破格な値段ですが・・・」


その日の授業は終わり、寮に帰った後、別室に居る従者を呼び


ディバイン

「―――って事なんだけど、明日辺り休日だろ?販売している人の所に行って兄弟揃って学びに行きたいんだが・・・予定はあるか?」


クリェス宰相

「よろしいかと。ついでにリーン様やシェノン様やヴィーナ様もお連れした方がよろしいのでは?」


クリェスはそう言った。

俺は頷いて


ディバイン

「それもそうだな。クリェスは父上とレブル宰相に伝えておいてくれ。俺は明日弟達とリーン達に行くかどうか聞く事にする」


クリェスは姿勢を正し


クリェス

「畏まりました。皇帝陛下と皇太后陛下と父に伝えておきます」


そしていつも通りご飯食べて歯を磨いて寝て―――のいつも通りにその日は終わった。


ディバイン

「――――って事なんだけど・・・どうだ?」


リース

「そうね、ポーションの類は基本的にエルフか精霊が売ってたりするし・・・ついでに武器や防具の鍛冶とかのも見に行きたいわ」


翌朝、俺は5人を集めてその休日に見学しに行くかどうか話し合っていた。


カース

「兄上、自分はヴィーナと一緒に鍛冶屋を見に行きたいです」


ヴィーナ

「丁度、騎士達の皆様の練習にも使っている物が殆ど刃毀れしているのでついでに買い付けを」


ロック

「俺もシェノンと行きます。まだ学ばなければいけない事が山ほどあるので」


シェノン

「私も行きたいです!」


そしてクリェスは父上たちから許可を貰ったらしく、クリェス同伴の下で見学する事になったのだ。

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