episode12「身勝手な男の末路」

リドリネア

「くそッこんな事になるなんて・・・」


とある工場のとある場所に上半身のみ裸の屈強な男達が犯罪奴隷の証である首輪と腕輪をし、働いていた。


鉱夫とも似つかわしくない屈強な男達は皆活気良くやっていたが―――

一人だけ文句を言いながら鉱石を掘っていた。


犯罪奴隷の男

「なぁ、なんか言ってね?あの新人」


犯罪奴隷のリーダー

「あいつ・・・あぁ~現場長から聞いた新人だな、何でも若皇帝ディバイン様の怒りを買ったらしくてな」


文句を言いながら掘っているその男を余所に遠くからその二人の男は小声で喋っていた。

元気のあまり余る犯罪奴隷のご老人が来て


犯罪奴隷のお爺さん

「何でもあのボウズとある貴族の長男坊の出なんだがの、父親と調子に乗って他の貴族を無理矢理めかけにしようとしたらしいぞ?」


犯罪奴隷のリーダー

「あー、だから殿下の耳に入って怒りを買ったわけだな流石物知り爺さんだな」


その御爺さんは小さく笑い周囲を見渡して見られていない事を確認したのちに


犯罪奴隷のお爺さん

「実は警備の一人がわしの息子でな、暇つぶしに情報を聞いだしたんだよ」


お爺さんのその話に二人は「だからか」と納得していた。

そして程よい時間帯になり―――


警備の男

「お前達!手を止めて手にあるツルハシを置け!採集した鉱石の数を確認する!」


入口の方から来たその警備の男はそう言って箱の中に入っている鉱石の数を順番ずつ見て行った。

三人の方に来て―――


犯罪奴隷のお爺さん

「お前さんが掛け合ってくれたお陰でここまで掘れたわい」


警備の男

「だからってあんま無茶すんなよ?またやらかしたら俺が上に怒られるんだから・・・っと、こんなもんだな・・・んで?聞きたい事は?」


警備の男がそう言って手に持っている紙を脇に挟んで手に付いている汚れを払う。

お爺さんが顔を出して


犯罪奴隷のお爺さん

「奥に居る新人なんじゃが・・・そやつの父親はどうしてる?」


警備の男は溜息をして辺鄙な村にまで無一文まで追い出されたと言う事を伝えた。

無論、ただの村ではなく・・・ヤバい集落の村にてぞんざいな扱いをされている事も


警備の男

「行商の話によればそいつ、全く以て自分のやった行為を自覚して無いらしくてな、このままだと村に放置されて餓死するんじゃねぇかって」


犯罪奴隷のリーダー

「それって・・・やっぱアレか?その男が保管していた食料も売却する品もすべて取られたってやつか?」


犯罪奴隷の男

「うへぇ~それってその男、力差で負けてドンドン物資奪われてから餓死する奴じゃん、絶対村一丸になってそいつの住処燃やしてそう」


警備の男はウンウンと頷き


警備の男

「まぁヤツが住んでるのは燃えやすい木で出来たぼろい小屋だからな、雨が降らない限り燃え尽きた頃には焼死体かもな」


警備の男はそう言って大笑いしながら次への点検をしに行った。

お昼になり、鉱山で鉱石を掘っていた犯罪奴隷の男達は道具や鉱石の入っている箱を持って下山し、その場から去って行った。

一人の男を除いては。


リドリネア

「くそっ・・・くそっ・・・糞がアアアアアッ!!」


その男は鉱石の無い場所を永遠に掘り続けている。

とは言えあまり働かない男達から奪われた挙句、力の差によって何もかもこの男は奪われてしまったのだ。

相手が自身と同じ奴隷であっても力の差で負けるのだ。

ところ変わって、犯罪奴隷達の集まる食堂にて


リドリネア

「クソッアイツ等の所為でメシ喰い損ねたじゃねーか・・・ん?」


ラリア

「やっ、新人君。やっと仕事終わったんだ」


その食堂の厨房には・・・女性の性奴隷達がテキパキと働いていた。その男と同年代位で言葉遣いが大人な女性の性奴隷だ。

ただこの男は、その女が一番嫌いである。

その女自身が性奴隷である事。

他の身分差のある奴隷達の相手をして可愛がっている事。

リドリネアはそう言った女が嫌いなのだ。

見た目的に尻的にあまり近付きたくないと言う危険信号が脳内で鳴り響いているのだ。


リドリネア

「野郎共の所為で手間が掛かったんだよクソアマ」


ラリア

「うっわー言葉きっつ―(棒)」


彼女はそう言いながら遅めの昼ご飯を用意し食わせた。

彼女の評判が男の評判よりいいのは体関係や男達のしもの相手。

そして何より――――


リドリネア

「(糞が・・・・うまい飯位なんざ・・・糞が)」


彼女自身の家事腕の良さだ。

――――それも、その男達・・だけの話である。


リドリネア

「―――っ!」


ラリア

「ごめんね~君への処分は既に決まってるんだ~これも・・・オジさん達からの指示でね。悪く思わないでね?私みたいな女よりも御飯に夢中の――――キミ・・が悪いんだから」


男はその場で倒れ、意識の無い状態となった。

後から担当の騎士達が来て


騎士団の男

「手間が省けた。報酬はやるが・・・本当に良いのか?娼婦館へ働かずに」


ラリア

「ごめんね~私、昔働いていた職場には戻りたくないからここで良いの。それに~魔術で妊娠不可能な状態の体になったから毎日君ら男達の相手にだって出来るし」


騎士団のその男はヤレヤレと言った顔で息を吐き倒れている男を回収してその場を去る。


ラリア

「君が心もイケメンであれば私が可愛がってあげたけど・・・・来世に生まれてもモンスターだから仕方ないね♪」


一方、とある王族の学生寮にて


ディバイン

「殺処分で済ませたか」


騎士団の男

「えぇ、ディバイン様の御手を借りずとも細切れに解体してそれぞれ魔物のおびき寄せの餌にして巧みに利用しながら討伐と男の処理を済ませました」


ディバインは「そうか」と言い、その男の父親の報告も聞く事にした。


騎士団の男

「偵察の情報からですと・・・焼身で済ませる事が出来るとの事です。その中年男性は状態異常の魔法でかかって数分間目隠しと猿轡さるぐつわ付けと両腕両脚を太い紐で固く結んで一か所の所に固定して放置してから火魔法で燃やしました」


ディバインはそうかといって騎士団の男を引き下がらせた。


ディバイン

「まぁ、当然の報いだな」


翌日、亡くなった男達二人の元実家にディバインは足を運び、処刑した事を話した。


カルヴァドナ

「そうですか・・・情報有り難うございます。あ、後」


カルヴァドナ伯爵が座り直し、お茶を飲んで


カルヴァドナ

「この件に関しては母にはにご内密にお願いします。」


ディバイン

「あぁそこら辺は大丈夫だ。あの二人なら気にも留めないだろうしな」


ディバインはそう言って目の前にあるお茶を飲んだ。

そして飲み干した後


ディバイン

「これから先、まだまだ苦難はあるが出来るだけ俺の所でサポートできる人間を派遣しよう。母親と二人じゃ手厳しいだろ?」


カルヴァドナ

「正直・・・に言ってそうですね、この前なんか倒れている所を見つけたので介抱したりしましたし」


この後、食堂で働いていたラリアは後日、カルヴァドナと彼の母親のディオナの二人の世話と家事の為に新しい場所を移ったのである。

後日―――


ディバイン

「ほう、親の居ない借金奴隷の子供を引き取って彼女との子供にしたのか。いい家庭になると良いなぁ」


ディバインはそう言いながらコーヒーを飲んでゆったりと先日の件の事のお礼とその後の手紙を見ながらしていた。

今後も奴隷によるメイドと執事を増やす予定らしい。


ディバイン

「よぉ、二人共特訓はどうだ?まだ続けてる?」


ロック

「勿論」


カース

「まだまだ続けております。兄上」


後日、連休が取れた3兄弟は自分達の婚約者と共に実家に一度帰省して3日間過ごすのであった。

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