episode9「姫は語るその②―リーン視点―」

今、私の目の前に居るのは・・・美しくとも可憐な女性―――そう、彼女こそが慈愛と生死の女神アズリア。


神の女系列で言えば7番目に当るらしい。

彼女に会うまでの数分前―――


ディバイン

「女神アズリア様が?」


朝の出かけ先で話している時にディバイン様がそう口にした。


リーン

「ディバイン様の事についてお話したいそうですよ?」


私はただ聞いた話なのであくまで"らしい"としか言えないのだ。


ディバイン

「成程・・・分かった。行こう」


私の話で少し興味が湧いたディバイン様はそのまま教会へその足で向かう事にした。

それ程遠くも無い場所で、尚且つ大きく目立つ建物なので直ぐに辿り着く。


私が先に扉を内側に開けて中に入った。


教皇猊下クリティス・ティターン

「お待ちしてりました・・・お久しぶりです。ディバイン様」


ディバイン

「お久しぶりです。お体の方は如何ですか?」


ディバイン様と初めて会った時の当時の聖女であるクリティス様は25歳。

ディバイン様とは18年以来の再会だった。


クリティス様は今では聖女を他の方に託し教皇猊下となって今現在は43歳だ。

そんな年齢に負けない程の美貌を保っている。


教皇猊下クリティス

「エルフの秘薬を加え、霊獣の血を入れた神秘の秘薬―――あれで私の本来のせいの魔力の衰えかけた力が戻ってきました。あの秘薬を使用する事はもうありませんが・・・こう見えて体力も戻ったので」


ディバイン

「それならよかった。あっ、実は―――」


ディバイン様は今日の事について話しをした。

もちろん自分の正体について。


クリティス教皇猊下

「分かりました。交信と祈りを使うので新しい聖女を連れて参ります。先にあちらの女神像の前でお待ちください」


そう言ってクリティス様は席を外してその場を離れた。

私とディバイン様は言われた通りに女神像の前まで行って少し待った。


すると――――


クリティス教皇猊下

「お待たせいたしました。私が選んだ"聖女"で名を―――」


金髪の美女がスカートの裾を上品にたくし上げ


聖女オリビア・スフィアナ

「[聖女せいじょ]のオリビア・スフィアナです。宜しくお願い致しますね。ディバイン様。リーン様」


早速、ディバイン様と共に祈りを始めて目を見開いた瞬間―――


今に至る。


慈愛と生死の女神アズリア

「お久しぶりです。聖女オリビア・・・それとディバイン殿下とリーン妃」


そして女神アズリアは彼の方を向き、笑顔で


女神アズリア

「貴方達のお聞きしたい事はもう分かります・・・話しましょう。ディバインの出自の事について――――」


女神アズリアから聞いた話はとても悲しい出来事だった。


女神アズリア

「私はこの世界を管理するにあたって主神である創造神様から転生者の権限を任されました。私は元の地球の世界を管理している一部の神・・・日本の神イザナギ様、イザナミ様とお話をし、彼等の管理していた所から一人転生させようと思い行動しました。」


ただ本来転生できるのはたったの1名のみだと言う。


そうで無ければ双方の世界は均衡を保てなくなり、片方の世界が崩壊してもう片方の世界も後方も無くなるのだ。


女神アズリア

「そして―――とある女性に出会いました。それが前世の貴方の母親です。治す事の出来なかったとある病気を前に母子共に亡くなっていたらしく、偶然にも私の下へ来れたのです」


ディバイン様の前世の母親がディバイン様を女神アズリアにお願いし、今のディバイン様を転生させたと言う。


ディバイン

「それで・・・前世の記憶があまり思い出せないのは・・・」


女神アズリア

「恐らくこの世界に胎内に居た時のまま転生した時にステータスと共にリセットした影響ですね。稀に起きたりするんです。10代以上の人間であれば転生時に何の影響もありませんが」


女神アズリアは続けて―――


女神アズリア

「貴方を転生する代わりに貴方の前世の父親の新しい奥様の子供として新しく生まれ変わらせました。勿論、お二人の神々との話し合いをしたまでです。・・・そして貴方の母親・・・茜さんは貴方に生まれた時に付けたかった名前を言ったのです。名を――――」


男の子であれば【真人なおと】。

女の子であれば【詩織しおり】。


そう名付けたかったそう。


ディバイン

「――――ありがとう・・・ございます。」


ディバイン様が涙ながらにそう言って・・・礼をした後に祈りが終わり、元の場所に戻った。


アズリア様との話し合いの事をクリティス様に伝えると―――


クリティス教皇猊下

「そうですか・・・・。それで、決心は付きましたか?」


クリティス様がそう言うとディバイン様は真剣な眼差し頷く。


次の日からディバイン様は積極的に動いていた。


ディバイン

「―――成程・・・よし、教員として採用しよう。後は―――」


選りすぐりだけど、やっと教員が定員数である副担任を含む30人にまで選ばれて、残りの事務職員、管理職員、教頭、理事長も選ばれた。


ディバイン様と一緒に採用された教員達との話し合いの場を設けた。


ディバイン

「この場に集まっていただき感謝する。ここに貴方達を呼んだのは他でもない。来年の4月の水精霊ノ日から生徒達の先生として、道を間違えないように指導して欲しいのと、生徒達が誇れるような教師として3年・・・もしくは4年間毎の勤務をお願いしたい」


給料は勿論ディバイン様が直々に王宮付きの役人を学園へ寄越す予定となっているらしい。


私も続けて


リーン

「貴方達が選ばれたのは職員としての知識・・・それだけでは無く過去の冒険者としての経験も含みます。どういった魔物が闘うのが危険なのかどうやれば生き延びられるかの正しさを判断し、理解している皆さんだからこそ生徒達を正しい方へ導いて下さい。ただ単に正しい事を教えるだけでもない。生徒達の自然たる成長も私達は期待しています」


私が笑顔でそう言って座る。


話を聞いて居た教員達は皆何か感じたのか、立って拍手をした。


その場を解散し、理事長として選ばれた人・・・・元は貴族の出である次男の方に話を聞く事にした。


ラテノ・ティシズム理事長

「ラテノの申します。私は面接でも言った通りですが・・・もう一つ。私は幼少期から家庭教師の教えにより全てを学びました。ただ、こういった学校へ行くような事も無く成長したので」


なので自分も成長しつつ生徒達や教職員達を懸命にサポートするらしい。


私やディバイン様はそんな彼を応援しその場を去った。


リーン

「さて、生徒も教師も学ぶ事が多いわね・・・」


因みに私やディバイン様やロック様やカース様、そして今まで自分が会った人達や

私の妹も入学する予定となっている。


ディバイン

「それと一つ、この先どうなるか分からんが・・・不安要素を除きたい。」


リーン

「不安要素?」


私がそう言うと、ディバイン様は頷く。


ディバイン

「簡単に言えば二つ。俺等皇族に関わってくる人達に対する事。もう一つが平民、貴族、王族のぶつかり合い。この二つが不安なんだ」


確かに、ディバイン様は王族側。

猶更狙って来る女性陣は多い方だ。


ディバイン様だけでは無くロック様やカース様も同様だ。


リーン

「自分の愛おしい人達も通うんだから事前に兄弟だけでしっかりとするように話し合ったら良いんじゃないでしょうか?」


ディバイン

「・・・・分かった。ロックとカースの所に行ってくる!」


ディバイン様はそう言って自分の部屋を飛び出して行った。


リーン

「さて、私も女子組で女子会を開くとしましょ!」


私はそう言って部屋を出て二人の居る離宮に足を運んだ。


自分が愛してやまない夫となる御方だ。


何があっても絶対に守るモノは守って見せる!!!

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