episode7「公開裁判」

裁判は順調に進み、ぞろりと証拠が出て来た。


・一つは魔道具による音声録画による証拠。

・一つは家族構成の虚偽。

・一つはご両親共々禁止指定となっている薬物に手を出している事。

・一つは従業員達による名前の無い、かのご令嬢への陰口による精神的苦痛による攻撃。


ディバイン

「先ずは――――村の者達が親しんでいたアストロメダ伯爵家の裏の顔の音声だ」


俺はそう言って手元にある魔導具を使い、音声を再生した。


クレリア・アストロメダ伯爵令嬢

『――――、―――?!』


ハウンド・アストロメダ伯爵

『――――、―――!!!』


ヴィーナ・アストロメダ伯爵令嬢

『――――、――――!』


俺はその音声を一時停止し、胸ポケットに入れた。

先程の音声は彼女の異母妹であるクレリアが危ない事をしかけた所をギリギリで躱し

レレイ伯爵夫人泣いてしまった彼女を慰めている所にハウンド伯爵が勘違いして一方的にヴィーナに対して怒鳴っている場面だ。


ハウンド伯爵

「こ、これは違っ――」


レレイ・アストロメダ伯爵夫人

「そ、そうよ!そんな事より我が家に対して盗聴するなんて皇族の恥では無くて!?」


そこで俺は少し微笑む。


何故か?それは―――


ディバイン

「・・・あなた方二人はたった今、自分で告白しましたね、私は一度も【盗聴を仕掛けた】など、一言も言っては無い」


ハウンドとレレイ

「「んなっ?!」」


冒頭の音声以外の音声も流し、公開裁判を見に来ていた街の人達も皆アストロメダ家の家長とその奥さんに対して疑念を抱いた。


俺は続けて、家族構成の虚偽について話しを進めた。


ディバイン

「御覧の通り、見ている皆ならわかると思うが――――彼女の知らない所では自ら拒んだ訳では無い―――そう、彼女が知らない間に貴方達二人の圧力で出生の記録担当を脅した事だ」


事前にカースに確認して貰った。


その担当だった男は今でこそ不真面目な業績は残ってはいるが上司への圧力を恐れたらしく、大人しく従っていたのだ。


因みにその担当の男は既に辞めて流浪の旅に出たそうだ。


ディバイン

「そうだな――――記録の虚偽とあらばそれ相応の罪となる。そう、虚偽罪とかだな」


俺が話している間はハウンド伯爵は奥さんと一緒に口を魚の様にパクパクしていた。


勿論追い打ちをする為に―――


もう一つの証拠である禁止指定薬物の摂取だ。


ハウンド

「こっこれは―――」


ディバイン

「黙れ、罪人」


俺は笑顔でそう返すとハウンド伯爵は顔を青く染め、震えていた。


そう、既に押収済みだからだ。


ディバイン

「因みに取り上げたその禁止指定薬物何だがな―――この裁判後に特殊な施設の方に行って処分する事が確定した。因みにお前等の裏ルートも既にウチの騎士団が既に壊滅に追いやっているぞ」


俺はそう言って悪魔のような笑みを露わにした。


ディバイン

「それと―――君ら使用人の事についてだな」


アストロメダ伯爵専属メイド

「こ、これはその――――」


俺は指を鳴らしそのメイドを捕まえた。


無論、拘束魔法で。


ディバイン

「一つ言っておくが―――本来守るべき主人に対する侮辱は君の唯一の罪だ」


俺はそう言うとそのメイドも顔を青く染まった。


一通りを終えて彼女に聞く。


ディバイン

「さて、君はウチの弟と2年後に結婚する為にこの近くの教会にて婚約をしに行って来なさい」


ヴィーナ嬢

「・・・・っ!は・・・はいっ!」


『ありがとうございます』と彼女はそう言ってカースと一緒にその場を離れる。


クレリア嬢

「あっ、あの・・・私はどうすれば」


クレリア嬢はそう言って俺の顔を伺いに来た。

俺は笑顔で返して


ディバイン

「クレリア嬢、もしあなたがご両親との縁を切ると言うのであれば―――父上の古い付き合いのある大国へ嫁ぐ事をお勧めする。」


俺のそのアドバイスに彼女は泣きながら


クレリア嬢

「分かりました。親との縁を切り、獣人大国に入国する事に致します」


彼女はそう言って俺に付いて来た騎士の一人と一緒にシェノン嬢と同じようにお城に向かって行った。


クレリア嬢は不本意ではあるものの親には逆らえず逆に苦しい思いをしていたらしい胸の手記を騎士団が本人確認で拝見したらしい。


ディバイン

「―――さて、君達二人に判決を言い渡す・・・・毒酒の刑だ。」


毒酒の刑、それは毒の成分が在る物をふんだんに使用し生成する事で作られた罪人に呑ませる毒殺のやり方だ。


毒杯の刑なのでセットは色々移動させて二人を真ん中に座らせ、その二人に毒を持った水を手渡し―――その場で呑ませた。


二人は苦しみながらその場で倒れ、息絶えた。


これにて公開裁判を終了となった。


後日、カースから聞いた話だと――――丁度その次の日に獣人大国の使者が来て一人の人間を獣人大国に嫁がせる事を伝えたそうで、その使者達は快く承諾したという。

そして出迎えたのちに・・・会談を終えてすぐにクレリア嬢を連れて発ったそうだ。


そして、ヴィーナ嬢とカースは小さい教会にて婚約したらしく、晴れてカップルだ。

念の為に妃教育を受けさせている最中だ。


ディバイン

「さて、思ったより暇だ・・・・。」


あの後の俺の行動に父上母上達からの叱責は無かったが・・・

余り仕事は多くなく、書類の山にはならずに済んだ。


ディバイン

「―――さて、たまには様子を見に行くか・・・・」


俺は妃教育―――リーン以外にも皇族の隣に立てるようになる為にこうしてヴィーナ嬢とシェノンを鍛えさせている。


カッシュム先生

「!!!これはこれは・・・ごきげんよう、ディバイン殿下」


俺に気付いたカッシュム先生は3人に休憩を挟み込ませていた。


ディバイン

「それで・・・3人はどうだ?皇族に向いてそうか?」


カッシュム先生

「そうですね、身分関係無しだとそうなりますね・・・それに」


3人は今までの令嬢とは違ってどんなに厳しい教育でも耐えてさらには余裕にまでなってきているらしい。


ディバイン

「二人は今後あまり必要とは無くなるが・・・それを越した事はないな」


カッシュム先生

「そうですね、この後御見学なさいますか?」


ディバイン

「そうするよ」


そう言った俺は午後まで見学させて貰った。


後はロックとシェノン、俺とリーンと一緒に馬車に乗って視察にも行った。


ディバイン

「―――で、そうなるから―――」


ロック

「―――成程、それで―――」


馬車に乗っての視察なので少し降りて背伸びしないと負担がかかってしまう。ので

一度休憩をしてから村の人達に挨拶をしに行った。


ディバイン

「はぁ~空気が美味いな、やっぱ」


因みにカースとヴィーナ嬢は他にも頼んでる事があったので同行はしなかった。


仕事イチャイチャの邪魔をする気は無いからな


リーン

「―――でね~」


シェノン

「成程、つまりは―――」


そのまま村人と交えて楽しく会話する女子組であった。


ロック

「―――って事で」


ディバイン

「そうか、分かった。」


そして俺は用を済ませて4人でまた馬車に乗って帰宅する事にした。


時間があればぜひあの二人も誘う事にしよう。


一方その頃―――、


カッシュム先生

「―――今回は此処まで、特に予習すべきことはありませんね。午後は自由にして大丈夫ですよ」


ヴィーナ嬢

「有り難うございました。カッシュム先生」


彼女はそう言って奇麗なお辞儀をしてその日のやる事を終えた。


カース

「はぁ~やっと俺の分も終わったぁ―――」


俺が不在の間にカースが代わりに自分と俺自身の分の仕事を終わらせていたのであった。

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