episode5「同盟国からの婚約者、来訪」

精霊小国とは――――


かつて人間とエルフとの間を取り持った精霊が友好の証として品々を送った事から人間がお礼としてエルフと精霊の為の住処を提供し、建設した国の一つ。


当時3種族の間を取り持ったのが二代目皇帝と言われている。

当時、グラエル皇帝陛下がまだ生まれ居ない時代だった。


ディバイン

「成程、それで私達のどちらかがエルフの姫と夫婦としてより一層手を取ると言う事ですか」


グラエル

「うむ、我々は小国の長である姫君の父親と話をした事があるのでな。姫君の相手を宜しく頼んたぞ?」


俺は「分かりました」と言ってその場から去る。


そして後日―――


ガデル・ヴァン・シェロス国王陛下

「突然の即日訪問で申し訳ない」


グラエル

「なんの、そちらの苦労は我々でも判ります故・・・さぁ、こちらへどうぞ」


父上と母上とエルフの国王夫婦が別室で話している間に―――


不機嫌になっている可憐な美女を連れて――庭に来た。


ディバイン

「私もメイド達も花が好きでね、水やりやら日光を浴びせたりしてやっているが・・・君から見てどうかな?リーン嬢」


一か所一か所丁寧に彼女は見て回り


リーン姫

「そうね、良いんじゃないかしら?(一応・・・一通り見て回ったけど、暖かいこの魔力は何・・・?!絶妙なバランスで花が咲き続けてるなんて・・・それに大雑把に水やりしてるようだけど土の精霊が微調整している?!)」


彼女のその答えにホットひと撫でし、安堵した。


そんなリーン嬢は魔法で強度を上げたガラス屋根のもとの屋外テラスで休憩し、侍女達が女性の好きなお菓子や色んな香りが楽しめる紅茶の種類全部を空間から取り出して用意した。


そんな侍女達の様子を見たリーン嬢は驚き


リーン

「・・・一つ良いかしら?」


ディバイン

「どうかしたかい?」


リーン

「何故彼女達はあの高度な"空間魔法"をあーも容易く使いこなせれるの?」


彼女の言う"空間魔法"とは、上位に位置する魔法の一つで、名前の通り【空間】を扱った魔法がある。


空間の中から時間魔法を用いり、食材の腐食を最高の状態まで取り除いて味の鮮度を取り戻すと言った便利な魔法や、その場の空間と別のその場所の空間を繋げて移動する【転移テレポート】とかもそうだ。


空間を用いた戦術は様々あるが、扱えるのは一般的にも数少ないとされている。

驚いている彼女に侍女長のカリナが来て丁寧に説明をする。


カリナ侍女長

「ディバイン様の代わりに私がお答えいたします。彼女がその場で使っている空間魔法ですが・・・実はディバイン様が鮮度の落ちた食材を食した時に溜息をした事で料理長達や私を含む侍女達がその場で何度も工夫を熟し、やり方を変えたりもしましたが上手くいきませんでした」


そう、幼少期に食べた食事がより一層自分の舌に合わず思わずため息をした事でその場にいた人達が皆慌てて作り直したりして対策を練っていた。


だが思った以上に味の鮮度が変わること無く、困っていた所―――


カリナ侍女長

「その時に行商人が偶然訪問しに来まして、その時の行商人が使った魔法が"空間魔法"だったのです。」


時間魔法と空間魔法の組み合わせればより一層美味しい食卓になるのでは?―――と思い、その行商人さんの知り合いである空間と時間の魔法の二つを扱う魔導師を宮廷魔導師として採用し、その人から全てを学んだ所―――


カリナ侍女長

「ディバイン様だけではなく此処に居る全員が覚えてしまいましてね」


今では世界一最強の剣聖とも言われているリット師匠はラノス師匠から空間と時間の魔法を教えて貰っているらしい。


天神族の中で覚えている人はそんなに多く無いらしい。


魔神族も同様。


リーンは溜息をし


リーン姫

「皇族全員に加えて使用人達全員が難なく覚えてるとか普通はあり得ないわよ?それに・・・天神族と魔神族を師範として迎えてるなんて・・・この国は鉄壁の要塞か何かなの?」


リーン姫が言うのも無理は無いと思いこの後の事を話し合う事にした。


先ずは・・・お互いの事を知らなくてはならないからな


ディバイン

「正直に言おう。18の今に至るまで色んな女性レディと話をしていたが君の様な人格者は誰一人令嬢の中で居なかった。普通の貴族令嬢ってのはそんなものかと思って諦めていた・・・」


俺は少し間を置いて、彼女の目の前で跪き


ディバイン

「リーン・シェロス姫、結婚を機に付き合ってくれないか?」


婚約者とはいえ、自らプロポーズしなければ意味が無い。


そう思い、真剣に行動した。


錬金魔法で指輪を作り彼女に差し出した。


彼女はと言うと――――


リーン姫

「(今まで驚く事ばかりでこのお方は国民の為に自ら手本となって動いているのを聞いた事があったわね)・・・私でよければ、宜しくお願いします。ディバイン・リエス・オズロック殿下」


彼女はそう言って薬指を差し出し、俺が手に持っている指輪を彼女の薬指に嵌めた。

侍女長達は皆歓喜の声を上げた。


暫くして、小国の姫と大帝国の皇子の婚約が発表され―――結婚式は2年後、お互いが20歳になってからと言う事になった。


婚約と結婚の日取りも決まり、彼女は暫く大帝国で居座る事になった。


念の為に俺の部屋の隣にして貰った。


小国もやっとの思いで嫁の貰い手が見つかった事に歓喜し、長とリーン姫の妹君であるルナ・シェロスが次期小国の女王に選定された。


次の日からは大忙しだ。


リーン姫・・・いや、リーンは妃教育と言われる女性貴族専門の家庭教師の方に習って貰う事になった。


俺はと言うと―


ディバイン

「思ったよりそんなに多くは無いな・・・今日の分はこれ等だけか?」


クリェス・カウス宰相

「えぇ、今回は割とそんなに多くないですね・・・そうだ、父上に今までどれ程の仕事の量を熟してあったか聞いて来ます。」


皇帝の交代となれば傍に仕えて来た宰相も同じとなる。

俺の専属の宰相としてレブル宰相の息子のクリェス宰相が選ばれた。

そんなクリェス宰相は俺の居る書斎に戻って来て―――


クリェス宰相

「聞いてまいりました、実の所ここ最近不正等の犯罪が無い故にそれ程仕事の量が多くないそうです。」


聞く所によると、今まで以上の管理はそれぞれ担当に任せ、今に至るまで微妙なずれなどが一切無いらしい。


ディバイン

「そうか、分かった。ご苦労さん」


新しい侍女長のカンナに紅茶を入れて貰い、一服しながら休憩を取った。


クリェス宰相

「そう言えば・・・姫殿下が今日の分の課題終えて休憩中だそうです。お誘いに行かれては如何でしょうか?」


ディバイン

「そうだな、行ってくる。カンナ、紅茶美味かった。後でまた新しい紅茶入れておいてくれ」


カンナ・ノルシ侍女長

「畏まりました。リーン様とのお散歩ごゆるりとご堪能下さいませ。」


二人に見送られた後、例の先生が居る部屋にノックして入った。

先生に挨拶をして


ディバイン

「―――って事で顔を借りに来た。リーンは居るか?」


カッシュム先生

「えぇ、今日の分の授業を終えた所なのでどうぞお連れ下さい」


先生はそう言って淑女らしい礼儀正しいお礼をしてきたので自分も礼儀正しいお礼をして彼女を呼んだ。


ディバイン

「今日はどうだった?結構疲れたか?」


実を言うとカッシュム先生は皇子である俺に対して今まで厳しく接して来た事があった。


無論父上や母上も。


だが今回いい笑顔で出迎えて来たので―――それとなく彼女に聞いてみた。


だが彼女は満面の笑みでそれを否定する。


リーン姫

「いいえ、自分の知識をフル活用して指摘が無いよう修正したりして自分なりにやってみたら・・・上手くいったの」


母国からはグーダラ姫とも呼ばれていた彼女だが・・・こうも真面目に取り組んでいるとなるとやはり俺が切っ掛けとも言えるらしい。


ディバイン

「そうか、それならよかった」


リーン

「そうだ!この後、帝都の方に見に行かない?」


彼女からの提案に俺は頷き


ディバイン

「実は君に会う前に父上と母上に会ってね、外出許可を貰って来た。ある意味初の視察としている」


どうだと言わんばかりの態度で彼女にそう言った。


リーン姫

「フフッ、貴方らしくて良かった。行きましょ!」


城下の帝都は大賑わいだ。


昔は曾祖父の代から色んな国々が戦争をして物悲しげな未来が見えていたが祖父の代から少しずつ変わってきてよかったと思っている。


リーン姫

「あの串焼き食べてみたいわ!」


帝都に来た俺とリーンは一応変装し、市場に来ていた。


市場とは言え大賑わいだ。


ディバイン

「すいません、これとこれを二つずつ下さい」


屋台の店員さん

「はいよー、お待ち。値段は小銀貨1枚だよ~」


随分と安い買い物をした為、まだ少しお腹は空いている。

この後決行買い食いしながら色々見て回って飲み物を飲んで城へ戻る事にした。


????

「クククク・・・・待っていろ・・・若皇子ィ」


どうやら不審な影が動いていたようだ。

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