episode4「断罪!~ディバイン皇子の静寂なる怒り~」

午後、獣人大国の国王であるシルフォンさんを従者を使ってお送りした後、俺は玉座の間で弟のロックとカースと共に父上と母上達の帰りを待っていた。


ガーナー執事長

「ディバイン様、グラエル様とエイリ様、カナン様、ラズリィ様がお戻りになりました。」


ディバイン

「我等の母上方は寝室に休ませておいてくれ、父上を母上達のご実家の者達と一緒に玉座の間ここに来るよう伝えてくれ」


ガーナーは「畏まりました」と言ってその場から去る。


この後の事を弟達と一緒に少し話し合う事になった。


今から一時間前―――、


ロック

「兄上!事情は聞きました!私とカースを傍で見ておいてもよろしいですか?」


カース

「私は父上を隣で支えておきますので」


この二人なら問題無いなと思い


ディバイン

「分かった。そっちはそっちで任せる・・・モルドガン!騎士達を連れて列を成せ!万が一の時を考えてその場で待機せよ!」


モルドガン騎士長

「仰せの侭に。お前達!列を成せ!」


モルドガンの指示通りに騎士達は綺麗に列を整えて中央に体を向けた。


万が一親族が暴挙に出た際、力づくでも取り押さえる為だ。


そして今現在―――

俺の目の前には母上達の実家の祖父母そふぼ叔父上おじうえ伯母上おばうえ等、計6名以上。


従妹いとこ等々―――


実を言うと祖父母宅では祖父母達の悪態により叔父上等は一切味方をしていない。


というより祖父母らをどうするかのチャンスをうかがっていたのだ。


ディバイン

「―――お前達、父上を母上達の居る寝室に運んで休ませておいてくれ」


ロックとカース

「「分かりました!兄上!」」


ロックとカースはその場で頷き、顔が異様に疲れが溜まってる父上を休ませる為に寝室へ向かわせた。


無論、祖父母ら六人だけ通せんぼだ。


俺はレブル宰相に目を配らせ、レブル宰相は頷いて手に持っている令状を記されている紙をを広げる。


レブル宰相は一度咳払いをし


レブル宰相

「ガロン公爵領代表、レック・ズィスター・ガロン公爵、そしてその妻、レノロ・レヴェ・ガロン公爵夫人、そして・・・カシア侯爵領代表、グリムズ・デヴィン・カシア侯爵、そしてその妻、ヴォルボ・デリュ・カシア侯爵夫人、最後にクリュス伯爵領代表、シビルス・クーデル・クリュス伯爵、その妻、シュルーエス・コフィン・クリュス伯爵夫人、貴殿等の行為について既に次期皇帝陛下であらせられるディバイン皇子、ロック皇子、カース皇子、そして帝都民の者達の方にまで情報は届いている。」


ガーナーが最後にそう指摘すると何名か気付くが素知らぬフリをする。


俺がガーナーに手を挙げてガーナーは頷き手に持っている紙を筒状に奇麗に丸めて姿勢を正す。


ディバイン

「お爺様・・・そしてお婆様方。先程書かれている事は概ね事実だ。貴殿らが反論しても証拠は既に帝都民達に知られている。無論、貴殿らが管理する村の村民達から仕入れた情報だ。一つ一つ書かれているが・・・・"嘘偽り無く"我の質問に応えよ」


おれはそう言って一つ一つ指摘を入れた。


・一つは領民達に対する重税。

・もう一つはその重税により得た資金の横流し。

・更にもう一つは不正受給。

・そして最後に、父上等に対して強制的な実家への帰省や父上等に対する罵声。

(※叔父上等も同様の手口らしい旨も耳にした。)


これ等は領民達が帝都に居る警備兵達に伝えられたもので既に城中にその噂が流れていた。


するとレックお爺様が口を出し――


レック

「じ、事実無根だ!どこにその様な―――」


ディバイン

「黙れ、貴殿等が盾突く様なモノは一切無い、周りに迷惑をかけた事への恥を知れ!!!」


俺の怒号は玉座の間の隅から隅まで響き、祖父母達は俺の威圧と怒号の影響で尻もちをついた。


騎士達に無理矢理立たせるよう指示を出し―――


ディバイン

「もう回りくどい事は辞めだ・・・貴殿等六名共々これらの犯した罪により―――極刑に処す!処刑の日については後日伝える。お前達、連れて行け!」


俺がそう言うと騎士達は祖父たちに対して村民や父上等への思いを込めた怒りの視線を浴びせながら無理矢理立たせ、牢屋に連行した。


俺は一呼吸置いて―――


ディバイン

「お見苦しい所をお見せして申し訳ない。アルセス伯父上、ウィシル伯母上。そして皆さんも。後日みなさんへの対応を手紙で贈るので―――お前達!ご丁重にご実家までお送りしろ!」


俺の指示により騎士達は一斉に準備をし始めた。


アルセス叔父上が俺の元へ来て


アルセス・カー・ガロン

「いいや、ディバイン皇子のお陰で濁韻だくいんが大分下がったよ。私達やグラエル達の為にやってくれてありがとう。」


ウィシル・ニース・ガロン

「そうよ、貴方のお陰で私達も領民たちも安心して元の暮らしに戻れるわ。有り難う」


後日、祖父母ら6名のルート先の者を一斉検挙し、関係者らに事実を伝えその者達と共に祖父母らは首吊りの刑により刑を執行し、その日を終えた。


ディバイン

「―――で、その後どうなりました?父上」


父上等も昨日今日と大分落ち着き喉が通らなかった食事もだいぶ進んで自ら食事を取るようになった。


グラエル

「あぁ、その後の事なんだが―――」


父上の話によると、領民たちに対して不正をしてまで上げ続けた重税を取り下げ、いつもの税に戻した事でいつもの村の景気に戻り、伯父上等に領主の権限を渡して正式に領主としての活動を行っていると聞いていたらしい。


ディバイン

「成程、それは良かった。」


俺は一安心し、あの時に送った手紙に追加である一文を加えた。


従姉妹達に関してだ。


従姉妹達に関しては手紙には「"詫びとして三名に自らみなに従者を送った。使いによっては御三方次第だが、"自らの婚約者としておいても構わない"」と少々アレだが書かせて貰った。


各々それぞれの領から従姉妹達のお礼の手紙と祖父母達に関する詫びの手紙が来た。


ディバイン

「・・・さてと。兄弟水入らずで修行しておくか」


俺はそう思いながらロック達の居る修行場へと足を運んだ。


一方のエルフや精霊達の居る霊神族の国―――精霊小国にて。


ディバインの居るオズロック大帝国に起きた出来事が耳に届き、そこらの精霊達や多種多様のエルフ達が往ったり来たりの大慌てだった。


リーン・シェロス姫

「ふーん、そんな事が人神族の国で起きたんだ」


精霊小国の姫君であるリーン・シェロスがそう言いながら退屈そうに寝っ転がっていた。


見かねた従者のエルフであるシーギス宰相が


シーギス・カーデン宰相

「姫様からしたらそうでしょうな」


シーギス宰相のその一言にイラっとしたのか


リーン姫

「うっさいわね!だったら何よ!」


シーギス宰相が呆れて


シーギス宰相

そんな・・・姫様だからこそチャンスなのですよ」


そう、近々リーン・シェロスは大帝国に第一皇子であるディバインの婚約者・・・として、同盟協定を兼ねて行く予定になっている。


―――だが、姫様であるリーンシェロスは退屈だからこそ顔の見知らぬ相手との婚約はしたくないと頑固者なのだ。


シーギス宰相はリーン・シェロスを見て


シーギス宰相

「はぁ、致し方ない。それじゃあ―――」


リーン姫

「・・・じゃあ?」


シーギス宰相は一呼吸して


シーギス宰相

「明日に致しましょう。」


間が空く。


リーン姫

「――――ハァァァァアアアッ!?」


一方、大帝国では―――


ディバイン

「―――え?俺に婚約者ですか?母上」


エイリ皇太后

「えぇ、お相手はエルフや精霊の居る精霊小国のお姫様なのよ」


だがディバインは知らなかった。


―――次の日に既に大帝国に婚約者が来ている事を。

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