第9話:次の日曜日
「うーん・・・」
教室で何やら唸る女子生徒がいた。
その女子生徒の名前は姫野司、久しぶりの登場であるが4月に入ってから彼女は俊哉と余り話をしていなかった。
始業式の時に少し話すだけで終わり、放課後も俊哉が野球部があり会話が出来ずと司自身にとっても何とも言えない状況ではある。
「司ぁって・・・なにその顔」
「え?」
ハルナが司に話しながら近寄ルト、司の難しい顔を見ながら思わず聞き返す。
「ハハァン 俊哉くんね?」
「ふぇ!?そ、そんな!!?・・・事は・・・」
ズバリ言われた司。
図星も図星なのか司はションボリとしながら声が小さくなる。
「何?話してないの?」
「スマフォではやり取りしてるんだけどね・・・」
「ふーむ クラスも違うからね?」
「そうなんだよね・・・」
腕を組みながら司を見るハルナ。
するとハルナはピンと何か思いついたのか、司に話をする。
「そうだ 確か来週の日曜日アレだよね!?」
「え?あ、うん・・・そうだけ・・・ど・・・」
「誘いなさい」
「え・・・えぇ!!??」
思わずガタリと立ち上がる司。
ハルナはニッと笑みを浮かべると司の肩に手をポンと置く。
「これしかないわよ!?司、アンタの為にも!」
「え、えぇ・・・」
困惑する司だがハルナは強引だった。
どこか乗り気では無い司であったが、ハルナは諦めない。
「それに司、この事話して無いでしょ?」
「それは、そうだけど」
「言った方が良いんじゃ無い?」
「そ、そうかなぁ?」
「当たり前よ!トシ君、コレ大好きだから絶対に受け入れてくれるって」
「でもぉ」
「大丈夫!!ユミっちもそう言って居る」
「ユミ今いないんだけど」
「それでもよ!」
力強く話すハルナに司は迷いが更に増してきた。
(でも、もし嫌がられたら・・・)
そんな思いを胸に込める司。
彼女は俊哉に嫌われたくはないと感じて居ることはハルナにも分かっていた。
だからこそ、ハルナは司に前に進んでいくべきだと感じて居る。
「司」
「な、何?」
「トシ君に自分の事をわかってもらわなきゃさ、それから先に進めないよ?」
「う・・・」
「私的には、コレをちゃんと話すのも有りだと思う」
「そ・・・そうだね。わかったよパル」
前を向いて・・・
そう心に言い聞かせるように司は立ち上がった。
そんな司にハルナはニッと笑顔を見せると、バシンと司の背中を叩く。
「いっ!?」
「誘ってきなさい!今すぐに!」
「いい今すぐ!?」
「善は急げよ!ほら!ハリーハリー!!」
「わっ!わっ!?」
グイグイと司の背中を押しながら教室から出て行き隣のクラスへと向かう。
教室に入ると生徒らが何人かおり、司は教室をキョロキョロと見渡すと教室の端にある椅子に竹下と談笑している俊哉を見つけた。
「ほら!行くよ!」
「う、うん」
ハルナに押されるように俊哉の元へと向かう司。
近くに行くと俊哉の方が彼女に気づきヒラヒラと手を振る。
「あれ?司ちゃん」
「あ、あの!!その・・・!!」
俊哉の前に硬直する司に首を傾げる俊哉。
また先ほどまで談笑していた竹下は色々と察したのかソッと席を立ちハルナの方へと移動する。
「その、今度の日曜日時間空いてますか!?」
「え?日曜?」
司の言葉に俊哉はうーんと上を向いて考えた。
野球部に予定が無かったどうかを頭の中で確認しているようだ。
そこに竹下が隣から
「次の日曜日は何もねぇよ?」
「え?ほんと?」
竹下の助け舟に俊哉が確認すると、竹下はコクコクと頷く。
「という事 大丈夫だよ?」
「あ、じゃあ・・・次の日曜日に、お願いします」
「こちらこそー」
ニコッと微笑む俊哉に司は恥ずかしそうにしながらも、笑顔を見せハルナと一緒に教室から出て行く。
「どうしたんだろう?」
「いや、え?」
「え?」
「あ、そういう感じ・・・まぁ頑張れ」
「え?」
ポンと俊哉の肩に手を乗せ俊哉にエール(?)を送る竹下。
俊哉はただ首を傾げるだけであった。
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