第7話:ゴールデンルーキー

部活動が始まった。

聖陵には約15人の新入部員が入部し3年生2名、2年生11名で合計28人となり一気に部員数が増えたのである。

そんな中で新一年生の注目選手がいる。


「宮原琢磨です!よろしくお願いします!」


この宮原琢磨である。

彼は宮原マキの同級生で俊哉、秀二、神坂らと同じ静岡シニアに所属しショートレギュラーとして活躍した選手だ。

そしてこの琢磨は県内外から声がかかっていたのだが聖陵に入る事に迷いは無かった。

その理由とは信頼を置く俊哉がいることである。


彼に迷いは全く無かった。

尊敬する俊哉のもとで野球をすると言い出したら聞かない頑固な性格から俊哉が聖陵に入った時から決めていた様だ。


その実力は折り紙付きだ。

初日から琢磨はノックへと参加をさせてもらいショートだけでなくサードやセカンド、そして外野手などオールラウンダーにそのセンスを表す。

そしてもう一人は横山亮斗。

彼は俊哉の弟で琢磨と同じ静岡シニアで活躍した選手である。

亮斗の持ち味は打撃。

打撃と言っても彼は一味違う面を持っており、粘り強い打撃である。

臭い球は全てカットしていくという正に投手泣かせの打撃スタイルである。


新一年生で注目のこの2選手に俊哉達は勿論注目しており琢磨の守備と亮斗の打撃には目を見張るものがあった。

だが意外な収穫もあった。


それは三村三平だ。

ほぼ無名で入って来た彼だが、何より驚いたのは肩だ。

まさに鉄砲肩の名前が似合う鋭い送球を見せ、竹下に無いものを持っている。

また一発長打が狙える打撃も魅力で竹下とは真逆のタイプの選手である。


春瀬監督もこの3人には期待を持っている。

また他にも期待の選手らは沢山いる。

サードを守る平林知憲ひらばやしとものりや外野手の上原洋介うえはらようすけ、そして投手の小森紳也こもりしんや等粒のそろった新入生達である。


それに女子マネも入った。

今年は二人の女子マネージャーが入ったのだが内の一人が注目されている。


「あの、佐野沙耶さのさやと言います よ、よろしくお願いします」


少しオドオドしながらも丁寧にお辞儀をして挨拶をするのは佐野沙耶(以降より沙耶)。

一年生ながらにしてその豊満な胸に目が行ってしまう子である。

そしてもう一人のポニテの髪型で目はキリッと少し釣り目の女子マネが自己紹介をする。


春瀬咲はるせさきです!兄の春瀬京壹がお世話になっています!」


『監督の妹!?』


全員が口を揃えて驚く。

春瀬監督は恥ずかしそうに頭に手をやりながら


「ここでは監督だろうが」


「はいはぁい お兄ちゃん」


「お前な…はぁ、まぁそう言う事だから、よろしく頼むな」


半分呆れながら話す京壹監督である。

こうして新たな部員を入れて戦力強化になった聖陵野球部。


春瀬監督は早速ではあるが練習試合を入れており二週間後に行う事を告げるのである。

この練習試合では一年生を中心に使うという方針らしくルーキーたちの力を確かめたいという監督からの話である。


「監督張り切ってるな」


そう話すのは望月。

部室で着替えながら次の練習試合の事を話している。


「まぁ琢磨とか来たからねぇ 色々試したいんでしょ」


笑いながら話す俊哉。

俊哉達もまた新入生が入ったことが楽しみでしょうがないのである。


ゴールデンルーキーを含む優秀な新入生を迎え。

俊哉達の二年目の野球部が始まったのである。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る