第3話:第一歩目
「聖陵に入ります!!」
そしてこの日に移る。
俊哉とやり取りをし、琢磨自身は思いをぶつけた。
「わかった!よろしく頼む!」
俊哉もまた琢磨の熱意に負け、来年共に戦おうと言ってくれた。
その言葉だけでも琢磨は十分であった。
「じゃあね」
「はい!お疲れ様です!」
少し話をし俊哉は自宅へと帰るため家から出て行く。
その彼を見送る琢磨。
俊哉が帰り琢磨は自分の部屋へと帰ろうとしていると、1人の女性に呼び止められた。
「琢磨」
「あぁ、姉ちゃん」
その女性の名は宮原マキ。
俊哉と同級生であり、琢磨の姉でもある。
「よく決めたね。聖陵に行くってさ」
「勿論だよ」
「トシちゃんの事、ホント尊敬してるんだね?」
「当たり前。じゃなかったら言わないよ。」
「お姉ちゃん、心配だな?、琢磨がソッチの気があるのか思うと?」
「はぁ?何言ってんのさ」
マキの言葉に琢磨は笑いながら否定する。
「それより、姉ちゃんこそ早く言った方が良いんじゃない?」
「な、何が?」
「え?、そりゃあ。俊哉さんの事が好きだって」
「!!??」
意地悪そうに笑いながら話す琢磨にボッと顔を真っ赤にしながら言葉にならない叫び声をあげ、琢磨の口を押さえるマキ。
「むがむが!!?」
「なななな、何を言ってるのかなぁ!!?」
「い、いやバレバレ・・・」
「あ?もう?!!にゃ????!!」
今にも燃えるんじゃ無いかと言わんばかりに顔を真っ赤にしながら琢磨をポカポカと叩くマキ。
「いたいたい!止めろって姉ちゃん」
「あんたが余計な事言うからでしょうが!!」
「いやほら。早くしないとさ!他の子とくっ付いちゃうぜ?」
「そ、そんな事ないもん!トシちゃんは野球で忙しいんだよ!」
「え?、そうかなぁ?俊哉さん結構女の子に困って無いタイプだからな?」
「琢磨言い方!!」
笑いながら話す琢磨に、マキはまだ顔を赤みが消えずに怒る。
「でも、早くしないとか・・なぁ?」
「いやまぁ・・・俺には分からないけど・・・もう二年生でしょ?あと2年なんてあっという間じゃん?」
「そう・・・だよね」
琢磨の言葉にマキは何かを感じたようだった。
そのまま彼女は部屋へと戻っていき琢磨は1人になってしまう。
「帰っちゃったよ・・・まぁいいや」
正直な所、姉であるマキが俊哉のことを想っている事は知っている。
できれば姉であるマキとくっ付いて欲しいが、流石に琢磨はそこまで言う必要性を感じては居なかった。
(でも、案外俊哉さん。もう想い人居たりしてな・・・)
そう考えながら琢磨もまた自分の部屋へと戻って行くのであった。
それからまた月日が流れていき、年が明け琢磨の中学生活も残り三ヶ月を切った。
吐く息は白くまだ寒い季節の中だが琢磨はトレーニングを怠る事は無い。
シニアはオフシーズンの為、ジム等に行ってはトレーニングをし身体を作るとともに、琢磨はもう一つ勉強もしていた。
「聖陵に入るにしても試験受からなきゃな」
スポーツ推薦が無い聖陵学院。
入学する方法は1つ、入試を受けるしかない。
トレーニングと並行して受験勉強もする琢磨。
琢磨自身、成績は悪くは無い為、不合格という事は無いであろうが準備は怠らないのは彼の性格ゆえである。
そして受験の日を迎えた。
会場である聖陵学院に中学の制服でやってくる琢磨は、教室へ入ると様々な中学の制服を着た生徒たちが椅子に座っていた。
(ピリピリしてる・・・)
受験を控える生徒たちはピリピリしていた。
聖陵学院は進学校でもあり決して簡単に入学できる訳では無い。
と行っても基本さえできてれば合格は可能だ。
(俺の机は・・・ここか)
受験票を見ながら歩く琢磨は教室の一番隅に置いてある机を見つけると椅子に座る。
(この教室は俺で最後なのか・・・隣にもいるってことかな?)
そんな事を考えながら椅子に座って待つ琢磨。
教室を見渡すとギリギリまで参考書の様な物を読んでいたり、普通に椅子に座っていたりとそれぞれ時間を過ごす。
「はい、席について」
そう言いながら教室に入って来たのはスーツを身を包み若い青年男性が入って来た。
「全員いるかな?いる・・・ね。じゃあ筆記用具と受験票以外はカバンにしまって。テスト用紙を配ります」
青年男性教師が琢磨らにそう話しながらテスト用紙の束を机の上でトントンと整える。
全員が筆記用具と受験票だけを残し準備が整うと、男性教師はプリントを配り始める。
「じゃあ、これからテストを始めます・・・始め!」
腕時計を見ながら話す男性教師。
そして10時丁度、入試試験が始まる。
琢磨が聖陵へと入学する第一歩目が、今始まったのである。
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