第3話 嘘つきに裁きを

 ルイスが帰還してから数時間が経過し、日が暮れ始めた頃に彼らは帰ってきた。急いで戻ってきた体の演技なのか呼吸を荒くしてカミラの所までやって来た。


「皆さん、そんなに慌ててどうしましたか?」

 カミラは怒りをこらえていつも通りの態度を装った。


「カミラさん、大変だ。ダンジョンの帰り道にモンスタートラップにはまってしまって危険な状態に陥ったんだが、ルイスが『ここは俺に任せてみんなは逃げろ』って一人残って俺たちを……。だから、急いでルイスを助けに行ってくれないか?」


「頼む!ルイスは俺らの大切な仲間なんだ。速く救援を……」

 グレンとガイはは言葉を詰まらせル演技をして本気で心配している風に演じる。


「ルイス、ルイス……」


「ルイスは私の大切な幼馴染なのに……」

 ローナとコーディーは泣いている演技をした。

 この光景を見ていた冒険者たちは『こいつらマジか?最低のクズだな』『お前らの悪行は知ってんだよ』『ルイスじゃなくてお前らが死ね』などいろいろ言われ放題だった。


「ルイスさんが、そんな……急いで救助隊を編成しないと」

 カミラが信じているなと思ったときグレン達は内心よっしゃー、バレなかったと一安心していた。


「おい、そんなに慌ててどうしたんだ?いつものカミラらしくないぞ」

 突然声をかけてきたのはギルドマスターのテッドだった。カミラが事の経緯を説明するとテッドも驚いた。


「なんだって……。ルイスがそんなことを? 本当にルイスが俺に任せろって言ってお前たちを逃がせと言ったんだな?」


「はい……ルイスは俺たちの為に犠牲に……」「あいつ一緒頑張ろうって言ってたのに」「そうだよ。あんまりだよルイス……」

 グレン達の返答を聞いたテッドはそうかそうかと頷いていたので、だませたのかと思い彼らは一安心した。


「お前らの言い分は良く分かった。おい、ルイス出てこい」


「なっ!?ルイスだって?」「ウソでしょ?」「マジかよ……」「……」

 今までの話を裏で聞いていたルイスが姿を現しグレン達は言葉を失った。


「ル、ル、ルイス……」


「お前たちのしたことは全てルイスに聞いている。もし、お前らが反省して正直に話すのならまだよかったが、そこまでのクズだったとわ……。俺も呆れてなんも言えねぇよ。それでルール違反をしたお前たち4人の処分だが。一番下のFランクに降格の上5年間昇格試験を受けられない+ルイスに賠償金として金貨70枚を支払うんだ。賠償金はクエスト報酬から50%引かれるからな」


「そんな処分無効だ!」「私たちにそんなお金なんてないわよ!」「ルイスが生きているんだから別にいいじゃねぇか!」


「黙れ! ルイスが生きていたからお前らは冒険者を続けられんだよ。もし、死んでたらお前ら犯罪奴隷として鉱山に連れていかれるんだぞ」


「クソっ、もう行くぞ!」

 先まで文句を垂れていたあグレンは舌打ちをしながらギルドを出て行こうとした所でテッドが声をかけた。


「賠償金を支払わないと鉱山奴隷に落とされるからな」


 グレン達はこんな大声で叫ばれたら皆にばれるじゃないかと思い辺りを見たが、彼らの目は自分たちをさげすんだ眼をしていた。これはヤバいと思った4人は走って逃げて行った。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る