第6話 猫ちゃんは今日も見つめる

 ご主人様の執務室は広い。

 執務机や、調度品、大きな本棚の中には何かの専門書だろう難しそうな本がたくさん並んでる。

 ドアを隔てた隣には来賓室が設置されていて、これまた、豪華だけど、品がいい調度品で飾られている。

 全体的に落ち着いた上品な印象のお部屋だ。


 その中で、一際異彩を放つモノがある。

 それは、ご主人様が私の為に用意してくれた、真っ白でふわんふわんで、ひらんひらんなとっても愛らしい寝床である。

 夜寝る際は、ご主人様の寝室で一緒に寝るが、昼間はこの部屋に居ることも多いので、わざわざ用意してくれた。

 気持ちはすごく嬉しいし、実際寝心地もとても良いのだが、落ち着いた色味の中に、突如として浮かび上がるラブリーな純白に時々吹き出しそうになる。

 今は猫なので笑う事は無いが。まあ、気持ちの問題だ。

 色々言いはしたが、私のお気に入りの場所である。

 

 執務机のすぐ横に置かれた寝床は大好きなご主人様を眺めるのにちょうどいい。

 時折、ピクッと動く茶色と黒模様の丸いミミ。ゆらりと揺れる縞模様の長くて太いしっぽ。

 ご主人様は獣人だが、ミミとしっぽ以外は人間と変わらない。

黒くて艶のある髪は、後ろに撫でつけられていて、はちみつの様な金色の瞳は鋭さがあり、すっと通った鼻筋に薄い唇。

 鍛えているご主人様は、引き締まっていて足もモデルみたいに長い。背も高くて180cmはゆうに越えているだろう。

 低くて耳触りのいい声に、聞いたところによると、年齢は27歳。

 仕事ぶりは有能で、魔法も使えて強いし、性格は優しいときた。


 これはモテる!!

 いや〜ご主人様はほんとにいい男だな〜。

 相当モテモテなのでは?まだ、結婚してないみたいだし、お付き合いしてる人はいるんかな?

お嫁さんをもらって幸せそうにしてるご主人様も見てみたいなぁ。赤ちゃんも見てみたいし、ご主人様の子どもと一緒に遊んでみたい。

 猫好きの優しいお嫁さん連れて来てくれたりせんかなぁとおせっかいなことを考えてみる。


 そんなことを思ってたせいか、私の視線に気付いたみたい。「どうした?」と言って顎の下をくすぐられた。

 心地良さに眼をつむる。

でも、もうしばらくはこのままで良いかも...。


今日も私は、大好きなご主人様を見つめる。



◇登場人物プロフィール◇


 猫ちゃん

▷元人間女性で28歳独身、社畜

▷過労死して猫に生まれ変わる

▷ご主人様が大好き!!猫生をエンジョイしている

▷真っ白もふもふの長毛で美しいアイスブルーの瞳

▷魔法がある異世界に転生してた

▷猫の本能に時々引きずられる。若干アホの子


 ご主人様

▷猫ちゃんの飼い主さんで大きいお屋敷のご当主様

▷仕事をばりばりこなす有能なひと

▷猫ちゃんに甘い

▷魔法が使える。強い

▷ケモミミとしっぽが生えてる。虎の獣人さん

▷本物の虎に変身することが出来る。変身時は2mを超える

▷瞳の色は、はちみつの様な金色

New▷黒髪で180cm超えの27歳


 執事さん

▷ご主人様が産まれる前からお屋敷で働いている人間

▷ご主人様を唯一『坊ちゃん』呼び出来る人

▷猫ちゃんを『お嬢様』呼びする。

▷主人が猫ちゃんに構いすぎると、「お仕事しましょうね」と笑顔で諌めに来る


 庭師さん

▷銀色のケモミミとしっぽが生えてる。狼の獣人さん

▷庭師の腕はピカイチ

▷猫ちゃんを『お嬢ちゃん』呼びする。

▷見た目の恐さに反して優しいし、面倒見が良い

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