第5話 猫ちゃんは今日もモフモフ
うっかり泥まみれになった私は、今庭師さんに抱っこされてお風呂へと運ばれている。
お屋敷の長い廊下を進んでいると、前からご主人様が歩いて来るのが見えた。
ご主人様はこちらに気が付くと庭師さんに「ご苦労様」と声をかける。
「...君の腕の中に居るのは、どうやらうちの仔らしいな。世話をかけて済まない。後は俺が引き取ろう」
「いや、でも旦那。俺が洗っときますよ」
庭師さんがそう言うが、「ありがとう。でも大丈夫」と言うと、私をひょいっと抱えあげて抱っこしてしまった。
あぁーー!!困りますー!!ご主人様の質の良い、高そうなシャツに泥が...。
庭師さんに続き、ご主人様まで...。
ご迷惑をかけてしまい本当に申し訳ない...。ご主人様の腕の中でしゅんと項垂れる。
私が一匹反省会をしている間にも、ご主人様は庭師さんと別れ、長いおみ足で颯爽と目的地に向かう。
「...やけに大人しいな。俺に怒られると思ってるのか?」くすっと笑う。
「別に叱りはしないよ。今日は随分派手にやったな。楽しかったか?」
ご主人様は私がやんちゃした事を怒らず、何故か楽しそうだった。
薄々気付いてはいたが、ご主人様私に甘すぎません⁉
このままじゃ、ダメ猫になってしまう...。
私が悶々と悩んでいる間にお風呂に着いたようだ。
ご主人様は慣れた手付きで用意をすると「さあ、おいで」とこちらに手を伸ばした。
先ず初めに泥を温めのシャワーで流してくれる。
お風呂に入れてくれるのは、実は毎回ご主人様だったりする。初めの頃、周りの使用人さん達は慌てて、ご主人様と代わろうとしていたが、ご主人様が嬉々として私のお世話を焼いていることを悟ってからは、そっとしておいてくれてるらしい。
あわあわの泡に包まれながら、ご主人様の大きな手で洗われていると、ご主人様のしっぽがご機嫌そうに揺れているのが見えた。
すっかりきれいさっぱりになった私は、毛が濡れてぺしょりと、縮んでいた。
「ははっ。もとから小さいのに、もっと小さくなったな」
楽しそうに笑っているご主人様にタオルをかけられる。ご主人様も汚れて濡れていた服を着替えたみたい。
執事さんが着替えを持ってきてくれたようだった。
「さあ、乾かしてやるからな」
優しい声でそう言うと、タオルをかけたご主人様のお膝の上に抱っこされる。
タオルに包まれながら、優しく水分を拭われる。時折見えるはちみつの様な金色の瞳は優しかった。
仕上げにドライヤーで乾かしてもらうと、モフモフの私の完成だ。
ご主人様、ありがとうの気持ちを込めて、頭をぐりぐりと押し付ける。
私の頭を優しく撫でてくれるご主人様。やっぱり、ご主人様の側が一番安心する...。
今日も私は、ご主人様のおかげでモフモフである。
◇登場人物プロフィール◇
猫ちゃん
▷元人間女性で28歳独身、社畜
▷過労死して猫に生まれ変わる
▷ご主人様が大好き!!猫生をエンジョイしている
▷真っ白もふもふの長毛で美しいアイスブルーの瞳
▷魔法がある異世界に転生してた
▷猫の本能に時々引きずられる。若干アホの子
ご主人様
▷猫ちゃんの飼い主さんで大きいお屋敷のご当主様
▷仕事をばりばりこなす有能なひと
▷猫ちゃんに甘い
▷魔法が使える。強い
▷ケモミミとしっぽが生えてる。虎の獣人さん
▷本物の虎に変身することが出来る。変身時は2mを超える
New▷瞳の色は、はちみつの様な金色
執事さん
▷ご主人様が産まれる前からお屋敷で働いている人間
▷ご主人様を唯一『坊ちゃん』呼び出来る人
▷猫ちゃんを『お嬢様』呼びする。
▷主人が猫ちゃんに構いすぎると、「お仕事しましょうね」と笑顔で諌めに来る
庭師さん
▷銀色のケモミミとしっぽが生えてる。狼の獣人さん
▷庭師の腕はピカイチ
▷猫ちゃんを『お嬢ちゃん』呼びする。
▷見た目の恐さに反して優しいし、面倒見が良い
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます