第四部 妖精女王と運命の絆編
第110話 獣人の国の惨劇
血の匂いのする薄暗い広い部屋の中で、兎の耳をつけたロングヘアの金髪の獣人が、途切れることなく悲鳴を上げていた。
兵士の格好をした若い男が、兎耳の獣人の手首に、金属の輪っかから垂れ下がった縄をくくりつけていると、
「ああ、そうじゃない、こんな奴に縄なんてもったいないだろう。
長いんだから髪の毛で縛りなさい。」
恰幅のいい、金糸の装飾が施された、マタニティワンピースのような、ストンとした服を着た髭面の中年男性が、ニヤニヤしながら指示を与える。
「まったくですな、気の利かないことだ。」
「使えなくなった獣人は、こうして楽しむくらいしか価値がありませんからなあ。」
ぽっかりとあいた四角い深い穴。そのへりに金髪の獣人はぶら下げられていた。
穴の底には爬虫類のような魔物が多数うごめいており、金髪の獣人が落ちてくるのが分かっているのか、次々に口をあけては待ち構えている。それを見た獣人はますます悲鳴を上げて泣きじゃくった。
それを無視して、兵士が金髪の獣人の長い髪の毛で、金属の輪っかに直接獣人をしばりつけ、ゆっくりと滑車を回して中央近くまで移動させて、穴の上にぶら下げた。
全体重を髪の毛で支えた獣人は、痛みと恐怖に発狂寸前だった。むしろ狂ってしまえたらと願ったがそれも無理だった。
手に手に酒を持った、豪華な衣装を身にまとった中年男性たちが、四角い穴の周囲を囲うように、椅子と簡易なテーブルのある場所に腰掛け、ニヤつきながらその様子を見守っていた。
金髪の獣人は裸の女だった。体中に無数の傷があり、股から血を流している。その血が穴の底にたれて、魔物たちが咆哮を上げた。
「さあ、お楽しみの時間だ。
──髪の毛を切れ。」
「イヤアアアア!イヤアアアアアアア!」
兵士が片方の金属の輪っかにくくりつけられた髪の毛を、槍の先端で少しずつこするように切っていく。
ガクッと体重が片方にかかり、焼けるような痛みと恐怖が獣人の女を襲う。
悲鳴が何よりのご馳走かのように、中年男性たちは興奮していた。獣人の女の顔は、もはや涙と鼻水でぐちゃぐちゃだ。
「さあ、もう片方も切るんだ。」
獣人の女が断続的にかすれた声で悲鳴を上げる中、容赦なく、もう片方の髪の毛も切り落とされた。
獣人の女は爬虫類のような魔物の大群の上に落ち、四方八方から食いつかれ、あっという間に飲み込まれていった。
それを見て興奮した男たちは、
「ああ……。これを見てしまうと、いつも新たに獣人たちをいじめたくなってしまうのですよ。」
とうっとりした。
「まったくですな。出来ればもっと人間も連れて来たいものです。」
「獣人たちは一律なかなかの美貌の持ち主ですが、人間となると、皆さまを楽しませられる程の出物がありませんでな、主催者として申し訳ない限りです。」
「あの時のあれは残念でしたなあ。すんでのところで逃げられてしまった。」
「ああ、エンリツィオ一家のボスですな、せっかく捕まえてこちらに移送しようとしていたというのに、移送の直前で、仲間に助け出されてしまって。」
中年男の1人がうんうんとうなずく。
「この世界で最も美しい女を愛人にしていましたからな、奴は。2人まとめて並べてやって、王家に逆らうというのがどういうことか教えてやりたかったのですが、女の方は奴と別れてしまった上に、アプリティオ王家の庇護下に入ってしまって、手出しできなくなってしまった。残念なことです。」
「アプリティオといえば、先日チムチに続いて、勇者召喚をやめると正式に通達してきましたな。若い息子に代替わりした途端、生意気なことです。」
「あそこは女王と王女が積極的に勇者召喚を行ってしましたからな。息子のほうも、大量勇者召喚の方法を見つけた功労者だというのに、何を今更尻込みしているのか。」
「ニナンガ王国も、どうやらエンリツィオ一家に乗っ取られたようだ。」
「これで7つの国の半分近くが、勇者召喚をやめることになりますな。」
「7大国家が足並みを揃えて魔王討伐に向かおうと話したばかりだというのに……。
頭の痛い話です。」
「評議会は、エンリツィオ一家のボスを亡き者にする選択をしたようですよ。」
「なんと、もったいないことだ。
あれだけの美しい男を。」
「まあ仕方ありません。さすがに我らも評議会には勝てませんからな。」
「評議会は、前回奴をとらえた組織に依頼をしたようですよ。組織にうまく手を回して、殺さずに生け捕りに出来れば、こちらに回せる機会もありましょう。」
「おお、それは楽しみです。何度か見かけたことがありますが、自力でとらえるのは無理そうでしたからな。」
「我らの私兵では恐らく太刀打ちできませんからな。そういう美しい男を蹂躙するのが、何より楽しみです。」
ハハハハ、まったくですな、と男たちは下卑た表情で笑った。
「チムチの貴族から聞いた話なのですが、エンリツィオ一家は、部下もかなりの美しい男ばかりだそうですよ。ボスの側近はボス以上に美しい男が2人もいるそうです。」
「なんと。組織を瓦解させた暁には、全員もれなく手に入れたいところですな。」
「全員元勇者だそうですが、随分と美しい人間ばかりのところなんですな、どこから召喚されて来ているのか知らないが。」
「王家に逆らった美しい元勇者たちを、まとめていたぶり尽くすというのも、面白い趣向ですな。奴らを絶望に落として、その顔を眺めてやりたいものです。」
「それはいい。美しい者たちの苦悶に歪む表情は、何より興奮いたしますからなあ。
ぜひとも手に入れてくださいよ?」
「出来る限り手を尽くしましょう。
さあ、新しい獣人を仕入れてあります。
皆さまあちらの部屋に移動しましょう。」
先頭に立って歩いていた男が、たどり着いた先の部屋のドアを従者にあけさせる。
部屋の中には、壁に埋め込まれている者、鉄パイプのような物で床に固定させられている者、天井から鎖で吊るされている者。様々な美しい獣人たちが、男女問わず裸の状態で囚われていた。
中年男はニヤリと笑った。
「さあ皆さま、お好きな“穴”をどうぞ。」
「──リンゼはどうした。」
ラダファは小型船の上で酒を飲みながら、スライに尋ねる。その横でアイシャが椅子に座ってうたた寝をしていた。
「また、“運命の絆”探しだとよ。絆の糸が切れそうなのを見つけたんだってさ。」
「好きねえ、リンゼも。」
イルーナが呆れたように言う。
「絆の糸をリンゼに付け替えちまえば、決して裏切らない味方が出来る。
俺たちにとって、それは重要なことだ。
それが出来るのはリンゼのスキルだけ。
どうせ俺たちは絆で結ばれてる。放っておいても追いついてくるさ。
俺たちはこのままエルフの国に向かう。」
ラダファはそう言って酒を飲んだ。
「ガイズ、少し休んでもいいのよ?
どうせあいつら、先に獣人の国に寄らないと、エルフの国に入れないんだから。どうしたって私たちのほうが先につくわ。」
赤髪の美女が、船の後方に声をかける。
「ああ、そうさせて貰うよ。」
ガイズが水面を見ながら答えた。
その時、一羽の鳥が船の上に舞い降りた。
「伝書アシャモだ。手紙がついてる筈だ。
取ってくれ。」
ラダファの言葉に、近くにいた黒髪の美女が、伝書アシャモの足に付けられた、金属の小さなバッグのようなものの蓋をあけて、中から小さな紙を取り出し、それをラダファとの間にいたスライに手渡した。
「ほい、これ。」
スライがラダファに紙を手渡す。
「……なんて書いてあるの?」
黒髪の美女がラダファに尋ねる。
「──前回の追加依頼人からだ。
エンリツィオはこちらで殺すから、出来れば生け捕りにしろとさ。」
「またあ?面倒くさいことを言うわね。」
イルーナが呆れたように言う。
「前回の依頼の時だって、捕まえたあとに横から奪い取れって、意味わかんねー依頼をあとからしてきた奴らだろ?」
スライが言う。
「あの時は元々捕縛の依頼だったから、別に追加で他の人間からの依頼で、捕まえたエンリツィオを移送途中に奪えっていうのは、楽な仕事だと思って引き受けてもいいと思ったけど……。今回は殺しの依頼でしょ?」
赤髪の美女が言う。
「前回だってとらえるのに苦労したのよ?
今回は管轄祭司の協力もないから、もっと難しくなるわ。私は反対よ。殺すだけなら楽だけど、生け捕りってなるとね。」
イルーナが腕組みしながら肩をすくめる。
「だが見てみろ、この金額を。」
ラダファが小さい紙を、後ろに立っている仲間に、振り返らずに指で挟んで上に上げて見せる。みなが紙の前に集まった。
「ヒュー♪エンリツィオ1人に、この金額かよ、よっぽど欲しいんだな。」
スライが目を丸くする。
「この先の獣人の国で、自ら吸血鬼を気取って、獣人たちをなぶりものにして楽しんでいる王族の親戚たちだ。ルドマス一家がなくなって、奴隷を手に入れるのが難しくなって、うちに頼んで来たような奴らだ。
恐らくエンリツィオを、奴隷や獣人たちと同じ目に合わせたいんだろうさ。」
ラダファが笑う。
「ヘンタイに狙われちゃったのね。
可哀想に。ご愁傷さま。」
赤髪の美女が眉を下げて言う。
「まあ無理もないわね、確かにあれは泣くまでいたぶってみたいもの。」
ミカディアがうっとりしながら言う。
「うちにもいたよ、ヘンタイが。」
「一番のヘンタイはリンゼでしょ?
一緒にしないでちょうだい。」
ミカディアは心外だという表情で言った。
「確かにな、あいつが一番のヘンタイだ。
悪かったよ。」
スライは素直に謝った。
──その頃リンゼはノアと対峙していた。
「“運命の絆”?なんだそりゃ。」
「君のことだよ。君には恋人がいるでしょう?君はその人の“運命の絆”さ。
だけどその絆の糸が切れかけてる。
──僕には絆の糸が見えるのさ。
そいつを切って僕に付け替えちゃえば、君は生涯僕のものってワケ。」
「気持ちの悪い奴だな。俺が欲しいのか?
大体俺の恋人ってなんだ。
俺に恋人なんていねえぜ?」
「……ふうん?嘘を言っているようにも見えないねぇ?記憶喪失〜ってやつぅ?
だから糸が切れかけてるのかなぁ?」
リンゼはニヤニヤと目を細めた。
「俺の覚えてない記憶を、お前はなんか知ってるってこったな。
ちょうどいい。俺も俺について知りたかったんだ。お前に話してもらうぜ!
──召喚!!」
ノアの声とともに、ノアの周囲に大量の魔物がわいて出る。それを見ても、リンゼは余裕そうに笑っていた。
──俺はその頃、船の上で、“勇者とやさしいまものの子”の内容を推理した結果について、魔族の英祐に相談していた。
「魔物とか魔族の呪いでさ、そんな風に人の体が変わるってことあるかな?
土地ごと呪ったり、そもそも出来るのか?
魔王の魔力の影響で、人間は魔力を持ったんだし、別の影響を与えることも、不可能ではねえ気もすんだけど。」
英祐は、うーんと首をひねった。
「僕の知る限り、それってここ数百年の出来事なんだよね。
だけどその呪いは百年程度の話なんでしょう?そんな急激に変わるものかな?
確かに瘴気が濃いと魔物がわくから、魔王様のいる場所に近いほど、強い魔物はたくさんわくんだけど。」
「なるほどな、魔王を連れてくれば、いい魔石の取れる魔物がたくさんわくっていうのは、あながちまちがってねえのか。」
「うん、それはそうだと思うよ。
魔王様は元々全魔族の中で、最も力の大きい方だけど、魔族や魔物が暮らしやすくなる環境づくりもしてるんだ。」
「へー……。なんか魔王っておっかないイメージあったけど、同じ種族のことを考えてるいい王様なんだな。」
恭司が感心したように言う。
「当然ですわ!魔王様はとてもお優しくて常に国民のことを考えるだけでなく、実際にそれを行動に移す方ですもの。」
リシャが自慢げに言う。
「それだけでなく、女王様をとっても大切になさっていらっしゃいますのよ!
全魔族女性の憧れですわ!
ですからわたくしはエイスケが次の魔王様にふさわしい方だと思っておりますの。」
うっとりした目でリシャが英祐を見つめる。英祐はハハ……と苦笑していた。
「種族が違うだけって感じだな〜……。
一回会って話してみてーかも。魔王様。
いずれこの世界の王族を滅ぼしたら、手を取り合えたらいいよな、魔族とも。」
「いいね!僕からも話してみるよ!
攻め込まれるから困ってるってだけで、別に魔王様は人間が嫌いなわけじゃないからね。」
「そうなのか?」
「うん、そうじゃなきゃ、元人間の僕を助けたりなんてしないでしょう?
僕はニナンガ王宮で自爆して、そのまま転送で飛ばされた先が、魔王城の中だったんだけど、いきなり魔王様の前で再生しちゃって、最初はすごく怖かったんだよね。」
まわりも魔族ばっかだろうしな。
「だけど、その再生も、魔王様が僕を魔族にしてくれたからこそ、出来たことだって知って、僕は感謝しかなかったよ。
人間は自爆したら再生不可能だから、魔族にするしかなかったのだ、申し訳ないって言ってくれたけど、おかげで助かったんだ。
魔王様は僕の命の恩人だからね。」
「てことは、自爆でバラバラになったお前の肉塊が、いきなり魔王城の中の、魔王の前に転送してきたって感じなのか?」
「うん、そうなるね。もうそこまでの距離を転送は出来ないけど、その時はそこまで飛べたんだ。ラッキーだったよ。
魔王様は肉塊が人間だって分かって、すぐに魔法陣をしいて、僕を魔族に変換する魔法をかけてくれたんだって。」
「──確かにそれは優しい以外の何ものでもねえな……。
見知らぬよその種族が王宮に勝手に入り込んだってのに、すぐにこのままじゃ死んじまうって分かって助けるなんて、出来る力があっても、なかなか出来ることじゃねえぜ?」
恭司の言葉に、リシャが、そうでしょう、そうでしょう、とうなずいた。
「君たち、そろそろ獣人の国につくよ!
荷物の準備を済ませておいてね!」
「あっ、はい!」
アシルさんの言葉に、俺たちはデッキの椅子から立ち上がった。
距離的にはそれなりに遠いのに、潮流のおかげでめちゃくちゃ早くついたな。
人間の国の間を移動する時は、何日も船の中で泊まることになったのに。
獣人の国は、たくさんの緑に囲まれて、未開発の古き良き町並みが広がっていた。オランダ村みたいな風車も見えて、すごく美しくてメルヘンチックだった。
「うわあ〜いいなあ、この景色。
なんかほっとするぜ……。」
「ニナンガも未開発だけど、どっか寒々しかったのは、緑がなかったからなんだな。
建物の色も灰色ばっかだったけど、ここは色とりどりで綺麗だな。観光向きだ。」
恭司も感心している。
アシルさんたちは入国手続きがあると言って、俺たちにここで待っているか、ついてくるかどうする?と聞いてくれた。
「僕たち、帰る前に寄りたい食べ物屋さんがあるんだけど、一緒に行かない?」
英祐が笑顔で誘ってくる。
「へえ!なんの店だ?」
「獣人の国でしか食べられない料理を出すお店だよ。凄く美味しいんだあ。」
「いいなそれ!行こうぜ匡宏!」
俺と恭司、英祐とリシャは、ここに残ってその店に行くことをアシルさんに告げた。
「じゃあ、手続きが終わったらすぐに迎えに来るね。エルフの国に行く申請も同時にするから、ちょっと時間がかかるけど。
許可がおりるまで時間がかかるから、しばらくは獣人の国にいることになるよ。」
危険だからとアダムさんとフランツさんが俺たちの護衛、カールさんとローマンさんがエンリツィオの護衛として行くことになり、俺たちはいったんそこで別れた。
他の人たちは船に残るらしく、めいめいに獣人の国に散っていった。俺たちの用事が済んで、戻ってくるまでは、このあたりの港に停泊して待っててくれる。大勢連れて行ったところで、妖精の国に入れる人数が決まっているかららしい。あと、船を奪われないようにする為だな、とエンリツィオが言った。
英祐が案内してくれたのは、個人経営の洋食屋みたいな雰囲気の、感じのいい雰囲気のお店だった。中も綺麗に掃除が行き届いていて、獣人の国の玄関口の店らしく、店内には魔族やエルフの姿も見えた。
「ここの名物なんだよ。
僕、ここ来ると必ず食べるんだー。」
全員でカウンターに座り、英祐が注文したものと同じものを頼んで待っていると、
「親父、ザシャハを頼む。」
カウンターの俺の隣の席に、おでこにヘアバンドをつけた金髪の男が座った。
俺を見てちょっと驚いたような表情を浮かべたけど、気のせいかな?
てか、人間もくるんだな。
「はいよ、おまちどう。アシュール名物ザシャハだ。熱いから気をつけてな。」
「やったー!きたきた!」
「うんっまそう!」
ザシャハは大きな塊肉の乗った、太い麺の麺類だった。一見ソーキそばみたいだけど、さすがに醤油がないから、味は魚介と塩の出汁に、なにかの柑橘系をお好みで絞って食べるらしい。離れた席でアダムさんたちも同じものを食べていた。
「うんめえ〜。久々に麺食ったわ。」
「ね?美味しいでしょ?」
「おお、これは癖になるわ。」
「美味しいお店に連れてきて下さってありがとうございます。エイスケと2人きりでしたら、もっと良かったのですけれど。これじゃデートになりませんわ。」
「リシャってば……。」
英祐が頬を膨らましながら言うリシャに苦笑する。お邪魔で悪かったな!と言うと、まあ美味しいものは大勢で食べるともっと美味しいからいいですわ、とリシャが笑った。
隣の席の男も、美味そうに勢いよくザシャハをかきこんでいる。
「ボフッ!ゲフッ!」
勢いよくかきこみすぎて、汁が器官に入ったらしい。隣の席の男は苦しそうに息を吸いながら、咳を繰り返していた。
「大丈夫か?ほら、水飲んで。」
俺が水差しからコップに水を入れて手渡すと、男は一気に飲み込んだあと、
「あ、ああ、スマン。助かった。」
と言った。
カランカラン……と入り口のカウベルみたいなベルが鳴って、新しくお客が入ってきたかと思うと、店主の表情がいきなり険しくなった。
「おい、お客様がいるんだぞ、穴村の奴らがこっちから入ってくるんじゃない。」
──穴村?
「あ、す、すみません、裏口がしまってて。素材をお届けにあがりました……。」
獣人の若い男の子が、申し訳無さそうにしながら、再びドアをあけて店を出ていく。
「いま裏口のカギをあけるから、そのまま裏に回ってくれ。」
そう言って、さっきまで感じがよくて優しかった店主は、険しい表情のまま、店の奥へと引っ込んでいった。
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