第3話 アンデッドの軍団
「どうしたの?今日は調子悪そうだね?」
魔法師団と共に森で鍛錬を行う為、森に向かう途中の道で、影森は様子のおかしいクラスメートの新井明音を気づかった。
同じ魔法を使う者同士であれば、連携して訓練することもあるが、影森は火魔法、新井は水魔法なので、離れた場所でそれぞれ鍛錬しており、日頃お互いがどのように魔法の練習をしているのかが分からない。
このところ毎日、森に連れて来られては各自一人ずつ森に散って自主練習をしている。
最初は魔法師団が一人に一人ずつ、ついていたが、この森にはそこまで強い魔物が出ないからと、個人練習に切り替わった。なんでも王宮が管理している森なのだそうだ。
危なければ支給された信号弾を上げれば、すぐに助けが来ることになっている。
魔力が切れるまで魔物を倒した後は、グッタリして身動きも出来なくなるので、当然森の中で倒れてしまわぬよう、そこを見極めて帰って来なくてはならない。いくら王宮が管理している比較的安全な森とは言っても、魔物が多数生息している場所に代わりはない。
信号弾を出せずに気絶してしまえば、誰にも気付かれず、助けも呼べない。魔物たちに食われるか殺されてしまうのだ。
それでも毎日毎日、魔力切れ寸前まで戦わないと、王宮の中に入れては貰えない。
王宮の入口で鑑定士が待っており、魔力切れ寸前なことを確認してから、ようやく安全な王宮の中へと戻れるのだ。なぜこんなにも酷使されるのか。それは魔力切れは電池切れと似ているが、それと違う点は、魔力切れをおこすまで戦うと、最悪痛みで気絶してしまう代わりに、MPのステータス上限値が上がるという、独自の特典があるからなのだ。
これはHPにはおこらない。なぜかMPのステータスにだけおこる、不思議な現象。
MPの上限値の上昇は、そのまま攻撃出来る回数や、使える魔法の威力向上へとつながる。魔法の威力は知力と攻撃力が基本となるが、ある一定以上のレベルから、MPを消費した分だけ攻撃力が上がるようになるのだ。
その為魔法使いだと分かった生徒たちは、MPの上限値を上げるため、日々擦り切れるまで戦わされることになったのだ。
本来は幼少期から繰り返し訓練をし、休みを挟みつつ行うもので、こんな風に一気に上げるものではないらしいが、一気に上げたほうが、上限値の上がったMPが満タンになる前に、また使い切ることが可能になる為、むしろステータス上げだけを目的にするのならば、このほうが効率がいいらしい。満タンになるまで休めば、体力の回復も早くなるのだが、当然その分使い切るのが遅くなる。
転生勇者である自分たちは、もとからステータスがこの世界の人間よりも高いため、MPを使い切るのに、はじめから時間がかかるのだと説明を受けた。この世界の普通の人間なら、何も訓練をしていない子どもで1桁、魔法使いでない大人でも、ようやく2桁くらいなので、使い切るのに時間がかからないらしい。だが転生勇者の生徒たちは、はじめから100をこえる者がほとんどだった。
はじめは弱い魔法しか使えなかった為、使い切るのに100回以上魔法をはなった。
もちろん、1回の攻撃では魔物は死なないので、何度となく攻撃しなくてはならない。
そのうちどの程度で倒せるのかが分かってくるようになってからは、王宮の魔法師団が森にまでついて来なくなった。
その頃には王宮が管理する森の魔物は、既に3回で倒せるようになっていた。
「うん……。
く、国峰君、どうなったかなって。」
その言葉は影森の表情に影を落とす。
──あれから2ヶ月。何も音沙汰がないけれど、生きているとは到底思えなかった。
訓練の他に仕事もしていた時は、体力の回復が遅い分、MPの回復も遅いのか、半日もすればすぐにMPが切れてズタボロになっていた。MPが満タンでないと体力の回復も遅い為、その逆もおこりうるのだろう。
それなのに、最低でも訓練終了時間までは帰して貰えず、実戦であればそういうこともあるとして、最後は近接職でもないにも関わらず、ナイフで魔物と戦わされ、魔法なら余裕の魔物に対し、倒せないまま攻撃を繰り返した。その後に更に仕事と思うと、もうウンザリだったが、今は適度な疲れとともに眠りに落ち、快適な目覚めを迎える日々が続いている。気絶しないで魔力切れ寸前に持っていくコツも、だいぶ掴めてきた気がする。
俺たちの為に必要なことだったんだ、と影森は心の中で言い訳をするが、生きる術を持たないクラスメートを、着のみ着のままで追い出したことに変わりはなかった。
「やっぱり、死んじゃったのかな……。
あの時私たちが見捨てたから……。」
「よそうよ、その話は。」
考えていたことだが、口にしたくはなかった。死体を見ていなければ死んでない、どこかで生きている可能性だってあるのだから。
そうだ。近くには人の住む町も、教会もあると言っていたじゃないか。だったら保護者のいない子どもを、教会が保護してくれている筈だ。警察のような組織や、役所のような場所だって、異世界とはいえある筈だ。
そこに助けを求めれば、なにも死ぬようなことはない筈。そう考える影森は、現代よりも発展していない世界に、そんなものがある筈がないという可能性に目と耳を塞いだ。
「だってさ、もし、あれが私たちの誰かだったら、もし私だったらと思うと……。
もし、もしだよ?
スキルがなかったら、この世界に放り出されたら、どうやって生きていけばいいの?」
「──やめろってば!!」
新井がビクッとする。
「……ごめん、大きい声出して。」
「ううん、私こそごめん。
影森君“も”、──気を付けてね。」
「うん……?」
そんな風に新井は、なんだかとても含みのある言い方をして、森の奥へと消えてゆく。
それが妙に引っかかったが、日があまり差し込まない森の奥は暗い。突然何が出てきてもおかしくなかった。新井と離れて1人になってしまうと、急に不安が増してくる。
そんなことはすぐに、頭のどこかへ追いやって、ドキドキする心臓を誤魔化すかのように、杖を構えて警戒しながら先へと進む。
突然、足首に何かが絡みついた。慌てて足元にファイアーボールを放つ。
「影……?」
足首に絡みついた影は、手応えがないまま影森から離れていく。シン……とした森の中で、影森はその場で周囲の気配を伺った。
──突然まばゆい光が放たれ、一瞬目を閉じた隙に、顔面を水の塊が襲う。
『息が……!』
もがくが水の塊は離れない。思わず掴める筈のない水の塊を掴もうとして、手が無我夢中で水の塊の周囲をうごめく。背後から誰かに肩を叩かれた気がした。ファイアーボールを何とか後ろに向けて放った──筈だった。
杖は反応せず、顔から水の塊がはがれる。
影森はぜいぜいと息を吸い、その場に崩れ落ちる。もう辺りには何の気配もなかった。
静かな森に、風に揺られた木々の葉が落ちて、影森の周囲を通り過ぎて行った。
「よー、おつかれー。」
森での訓練を終えて、魔法使い組み全員で城に戻ると、城で練習していた、剣士、弓使い、テイマー組の半数が明るく出迎える。
訓練は相変わらずきつかったが、訓練後の仕事がなくなったことで、明るさを取り戻した者、まだ気にしている者と様々だ。
「なんだよ、お前ら全員ぐったりしてね?
今日の訓練、そんなにきつかったのか?」
日頃魔力切れ寸前を見極めて、城に戻って来ていた筈の魔法使い組みたちが、全員青い顔をしてうつむいていたり、床にしゃがみこんだりしている。まるで最初の頃の、力配分も分からず戦っていた頃や、訓練のあとに城の仕事をさせられていた時かのようだった。
近接職組みと弓使い組みが、そんな魔法使い組みたちの様子に首をかしげている。
「う、うん、まあね……。」
影森は力なく答えた。
夕食は全員大広間で食べる。晩餐会用の長いテーブルに全員腰掛け、目の前に並んだ豪華な食事をワイワイと楽しんだ。これだけはこの世界に来てから変わらない、唯一の贅沢で楽しみだ。勇者だけが食べることの出来る食事。この国は存外貧乏なのか、ベッドなんかは思ったよりも質素だ。城自体もこじんまりしていて、なんなら日本にいた時に映像で見た外国の城のほうが豪華だと思う。
石造りで古めかしく、暖炉はあるが当然冷房なんかはない。夏の暑さは相当なものだと思うが、この場所は割合高地にあって、夏は涼しいのだという。それと水魔法で涼しくしているらしい。なるほど、外に出ると少し暑いが、王宮の中がひんやりとしているのはそういう理由らしい。なぜこんな場所に城を建てたのか、日本人からすると不思議ではあるが、ドイツの古城なんかも高いところに建っているし、攻め込まれることを考えた場合、存外そんなものなのかも知れなかった。
休みの時に、生徒の1人が王宮の図書室に足を運ぶと、そこは図書室と呼ぶにはおこがましいくらいの、せせこましい場所で、蔵書の数も自分たちの高校の図書室よりも、格段に少なかった。せいぜい個人の本棚程度。
それも歴史のありそうな書物は1つもなくて、割合最近出たのであろうと思えるものばかりだった。兵士の1人に聞くと、重要なものは一般公開されていないのだと言われた。
なるほどどと思いつつも、重要な書物ならばそういう扱いになるのも分かるが、なぜこうも一般書籍が少ないのか解せなかった。
それをポツリとつぶやくと、そもそも紙自体が貴重な為に、個人が所有出来るような本が、あまり発行されていないのだと教えられた。それならばこの少なさも妥当なのだろうと思いつつ、この国について書かれている書籍を探すと、地図らしきものを発見した。
らしき、というのは、地図というにはあまりに情報が少なかったからだ。町の名前なども書かれておらず、全体の形と山の名前がポツリ、ポツリとあるだけ。それを見ると、この国はかなり高い崖に囲まれた場所に作られた国だった。なるほど、こんな場所に国があるなら、農作物などを作るのが難しいだろう。
肉は魔物の肉だと聞いているから、家畜なんかも育てていないのかも知れなかった。
崖の上に町を作った例は珍しくない。だがここは国そのものが巨大な崖の上にあった。
魚が滅多に食卓に並ばないのは、海に降りられる場所が少なく、また崖の上まで運ぶのが大変だからなのだろう。それでも出るのだから、さすがは王宮といったところか。庶民の口には恐らくあまり入らないと思われた。
そう考えると、自分たちは一応贅沢をさせて貰っているのだと思い、それ以外は何も与えられない自分の心を慰めることが出来た。
地図を見ている間、まるで監視でもしているかのように、兵士はずっと生徒のそばから立ち去らなかった。気軽に見ていい図書室の書物の筈が、なにか見てはいけないものを見たような気持ちにさせられる。──自分たちには自由がない。そのことに気付くには、勇者だなんだと持て囃されて、特別な力を手に入れたことに調子づいた子どもの頭は、残念なくらい足りなかった。生徒が図書室から去るまで、兵士は生徒の姿を見つめていた。
城に来てからというもの、外は王宮が管理している森よりも強力な魔物がいると言い聞かされて、今の自分たちでは太刀打ち出来ないからと、外出すら許されていない。
森の魔物すらまだ一撃で倒せないことを考えると、確かに外に出るのは怖かった。
こうして言うことさえ聞いていれば、美味しいご飯と温かい寝床が与えられる。
いずれ魔王を倒す時のことを考えると、城の外の魔物もやがては倒さなくては、先々進めないであろうから、戦う日はいずれやってくるだろう。今はまだ負ける気がしない。
それと同時に外の世界が怖くもあった。すぐに安全なところに戻れず、交代で寝ずの番をして、安全な町までたどり着かなくてはならない。ぬるい狩りを続けている今の自分たちには、それがずいぶんときつく思えた。
その時兵士が大広間に飛び込んで来た。
「敵襲です!
全員王の間にお集まり下さい!」
全員が王の前に集められる。
「現在この城に、大量のアンデッドが向かっていることがわかった。
城の兵士だけでは数が足りない。
実戦練習だと思って、勇者であるあなた方にも協力して欲しい。」
宰相が段の上から皆に告げる。
「まあ、貴殿らが加われば、物の数ではないだろう。
頼むぞ、勇者たちよ。」
王の言葉に皆が沸き立つ。
「ついに実践かー!」
「訓練ばっかで飽き飽きしてたぜ!」
前衛職に隊列の指示がなされる。
いざ外へ迎え撃とうとした時、一人の兵士が、「伝令がございます!」と広間に飛び込んできた。皆が兵士の方を振り返る。
騎士団長に耳打ちをすると、騎士団長が慌てた様子で、それを宰相に耳打ちをする。
「なんと……そのようなことが。」
宰相が王に耳打ちをする。その言葉を聞いた途端に、サッと王の顔色が変わる。
「──諸君、話が変わった。
あり得ないことだが、今回のアンデッドは魔法を使うものばかりらしい。本来魔法を使うアンデッドは数があまりおらず、このように大量に攻めてくるなど聞いたことがない。だが実際にこの城の近くに来ているのだ。」
王のその言葉に、異常さを知っている騎士団の兵士たちがざわつき、なにがどう凄いのか、実感のわかない生徒たちがキョトンとしている。それを見た兵士の一人は、嫌な予感に心がざわついた。今回は魔族の国に送り出す勇者たちをただ育てるのとはわけが違う。
今まで安全だった筈の城に、自分たちにまで危険が迫ってきているのだ。この子どもたちの危機感のなさに不安が拭えない。
「魔法には魔法で対抗しなくてはならない。
魔法師団を前衛に、弓兵が後ろから攻撃。剣騎士団は撤退時のサポートを頼みたい。」
兵士たちが更にざわつき出す。
「かしこまりました。
全力で当たらせていただきます。
魔法師団長が膝をついて頭を下げた。
「君たち、行くぞ!」
魔法師団長が影森たちに声をかける。
「がんばれよー!」
という前衛職の無責任な声が聞こえた。
暗闇の中を、ゆっくりとこちらに近付いてくるアンデッドたち。
ランプや松明の明かりに薄く照らされたそれは、なお一層不気味だった。
「魔法師団、前へ!」
団長の声と共に、魔法師団が前に進む。後ろでは西田たちを含む弓兵が弓を構えて狙いを定める。
「火魔法部隊、前へ!」
影森が声をかけられ尻込みする。
「さあ、君も前へ!」
後ろから押されて、影森は前に出た。
小動物サイズなんかじゃない、大人サイズの、本当の化け物。すぐ間近まで迫ったそれを見た影森は、足の震えを止めることが出来なかった。すぐにまた足が止まってしまう。
「ファイアーボール!」
火魔法部隊長の掛け声で、一斉にいくつものファイアーボールが、アンデッドに向かって放たれる。だがアンデッドたちはそれを、風魔法、水魔法、雷魔法で相殺した。
「影森、何やってんだよ!?」
剣士の益田の罵る声がする。
影森は杖にしがみついたまま震えていた。
「……撃てねえよなあ。
だってもう影森クン、
──魔法、使えねえもんなあ?」
声と共に空中に人の姿が浮かび上がる。
「く、国峰!?」
空中に浮かび上がったと思ったのは、アンデッドが支える椅子に腰掛け、黒い服を着た国峰だった。手には分厚い本を広げている。
「どういうことだよ!?」
益田が叫ぶ。
その様子を見た、水魔法の新井、雷魔法の岡崎も気まずそうにしている。
「こいつらの魔法は、ぜえーんぶ、俺の手の中さ。
そこにいるのは魔法使いの勇者なんかじゃない。
スキルも、魔法も奪われた、ただのコスプレイヤー集団だよ。」
国峰は嘲るように笑いながら舌を出した。
「まさか……ほんとにクラス全員の魔法を奪ったの……?」
「お前ら、ホントなのかよ!?」
「何で俺たちに言わねえんだ!」
影森たちは俯いて答えなかった。
「だって!」
新井が泣きそうになりながら叫ぶ。
「言えねえよなあ。
スキルも魔法も、なくなっちまったなんて。
他の奴らに話せない、状況が分からない、だから自分だけかも知れない。
──無能な国峰君と同じになりました、なんて言ったら、自分だけ追い出されちまうもんなァ!?」
新井がすすり泣きを始める。皆、それを聞いて、誰も何も言えなかった。
「俺が用事があるのは、魔法師団の皆さんだけだ。
テイマーと剣や弓のスキルは人気がなくてね?
売れないから別に必要ない。
魔法を使う魔物が大量に現れれば、前衛に出てくると思ってたよ。
さあお前ら、あいつらを連れて来な!」
国峰の言葉と共に、一斉にアンデッドが次々と強力な魔法を放つ。
「そんな……ネクロマンサーだと?」
「あの少年はスキルなしの筈では……!」
「慌てるな!迎え撃つんだ!」
魔法師団も一斉に魔法を放つ。
「ぐわっ!」
「うわっ!」
元クラスの面々も魔法の戦力だった筈が、一気に戦力が削がれ、国峰の従えるアンデッドたちに、一方的に押されてゆく。
「くそっ!国峰だ!
ヤツの持っている本を狙え!」
弓部隊が国峰を狙う。
「やった!」
西田の矢が国峰の持っていた本を貫いて消滅させた。皆が歓声に沸き立つ。
だがアンデッドは止まらない。
「なんで……なんで?」
国峰は、やれやれ、と肩を竦めると、手をかざして再び本を出現させる。
「……これは誰にどのスキルを付与したか、確認する為のただの帳簿に過ぎない。
覚えてるのが面倒だから、目に見える形にしただけだ。
これを消してもあいつらは止まらないよ。」
そう言いながら、アンデッドが連れて来た魔法師団の一人に触れる。
「な、何を……!」
「はい、これでアンタも、──タダの人。
もう用はないよ、バイバイ。」
そう言って放り出す。
何が起きているのか分かっているのは、元魔法使いのクラスメートたちだけだった。
「──来たね。」
後ろに控えていた剣騎士団の間をぬって、一人のロングヘアの美少女が前に出た。
「私にやらせて下さい!」
「皆川!」
「紗代子!」
学年ナンバーワン美少女皆川紗代子。剣騎士団にも、竜騎士団にも、魔法師団にも属さない彼女は、ずっと後方から戦況を見守っていたが、ついに前線に現れた。回復魔法使いの彼女の力は、アンデッドに対しては、唯一攻撃魔法に転じることが出来るのだ。
「今日の一番の目的は君だよ。
希少スキル、対アンデッドにも効果のある、回復魔法レベル5持ちの、皆川紗代子さん。
魔法の練習に外に出て来ないから、こうして引きずり出すしかなくなった。」
「皆さん、援護お願いします。」
言うが早いか皆川は、
「エターナルヒール!」
特大回復魔法をアンデッドに放つ。
「やった!」
魔法の当たったアンデッドが崩れ落ちる。
「エターナルヒール!
エターナルヒール!
エターナルヒール!」
魔力の続く限り、皆川はエターナルヒールを、アンデッドに向けて放ち続けた。
アンデッドも応戦するが、回復魔法を相殺出来ずに次々倒れてゆく。
それに鼓舞された残りの魔法師団も魔法を放ち、弓兵たちも矢を連続で放った。
皆川は肩で息をしながら、椅子を支えるアンデッドがいなくなり、地面に降り立った国峰を睨む。
「……さあ、どうするの?
もう、あなた一人みたいよ?」
国峰はニヤリと笑った。
「──再生。」
魔法師団と皆川の周囲に、一気にアンデッドが復活する。四肢を絡め取られ、身動きが取れなくなってしまう皆川と魔法師団。
生徒たちの中から悲鳴が上がった。
アンデッドは魔力の尽きた皆川を捕らえ、国峰の元へと引きずり出した。
「力がないって悲しいねえ。
気に入らないヤツ一人殴れない。」
国峰は睨む皆川の顔を掴んだ。
「はい、これでアンタも、──タダの人。」
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