第17話 酷い誤算

ここまでのあらすじ・・・

おもしろ動画を見るのが楽しみな俺 悠(小学4年生)は父さんのノートパソコンをその日もちょっと借りて動画を見ようと起動したら、いつのまにか入っていたゲームのアプリが気になって起動してみた。

大画面に東洋デザインな綺麗な風景が出てきてストーリーなのか?綺麗なオープニング動画が始まった。

 おお!なんかわからないけど面白そう?

その画面には以下の内容が書かれていた。

『あなたは今から皇民となりいずれかの皇宮へ見習いから仕事をしていただくためお城に登城します。今からあなたは6つの国から選んで登城し身分を得るために皇宮活動(仕事)をしてください。そして選んだ国の皇王もしくは皇妃になることがあなたの目標です。』

その名も皇宮打破おうきゅうだはという・・・。

そこで俺 悠は亜貴というプレイヤー名で見習いから順番にレベルをあげていき現在皇妃候補となって試練をうけた。

ただこのゲーム・・・友達の歩くんも遊んでいるみたいなんだけど

推奨年齢が17歳以上と聞いて、こっそりやるつもりで隠れてやっていたんだ・・・。

即ばれたけど(親に)


現在のステータスは

名前:亜貴 水青龍宮(すいせいりゅうぐう)の皇民(こうみん)

Lv 皇妃候補(おうひこうほ)

種族 貴石族(きせきぞく)

智5 信5 仁4 勇5 厳5

書類整理ステータス5

皇妃候補ステータス5



第2回戦目が始まる・・・。

緊張の中俺はログインをしなおして待機していた。

俺はサフランと約束をしていた。

皇城にて合流をしようと

そう話をしていた。

あいかわらずアレクサンドライトは部屋にこもりっきりだったが、俺たちは特に俺は今回のこの大会が終わったら母さんの機嫌が直るまでゲームができなくなる。

だから負けたくない・・・。

絶対勝つつもりで準備をしてきたし・・・優勝しか見えてなかった。

だからってわけじゃないけどもっとも見えてない致命的なことに気が付けなかった。

後で考えても悔やまれることだったと思う。


今思えばユナの旦那さんトニー(教皇)が消えていなくなった時点で気がつくべきだった。

そして依頼人のアマナの情報しか見ていなかったというのも致命的だったと思う。

だいぶ前から始まっていたんだ。

彼らは用意周到にこの大会のために準備をしてきていた。

途中から参加しはじめたぺーぺーの俺なんかが勝てるわけないのになぜ勝てると思ったんだろう・・。


向こうは

人族 405人

魔族 25人

神族 5人

貴石族 1人

エルフ族 36人

龍族 1人

ドワーフ 5人

獣族 80人


それにたいしてこちら側は

人族 500人

魔族 102人

神族 0人

貴石族 2人

エルフ族 25人

龍族 0人

ドワーフ 2人

獣族 100人


あきらかに不足している種族もいる。

しかしそれにしてもそれを補えるほどの種族を集めたので大丈夫だろう。

神族と龍族がいないのは痛いが・・・とおもっていたのがだめだった。


『亜貴・・・やっとあえた!』

はあはあ息をきらしながらサフランが近づいてくる。

俺はやあと手をあげるとサフランのほうへ寄っていった。

『そっちはどう?』

『最後までやっぱり龍族と交渉したけど味方になってもらえなかったよ』

『そっか・・・』


まぁ仕方がない・・・。

条件的にこちらが不利なのはわかっていたことだけど、やっぱり味方についてほしかった・・・・。

なぜなら龍族1人につき神族50人に匹敵するからだ。

俺たちはおいていたごみを確認しに行き壁沿いにくる敵にたいして防御策を幾重にも施した。

『最初魔族の人たちに斥候を頼もう。そのあと人族を半々に分かれてもらって東と西側の城壁を囲むように待機してもらおう』


皇王に許可を取りに城へ向かう。

昨夜まで出張中で昨日途中参加していたダナン(男爵)と合流し作戦について簡単に話をすると自分も皇王に話があるからといってついてきてくれた。

公爵(カナン)は東がわの城壁に

子爵(サリー)は西側の城壁に待機してくれていた。

伯爵(ルナティック)は皇王と一緒に待機してくれていて一緒にアレクサンドライトに説得を続けてくれていたみたいだった。

まだひきこもっているみたい・・・。


後ろから父さんがビール片手にやってきて椅子に座ってみてくれた。

『皇妃は出てこないのか?やっかいだな・・・』

そうつぶやくとぐいーとビールを飲み始めた。

俺はサフランとダナンと3人で城の皇王のもとへ行き作戦について話した。

『人族を分けるのか・・・。』

皇王は渋い顔をしあごのあたりをさすりながら考えはじめた。

魔族を斥候にするのも気にいらないみたいだった。


『難しいね・・・けどもう第2回戦まで時間がないからとりあえずその案でやってみようか・・・。』

ダナンは斥候の魔族と一緒に行ってくれると言って出ていった。

サフランと俺は皇城に残りアレクサンドライトの部屋の前で出てくるよう説得を試みつつ戦況の様子を見ることになった。

サフランは皇妃の部屋の前で大きな声をあげながら扉を激しくたたいた。

『出てきなさいよ!あなたが出てこなければこの大会はこちらの不利になるのよ!』

『・・・・・・・。』

『もういい加減にしなさい!なんで出てこないの?理由をいいなさいよ!』

扉の向こうでぶつぶつと声が聞こえている。

アレクサンドライトの小さく震えるような声が聞こえている。

『・・・・もう・・・だめ・・・・無理・・・・。』

『はぁ?』

けたたましいドラの音が鳴り響くと第2回戦が始まった。

斥候がわぁー!という声をあげる

それと同時に皇妃の部屋から

『キャー!!!!!!』という悲鳴が聞こえた。

『もう!終わりよ!なにもかも終わりだわ』

錯乱している。


酷い取り乱し方に外で聞いていたサフランが呆れた顔をし肩をすくめて戻ってきた。


話にならないと言った感じだろうか。


『ねぇ亜貴…お願いがあるんだ』

サフランが俺の所まできて耳打ちをする。

チャット画面上で

サフランはとんでもないことを言い出した。


『僕が裏切っても嫌いにならないでね』


え?どういう…。


その途端いきなり皇宮の扉が勢いよくあき

目の前に敵兵が現れ囲まれた。


サフラン?

サフランは目がしらに指をつまむようにさわるときゅっと口を結び僕のほうをみて語った。

『僕はなるべくこちらが勝つように頑張ったんだけどね・・・やっぱり王妃なしは戦況が悪いし・・・・向こうの側についたら僕に有利にしてくれるって・・・だからねこれしかなかったんだ。』

言い終わると同時に後ろから来た敵の兵だろうか殴られて俺は・・・・目の前が真っ暗になった。

正確にいうとPC画面が暗転し強制的に皇宮打破おうきゅうだはのネットワークからログアウトされた。

それが俺が見た皇宮打破おうきゅうだはの画面だった。

その後、皇宮打破おうきゅうだはへのログインはかなわなかった。

数日たってからニュースで大々的に行われた皇宮打破おうきゅうだはの大会の結果だけを小さくマスコミが取り上げたがそれによると俺(亜貴)が皇宮打破おうきゅうだはにログインして遊び始める前からの戦術が掲載されていてその戦術を考えた人がいるところが優勝していた。

どおりでアレクサンドライトは出てこなかったはずだ・・・。

自分たちが負けるとわかっていたんだな・・・。

いろんなことがあったが・・・なぜか悔しいという気持ちよりも結局自分はログインしている大人たちの手のうえで転がされていたと思うとあまり気持ちのいいものではなかった。

『約束は約束だから・・・。』そういうと母はノートPCを取り上げ父のほうをきっとにらむとノートPCをどこかへ片づけてしまった。

なぜ約束してしまったんだろう・・・。

その後二度と皇宮打破おうきゅうだはへのログインはかなわなかったのである。

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皇宮打破 tudoi @kuishinboyome

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