第14話 4侯爵
『わたしたち負けるかもしれない・・・』
なんですとー!
アレクサンドライトはすでに諦めきってしまっているのかがっくりうなだれてしまっている・・・。
サフランもきまずそうに
ごめんと何度も謝っていた。
仕方がない
こうなったら何がなんでも4侯爵にきてもらわないといけない・・・。
じゃないと話が進まない。
とにかくこの状況を打開するなにか策を練らないと。
言葉どおりに負けてしまう。
4侯爵のうちの一番穏やかな人を味方につけてやりやすくできるようにしていかないといけない、そうおもって一番穏やかな人に手紙を送った。
『お茶の用意をしておきましょう。』
そういって指示を出すアレクサンドライトの指が震えていた。
緊張している。
失敗したらそれこそ目もあてられない。
菓子やお茶の用意をしながらもあれやこれやでとにかく
お茶は飲みやすいチョコモルトスペシャルティーをチョイスしお菓子もそれにあった甘さ控えめのクッキーを準備してもらった。(オンライン上だから味もひったくれもないが・・・)
4侯爵のうちの一人は今長期の出張中だということは、はじまるまでに説明を受けて知っていた。
『断られたらどうしよう・・・』
悲壮な顔でうなだれているアレクサンドライトを見て
『とにかく声をかけていくしかないよ!』
サフランはいらっとしながらもそう言って励ましてくれた。
そうだよ
ここまできたらやるしかない!
コンコン
扉をたたく音がして一人目が入ってきた。
『遅くなりすみません・・。』
その姿は燃えるような真っ赤な髪の毛をうしろで束ねて少しだけ歩くとさらりと髪の毛が後ろで揺れた。(綺麗なアバターというイメージ)
瞳は薄いアイスブルーの切れ長の三白眼はこちらを見ると自己紹介をはじめた。
『4侯爵の侯爵の一人、ルナティックです。どうぞお見知りおきを』
そういうとルナティック侯爵はお辞儀を深々とした。
『久しぶりだねルナ…』
『陛下お元気でしたか?』そういうと親しげに微笑みながら
『なかなかこちらへ伺うこともできずにおりましたがよかったです。』
そういうと神経質そうな細い指でカップをつまみ上げ口に含んだ。
そうとう神経質な感じのアバターだ。
『今日ここによばれたということは宰相は使い物にならないひとが突然なったかもしくは使い物にならないぐらい酷いことになっているかのどちらかですか?』
皇王は渋い顔になると
『実は・・・さっそく閨皇魔宮殿にしてやられてね身動きとれないんだ』
『閨皇魔宮殿かぁ・・・。』ルナティックはやるなぁ・・・というと席をたち窓際で外を見た。
『ということは今宰相から大臣クラスまではうごけない戦闘不能状態ってことか・・・そのわりにはまだせめてはきていないんだね?』
俺は今までのいきさつをかいつまんで話した。
その中にはごみにかんすることも含まれていた。
『へぇ・・・あのごみをそうやって利用したのかぁ・・・なかなかやるなぁ・・・。』
ルナティックさんはそういうとまた席にもどって再度見まわした。
『えと皇王と皇妃とあと従者かな?』
『あ!自己紹介が遅れました。私はサフランです。皇妃さま付きの従者サフランです。』
『俺は皇王さま付きです。亜貴です。』
『亜貴さんとサフランさんはじめまして、大会のあいだはお世話になります。』
以外と礼儀正しい・・・・。
『ところでカナンとサリーは?』
ルナティックさんは髪の毛をいじりながら
『あーあの二人いま格ゲーで大会に参加しているからしばらくこないよ』
『え?なんだって?』
『格ゲーで大会参加している・・。』
『あーまぁそれで企業とライセンス契約してるんだっけ?』
『そうそうだからしばらくこないよ』
皇王が言っているのは公爵と子爵のことだ
カナンさんは公爵でサリーさんは子爵
よりによって一番助けてほしいときにいないなんて・・・。
ダナンさんは出張中で明日帰ってくるという
それまで話が進められないのか・・・。
『まぁとりあえず最初の対戦はどこなの?』
皇王はため息をつきながらも
『火皇鳳凰と最初は対戦する。』
そう教えてくれた。
『実のところ火皇鳳凰はやっかいなところだぞ・・・。調査しているのか?』
実はまったく調査していない
だけど火皇鳳凰に隣接しているところにごみを配置しているからそうそう入ってこれるわけがないと思っている。
『それだけじゃだめだな・・・。そんなんリセットさせられるから配置している意味がないしね』
そうなのか・・・。
『とにかく情報がいるね・・・。確かあそこの皇妃は最近かわったばかりだって聞いてるよ。』
え?それって水青龍宮といっしょ?
『まぁとにかく怪しいっていっちゃあ怪しいかもね』
サフランもメモをとりながらとにかく情報が必要ってことはわかったらしく
『明日また集まりませんか?』
と前向きに発言した。
図書館へ本を借りにいったその帰り道に委員長にであった。
委員長はいつものごとく本をたくさんカバンにつめてもってきたのだろうか、パンパンにふくらんだ大きなカバンをしょってきていた。
『あ!ひさしぶり!』
『よお!元気か?』
『宿題おわった?』
『おま・・・俺のかあちゃんか?』
『一応クラス委員としての忠告よ』
へーそうなのか・・・おれには家にいる母ちゃんとおんなじこと言ってるようにしかみえんが・・・。
『これでも心配しているのよ』
『そうかいそうかい・・・感謝しなくちゃいけねーなぁー』
『またうちに宿題しにおいでよ』
『また今度な』
そういってわかれて自宅に戻ると、母さんがごはんをつくっていた。
俺は夏休みの宿題の一つである感想文を書くため本を開いた。
ページをめくりながらも頭では違うことを考えていた。
結局昨日の話では一度も助けてくれるのかどうかいい返事をもらえなかったことになる。
とにかく今対戦中の相手のことを考えなくてはいけないのに振り回されてる感がいなめない。
神殿の加護システムも気になるし
とにかく落ち着いて目の前のことを少しづつ片づけていかないことには収集がつかなくなる。
そしてサフランがばらまいた閨皇魔宮殿でかったという衣装。
他にもなにか罠がありそうで怖い・・・。
俺はまずルナティックさんに他のプレイヤーを呼べないか聞いてみることにした。
まずはプランAからやってみて無理そうならプランB・・・。
といっても他のプランが4侯爵頼みなので
実質断られたら終了だが・・・。
実際おれが調べたところ
①情報がない
②人がたらない
③人望がない
やべ!終わってるじゃん・・・。
ルナティック侯爵が他の3人を呼ばないで皇王と皇妃とおれとサフランだけでやる場合を考えてみたがやっぱり人はいる・・・・。
宰相クラスを復活させる方法はないんだろうか?
やっぱりせっかくやるなら勝ちたい・・・。
そう思ってとにかく調べたけれどなしのつぶて・・・。
そうこう言ってるうちに集まる時間になってしまった。
とりあえずオンラインするか・・・。
入ってすぐにサフランに呼ばれた。
部屋につくと昨日のルナティックもきていてもう一人ダナンさんだろうか?新しい人がいた。
『こんばんわみなさん!はじめましてダナンです!よろしくお願いします。』
『こんばんわ!私サフランです皇妃の従者です。』
『おれは皇王の従者です。亜貴です。』
『ルナから聞きました。なにやらピンチらしいですね』
『面目ない・・・。』
なんかいいひとそう・・・。
『とりあえずカナンとサリーにも声かけておくとしても人数がすくないですね』
『そうなんですそれで困っているんです。』
『仕方ないです・・・。一時的なレベルあげしましょう』
『レベルあげ?』
『一時的なものなんでそう何度も使えないのですが皇王と皇妃は一度だけ解除できるんです。』
おおお!なんかわからんけどすごい情報?
『今動けないのは宰相と大臣ですよね?じゃあその二人を解除しましょう。』
そういうとダナンさんは皇王に解除のやり方を教えはじめた。
その間俺らはどうやって攻略するかもう一度確認をした。
明日はいよいよ侵攻する・・・。
侵攻できるのは一度だけ
その一度を使うと次はない・・・。
守りにはいるかそれとも攻めにはいるか
状況によってかわってくる!!
おれはとにかく目立つとやばいってわかっていたからとことん影として動くことを徹底させた。
そしてとうとう闘いの火ぶたが切って押された・・・。
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