第12話 神殿

『ごめん悠君…篤史はノンバイリティージェンダーなの…』

へ?

なにそれ?

篤史とよばれたそのこは顔をまっかにして照れていた。

『俺おとこだからな・・・。』

なんかかかわらないほうがよさそうな雰囲気かな‥‥。

そう思った俺はとにかく宿題だけやると委員長にそうそうにお礼を言って帰った。

その篤史くんは帰る時に無邪気に手を振ってまたねーって言ってたけど

2度とあわねぇ!


そして帰宅するとさっそくノーパソの前に座りログインした。

サフランは相変わらずいろんなことを調べてくれていてすごく助かっている。

アレクサンドライトは最初こそ怯えた感じがあったもののすぐに高飛車な彼女に戻っていった。

まぁそうじゃないと2重スパイ的なことはできないかもね…。


さて大会まであと数日と迫って俺は俺でとあるところへ調査のために来ていた。

あたらしく参戦することになる

光皇神殿

閨皇魔宮殿

この二つの神殿についてはまったく情報がない。

だからというわけじゃないけど多少の情報はあったほうが戦いやすいだろうと思い

自ら調査することにしたわけだが…。

これがまたすごいところに2つの神殿はあった。

光皇神殿はその名のとおり建物の作りもザ神殿だ

まるでオリュンポスの神々が住んでいるような綺麗なところに建っている。

中に住まう人種も主に天使みたいな人とか

エルフとかとにかく綺麗だ

神族と呼ばれる人たちもたくさんいて

とてもきれいだ

俺はとにかく商人として神殿に近づいてみることにした。

神殿の近くはとてもきれいな建物が並び人々が活気づいていた。

見た目は新鮮そうでおいしそうな食べ物も売っていて

なんか栄えている感じだった。

羽の生えた馬 ペガサス?とか角の生えたユニコーンな馬に乗って優雅にショッピングを楽しむ人々さすが神殿近いだけあるな…そう思っていた。

『ある一定のプレイヤーしかここにはこれないみたいね』

サフランが変装した姿でにょきっと顔を出してそういった。

『サフランもきたの?』

『うん・・・亜貴が心配で…。』

なんかうれしかった。

いろんなお店に顔を出して

少し買い物をしてるとなんか楽しくなってくる。

しばらくぶらぶらしていると神殿近くに来たのだろう

周りの空気が少しかわってきた。

神殿の近くにはたくさんの人々が集まっていて楽しそうだ…。

『サフランはできれば魔宮殿の方を調査してくれるとありがたいんだけど。時間もないしさ〜手分けして調べたほうが時間の効率化にもなると思うけど?』

俺はそういうとサフランはこくこくと頷き、なんとかわかってくれたみたい。

『ではまた!』というと人混みへ消えた。

まだ会議までは時間もあるし

その間までになるべくこちらが有利になる情報を探しておかないと難しいかな。

そう思いながら神殿の中へ入っていくと受付らしき所に1人の女性が立ってこちらへ歩いてきた。『加護をうけるかたですか?』

加護?

『なんですか?加護って』

神殿特融のものなのか?

『ここでは加護を受けることができます。加護をうけた人はステータスに加護をつけることができます。どうされますか?加護をうけますか?』

おれは少し考えると

『加護をうけるとどうなるんですか?』と逆にきいてみた。

ステータスに加護ができるってよっぽどだと思うしそんなの神殿特融でもできるのか?って話になる。

『加護をうけた人にはもれなく頭上に加護の文字が表示されどんな攻撃をうけたとしても守られる形になります。たとえば毒の攻撃をうけたとしてその毒を無効化することができるのです。』

すごいな・・・・そんなことができるんだ?

『それってだれでも受けることが可能ですか?』

『もちろんだれでも大丈夫です。他の皇宮から来た人でもできますよ』

なるほどね…。

『よくわかんないけどちょっと用事もあるんでそれが終わってか考えてもいいですか?』

受付の女性はにっこり微笑むと

『いいですよ~いつでもお待ちしております。』と言って奥へ引っ込んでいった。


頭上によくみたら加護の文字が入っている人たちが何人かみかけた。

あれがそうかな・・・。

ほとんどだがここの光皇神殿のひとたちがおおかった。

外部の人ともみられるひとたちも受けているみたいだがいまいちその効力がわからないうちはむやみやたらとつけるのはよくないなというのが俺の考えかただ。

サフランの調査報告を聞いてからでもいいかなっと思っているところへ一人の商人が神殿へ駈け込んできた。

『助けてください!』

奥からまた女性が現れると

『奥で伺いますのでどうぞ』

といいつつ奥へ案内した。

その商人の男性の頭上には加護の文字があった。

あれ?なんで加護を受けているのに助けを求めているんだ?

ただただその光景が違和感しかなかったのは気のせいではないだろう。


ひととおり神殿の中を歩いてほうぼうを調査しわかったことは神殿の中ではだれでも傷を治癒できるところがあるということと、もし万が一にでも危機的状況になったとしてもすくなくとも神殿の周辺の人には影響がないということがわかった。

加護システム以外はなんとか調査できたけど

あの加護システムがよくわからない…。


サフランと合流した時に相談してみるかな…。

そう思って神殿の外に出てなんとなく町をみて気が付いた。

まさかこれが本当の目的?

神殿の外を歩く人たちの頭上に加護の文字

そうか!神殿側の人間であるように見せることもできるってことなのかな。

味方が多いってことはそれだけ有利だ

そう考えると加護システムが本来どういうものなのかがわかってきた気がする。

そう考えると少しぞっとした。

先ほどの男性を待って事情を聴いてから戻ったほうがいいかな?

そう思って待っていたのだが男性は出てこなかった。

そうこうしているうちに寝る時間がきてしまい

仕方なくログアウトした。

明日商人を探して事情を聴くしかないかな。


次の日

いつものように朝ごはんのトーストにかぶりついていると委員長からメールがきた。


ー悠君へ

今日って時間ありますか?

よかったらまた今日もうちで宿題しませんか?ー


う!

母さんの様子をうかがう

視線に気が付いてにやりと笑う母さん

宿題やらないとパソコンさわらせてもらえないよな…。

『母さん~友達のうちで宿題やってくる。』

準備して家を出る。

委員長の家につくと中から猛ダッシュで昨日の篤史くんが飛び出してきた。

『悠君いらっしゃい!早く早く!』

すごく楽しそうだ…。

篤史くんがなにを考えているのがわからない

昨日のよくわからん言葉も気になるところだがとりあえず宿題を終わらせないことには何もできないしとりあえず委員長の部屋でノートと教科書を広げる。

委員長が麦茶をもってきてくれた。

『今日は国語の読解をやろう!』

一番苦手だ…。


『こういう読解問題って何度も解くうちにだいたいわかってくるんだって』

へえー

そういいながら問題を解いている傍らで篤史くんがにこにこしながら頬杖ついてこちらをじっと見ている。


気にしない

気にしない…。(滝汗)

午前中なんとか宿題を済ませると委員長と篤史君に別れを言って自宅へいったん昼飯を食べに帰ると父さんが家にいた。

『悠!調子はどうだ?そろそろエントリーしないといけないだろ?』

父さんに事の次第を説明するのを忘れていた俺は結局皇妃になれずサポートするために従者になったことを報告した。

『じゃあエントリーしなくていいな』

まぁね…。

『よかったんじゃないか?負けても奴隷落ちはしなくていいし』

まぁね…。え?

『父さんそれって…。』

え?そういうこと????

『だって使う立場じゃないから奴隷おちすることもないだろ?新しい皇妃は一応負けたら即奴隷落ちだよ。皇妃になって3か月たっていない場合だけどね』

えー!皇妃は大丈夫なんじゃないのかよ!

前に皇妃より下のレベルが奴隷落ちする話は聞いていたけど…

『新しく皇妃になるってことはそういうリスクも負うってことなんだろうよ』

これって例外?

なんだかいやな予感がしてきた。

アレクサンドライトは大丈夫だろうか?

そんな縛りがあるなんて知らなかった。

え?そういう場合どうなるんだ?

『負けたら今の新しい皇妃は奴隷落ちして新しい皇妃がすぐ立后されるだろうね』

『まさかまた皇妃見習いが出るってこと?』

『違うよシステム上従者の中から立后されるだろうね』

ええええ!!!!

じゃあ俺かサフランが立后されるってことかよ!

とりあえず勝つためにはどうしたらいいか考えてもらわないとアレクサンドライトがやばい!

サフラン…ちゃんと調査してくれてるといいんだけどな…。

そう思いながらログインするとサフランからさっそく連絡がきた。

『今大丈夫ですか?』

『今神殿前でまだ調査しているけどサフランは?』

『私もまだ調査中です。中間報告を今日しませんか?』

『いいよ…あとその時でいいけど聞きたいこともあるしね』

『はい…じゃあ後でよろしくお願いします。』


おれは念のため昨日の神殿の前に来て昨日の商人を探した。

たぶんまた来るはずだと思うんだけど…

すると案の定神殿から商人が現れた。


『すみません…ちょっといいですか?』

『はい、なんでしょうか?』

商人は立ち止まると俺たちのほうに歩みよってきてくれた。

『昨日神殿に助けを求めていた方ですよね?』

商人は頭をぼりぼりかきながら恥ずかしそうに

『見てたんですか?』と話しはじめた。

『まぁ俺たち商人は戦には参加しないので別によかったんですけどね…俺の友人がハンターなんですけど加護をもらって少し迷惑しているんですよ。』

『迷惑?』

『ええ…実は加護システムって全面的に守る力が働くのでステータスにしばりができるんです。そのしばりっつうのがレベルの上限しばりと一つしか武器が所持できないという限定にかかってくるんです。』

なんですとー!

やらなくてよかったのかもしれない…

しかしなんだってそんな縛りを…。

そっか…レベル制限をすることで神殿側の有利に立たせることができるのか…。

怖えーな…。

これはさっそく報告しないといけない気がする…。

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