第10話 サフラン
『あなたいったい何をしているの?』
するどく母さんは言い放った。
『え?』
はぁーと大きなため息をつくと拳をいきなり机に叩きつけた。
ばあんと空気が震えたような気がした。
そして静かに母さんは話し始めた。
『昨日あなたの担任の先生から連絡がきました。』母さんは拳をブルブル震えながら下へ降ろし席に着きながら俺を見た。
『ゲームをやるなとは言っていません。ただやるべきことをやってからゲームをしなさいと言っているだけです。』
そういうとプリント3枚を机の上においた。
『今日はこのプリント3枚をするまでゲームはなしです。』
結局プリント3枚を終わらせるのにかなり時間はかかったものの23時には終わることができた。
しかし明日も学校があるため諦めて寝ることにした。
次の日
学校から帰ると一目散にゲームをするため親父のノートパソコンに向かった。しかしそこにいつものノートパソコンはなく電源を抜いたプラグのみが残って何も無かった。
『母さん!父さんのノートパソコンは?』
洗い物をしていた母さんはお皿を洗う手を動かしながら。
『宿題終わったの?』と聞いてきた。
昨日の続きなのだろうか?
とにかく宿題を、早く済ませてまた母さんの所へ行くと今度は父さんが説教をされていた。
『すまなかったよ…』そう謝る父さんの姿は少し小さく見えた。
やっとお許しが出たのでさっそくログインしてみるとサフランがすでにログインしていた。
自分のと俺の鉢植えに水を与えてくれていて俺が入ってくるのを待っていてくれていた。
やっと拘束がとれたのに行けてなくてもうしわけなかった・・。
『ごめん!サフラン』
『いえ…こちらこそ水あげありがとうございました。凄く助かりました。』
少し元気がないサフランを誘って図書館に行くと自分で調べたことをサフランに話した。
まずゴミは必ず溜まるものであってあちこちで発生していたものがいつの間にか井戸の近くまで運ばれることになった経緯として、井戸近くの場所は共有部分だったため必然と集まってきたということ。
これは集める場所をゴミを移動することで変えられるということ。
これを大会の防御として利用できないかということを話すとサフランはだんだん元気になってきたようだった。
よかった。
その後どこを防御として利用するかを城周辺の地図を広げながら検討してみた。
城の裏側は断崖絶壁になっている為、ここから攻めてくることはまずないとは思うけど万が一ということもあるしまずはそこに数個置いて、他は城近くの川にも数個置いて、少しづつ分散させたらいいんじゃないかという話になった。
2人で会話に夢中になっているとそこへ皇王もやってきて俺たちの話に加わった。
俺たちの会話に興味津々だった。
もうすぐ大会がある
だからこそこの問題を片付けないといけないと思っていたようだ。
皇王はしばらく考えていたが、
『この問題について僕にまかせてもらえないかな?』と言って立ち上がってお辞儀しそうになるサフランを左手で制した。
『これは全体の問題として大会前にやっておきたかったことだった。だから君たちにも手伝ってもらいたい。』
もちろんやるつもりだ!
サフランも頷いた。
今ではアレクサンドライトは1人孤立していた。
なぜ思ったようにならないんだろう?
そう考えるようになっても仕方ないぐらい孤立していた。
サフランはどんどん周りを仲間に引き入れて
力を付けていっている。
それに比べ自分は…そう考えたとしても仕方がないだろう。
そんなアレクサンドライトに1人の人間が近づいてきた。
『君にいい話を持ってきたよ』
そしてこのことが俺たちも首を絞める結果に発展していくのだがまだこの時は知らなかったのです。
金曜日の夜
家に帰ってくると親父が宿題をやっている俺の部屋に入ってきた。
『なぁ…明日パパと一緒に遠出しないか?』
『いいよ…でもどこにいくの?』
親父はニヤリと笑うとチケットを2枚出した。
『名古屋行くぞ』
え?
よく見るとゲーセンミュージアムと書かれている。
朝が早いと言われたので早々にノートパソコンでログイン!
サフランに土日は名古屋に行くことを伝えて鉢植えに水あげを終えたらすぐログアウトした。
着替えは1日分でいいかなーとか思いながら準備してすぐに寝た。
朝早くに車に昨日、用意した荷物を積むと出発した。
道は混んでなかったのでスムーズに名古屋に着いた。
入るまで時間があったため、親父と近くのコンビニでおにぎりを買ってあくまでの時間食べて待つことにした。
ようやく会場があいて中に入ると当時流行っていたものや、たくさんのゲーム機がありどれも無料で遊べるようになっていた。
『父さんが小さい時はな〜ゲームウォッチというゲーム機があったけどそうそう買って貰えなかったから友だちに遊ばせてもらったりしたなぁ』
へぇーとか思いつつもいろんなもので遊んでみる、もちろん楽しい。
ピンボールとかインベーダーゲームとか昔の遊ぶものが当時と同じ姿で稼働していた。
すげー
遊べるようになってる!
コインを入れて遊ぶものをコインの入れる所に赤いボタンがあってそこを押すと稼働して遊べるようだ。
他にもアーケードゲームが置いてあったり電車でGOの筐体もあってあちこち遊びまわった。
父さんは懐かしいなぁーと思いながら…俺は何これ!遊んでみよーな感じだ!
一通り遊んだ後、近くのうどん屋で昼ご飯を食べ大須まで足を伸ばした。
ここのゲームセンターで少し遊べたらいいやと思っていた。
最新のゲーム筐体がたくさんあってとりあえず格ゲー!と思って見たら
!!
コインだけじゃなくて電子カードでも支払いできるようになっていた。
なぜそんなことを言うのかというとだいぶ前にザリガニというゲーセンに連れていってもらった時、そこでは50円のコインを入れて遊んだ記憶があるからだ!
ゲーセンというとそういうものだと思っていたんだ。
しかし今のアーケード筐体は、電子決済もできる!とりあえずnanacoカードを持っていたのでそれで100円払い遊んだ。
途中乱入されて何回か負けたけど頑張って勝ち続けた。5勝5敗だ!
近くのホテルを取っていたのでそこへ移動
夕飯は名古屋名物の矢場とんの味噌カツ定食を食べてホテルのお風呂に入って寝た。
帰宅後
ログインしてみた。
サフランはいなかったが皇王や他の人達は活動していた。
俺が名古屋に行っている間にゴミ問題の方は問題なく移動が終わっていた。
井戸近くに行くと軽くなっていた。
水を汲んで部屋へ運び鉢植えに水をあげると
図書館へ向かった。
そこへサフランがログインして合流した。
サフランは俺が名古屋に行っている間に俺の鉢植えの水あげとゴミ問題の手伝いに奔走してくれた。
城の裏側だけでなくあまり人が使用しない道などにもゴミを設置してまわり、大会に有利になるよう動いてくれていた。
他にもスパイの特定などもう始まっている調略など、ここまでくるともうサフランに皇妃して貰ったほうがいいんじゃね?と思うぐらいやってくれている。
俺何もやってないな…汗
そんなこんなで図書館でのサフランとの話し合いも終わり帰ろうとしたところ
『あ!言い忘れていたことがある!』
そう言ってサフランがちょっとこっちへといってだれもいない個部屋に案内してくれ、耳打ちしてきた。
『実はね…ここ最近彼女見かけないでしょ?』
『ん?だれ?』
『アレクサンドライトのこと』
『ああ~』
そういえば見かけない…。
前までは嫌味ったらしくいろいろしてきて正直うんざりするほどだったのに…。
なんでだろう?
『あんまりおかしいから彼女の足取りを追ってみたの』
『え?そんなことできるの?』
サフランは
『実は大きな声では言えないんだけど…もしかして彼女裏切るんじゃないかと思って今まで張ってみたんだけど。どうやら裏切っていることを知らずに協力させられているっぽいのよね』
サフラン曰くここ数日はアレクサンドライトは自室にとじこもり何かをしていたらしい、その何かというのがステータスごしなので不明だったわけだが、最近になってログイン自体しなくなってきたそう。
皇妃になることを諦めたのかそれともまた何かをするために準備をしているのか?
よくはわからなかったそう。
『でもね…この前アレクサンドライトに届けものがあってその中身を知ることができれば何をしようとしているのかわかるんじゃないかと思って。』
そこでサフランは侍従を使って中身が何かを探らせていた。
『これがそうです。』
みると見取り図だった。
これって…
『
!!
最近のごみの配置情報まで入っている!
冗談じゃない…
これは問題だ…
すぐにでも陛下にお知らせして対策しなければ終わりだ…。
『サフラン!お願いがあります!いいですか?』
サフランはこくっと頷くとすぐに行動を起こしてくれた。
宰相から下の貴族や騎士まで招集をかけて…
でもまだ皇妃見習いの俺が動いて大丈夫だろうか?
同じ皇妃見習いでもサフランのほうがよっぽど優秀だし
この問題を解決する間だけでもサフランに皇妃として動いてもらえないだろうか。
だめもとで後でお願いしよう…。
中身が小学生の俺よりはいくぶんかましな行動もとれると思うし
こんな問題どうしたらいいか正直わからない。
サフランなら常識的な行動もとれるだろうし。
つうかそろそろ皇妃見習い期間も終わりだと思うんだけど
いつまでやらないといけないのか…。
鉢植えの植物は順調よく育ちそろそろ開花のころを迎えるのか
白い綺麗な花のつぼみをつけていた。
木でできた樽のような形の鉢植えには似つかわしくない花のつぼみだと思う。
そうこうしているうちにステータスが鳴り響いた。
名前:亜貴
Lv
種族
智5 信5 仁4 勇5 厳5
書類整理ステータス5
皇妃候補ステータス5
やっぱり上がるの早いだろ…。
そのころアレクサンドライトは自室に引きこもり泣いていた。
『こんなはずじゃなかったのに・・・ぐすん・・・どうして・・・。』
『アレクサンドライトさま~ご機嫌いかがですか?』
『おまえ!どういうことですか!私はこんなこと聞いていません!』
『感謝しておりますよ…なにもかも私たちの思う通りに動いてくださってありがとうございます。』
『違うの!お願い!こんなことをしたかったわけじゃない!』
男はつかつかとアレクサンドライトの前に跪いて彼女の手を恭しくとった。
『アレクサンドライト・リュイ・ドルネアさま…ご心配なく。』
『え?』
『元皇妃さまから聞いております。あなたさまの処遇も心配ありませんよ』
『どういうことです?』
『結果的にはあなたさまが皇妃に選ばれるよう手筈は整っているということです。』
『でも私はこんなお手伝いをするためにあの方の代わりに残ったわけではないわ!』
『わかっています。』
アレクサンドライトの自室に現れたその紳士はにやりとわらうと
『私にすべてお任せください…けっしてあなた様の悪いようにはしませんから』
そう言い残すとフフフと笑って消えた。
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