第8話 自信喪失

ログインしてすぐ目の前に従女がいた。


『すぐに集まってくださりますか?』


なんだろ?

従女に従われて3人が集まった。

あれ?セーラがいない。


『残念ながらセーラさんは見習いから降りることになりました。』

『えええ!!!』


サフランもアレクサンドライトも俺もびっくりしてぽかーんとなり急なことで何がなんだかわからなくなった。

セーラは元侍女だった女性だ。

皇妃の傍で仕えて偶然皇妃見習になってしまった人だ。

アレクサンドライトさんに酷い扱いを受けて耐えられなくなったのか?

それとも自分はそんなことを引き受けれる器ではないと思ったのか?

いずれににしてもこの3人で試練を受けることになったというわけだ。


『サフランも降りたほうがいいんじゃなくて?』

アレクサンドライトが、嫌味を言ってたが、俺もサフランもそれどころじゃなかった。

『あなたがた!私の話を無視するなんて!』

アレクサンドライトは怒っていたが俺とサフランはとにかく井戸の近くへ行き、この辺りの重さについて俺たちなりに調べようとした。

井戸周辺を歩くとやがてわかってきたことがあった。

皇城の周辺はない周辺のゴミが井戸の一帯はかなり多かった。

これもやはりこの周辺が重くなっている要因なんだろうか?

そして他にもこの辺の独特な作りも重さの原因になっているんじゃないかと…しかしそれを検証するためにはいろいろと問題があった。

サフランもおなじことを考えていたんじゃないかと思う。

とにかく皇城内ではできない。

だから皇城内と同じ条件でしてもいい場所の確保が必要だった。

『サフラン〜検証をしてみないか?』

サフランは少し考えると

『いいね!協力する』と2つ返事でOkしてくれた。

2人で周辺の散歩をしつつも同じ条件の場所をしらみ潰しに探してやっと皇城の外側の小川近くなら問題ないんじゃないかと思い念の為従者さんに聞いてみるとこにした。


『問題ないと思いますが念の為、皇室騎士にも聞いて下さい。お城の中のセキュリティについてはそちらが管轄ですので』


皇室騎士団の場所を聞いてさっそく相談しに行こうとサフランを誘った。

サフランはこれからリアルで用事があるらしく、明日の11時に約束をしてくれた。



次の日

朝ごはんを食べて顔を洗うとまずは昨日の宿題を終わらせるために机にむかった。

父の日の作文

言うほどオヤジのことはあまり知らない。

これは聞くしかないかな

オヤジは休みの日はいつも遅くに起きてご飯を食べてテレビを見ながらげらげら笑っているイメージがある。

今日も遅くまで寝ていたんだろう・・・寝ぐせのついた頭をぼりぼりかきながら起きてトーストを食べていた。

『父さんおはよう』

『おぉお!おはよう!』

『宿題をするのに聞きたいことがあるんだけどいいかな?』

『ん?いいけどなんだ?』

コーヒーをぐいっと飲みながら父さんはこちらをちらりと見た。

『あー父の日の作文の宿題か・・・。懐かしいなw』

そう言いながらも自身の仕事について話してくれた。

まず父さんの仕事だが、サーバーの制作をする会社でラックから中の配線

いろんなことをやっていた。

大手通信企業や大学の研究施設のサーバー管理をまかされているらしい。

たいていの仕事は人がいない時間におこなわれるため、夜遅く作業ということもあるようだ・・・。

そりゃ遅くまで寝てるよな・・・。

『でも家族のために稼がなくちゃな~』

父さんはそういいながら照れて顔をくしゃっとさせて笑った。


さて宿題を終えて皇宮打破のゲームにログインしようとしたその時ピーンポーンとベルが鳴った。

『悠~お友達がきたわよ~』

出てみると委員長だった。

『悠くん今いい?』

『なんだよ…』

『渉くんと仲いいじゃない?だからさ悠くんから頼めないかな?』

『何を?』

『あのね・・・渉くんに誤解を解いてほしいってお願いをしてほしいの』

『なんの誤解だよ』

『悦ちゃんに渉くんと私はなんでもないって言ってほしくて』

『はぁ?何言って・・・・』

これかぁ!昨日学校で委員長と渉くんが言ってたことって…。

だとしたら首つっこめばやぶへび・・・。

『無理だね』

『どうして?悠君と渉君は友達でしょ?』

『友人関係でも首突っ込むわけにはいけない話ってもんがあんだよ!特に個人的なこととか微妙な問題は無理』

『本当に困っているの!』

『困っていても自分で解決すればいい問題じゃん!なんで俺らに頼るのさ』

『だって・・・』

そういうと委員長は泣きだした。

こういうの困る・・・。

泣けばなんでも言うこと聞いてくれるとか、女性の涙に俺ら男が弱いっていうのを知っていてするつうこの感じ?いやな感じだ・・・。

『俺が首つっこんで解決できることじゃないだろ?ましてや渉くんだってそうだと思うよ!委員長がちゃんと悦ちゃんと向き合って話あったほうが解決するんじゃね?』

『それができたら苦労しないわよ』

そもそもなんでそんなことになったんだ?

悦ちゃんってよく渉くんとしゃべっている隣の席の子だよな・・・。

『なんかね…悦ちゃんから渉くんに告白したみたいなんだよね…。そしたら渉くん悦ちゃんに興味ないって返事したらしくて』

『ふーんで?』

『それで悦ちゃん私も渉くんとよくしゃべるから誤解しちゃって』

『なんでそれで誤解するんだよ』

『だって・・・よくしゃべるから私と渉くんもそれで付き合っているんじゃないかって』

女子って短絡的だな…。あきれて何も言えん。

『たぶんだけど渉くんとよくしゃべるからってなんで付き合っていることになるんだ?って言ったら?よく考えてみ?おれだってよく渉くんとしゃべるけどそれって付き合っているってことかぁ?』

『悦ちゃんは、女子と男子の友情とかありえないっていうのよ』

『おいおい・・・この時代男どおしで付き合うっていうのもあんのにそれはないだろ』

『え?悠君渉君のこと好きなの?』

『んなわけねーだろ!あほ!』

『じゃあ・・・』

『おれら小学生だぜ』

『だから?』

『そんなこと考える暇ないっつーのw』

『ええええええ?』

『委員長もそんなこと考えてねーでとっとと悦ちゃんと仲直りしてきたら?たぶんそんなことで避けているんじゃねーと思うよ』

委員長は首を傾げながらわかったというと帰っていった。

女子って大変だな・・・。

まぁそんなこんなでとにもかくにも土曜日の休みを軽く?奪われつつもすぐ皇宮打破にログインした。

まぁあんなこと言う俺も俺だけど委員長もなんでそんなことぐらいで悦ちゃんにいいように振り回されているかな・・・。

女子ってわかんねー

とか思いつつも鉢植えに水をあげるため井戸を目指して歩いていった。

歩きつつ・・・なんとなくだけど気になるものが目に入って

もしやこのせいで重い?とかかんがえつつ井戸の近くに到着

やっぱりすごく重い・・・。

画面が流れてその場にふみとどまれないぐらい景色が流れるなぁ・・・。

と思いつつも水をもらいうけてその場を後にする。

しかし歩いていくうちにやっぱりだんだん軽くなっていく

やっぱおかしい!!

なんであそこだけ重い?

離れた場所から再度井戸のほうを振り返ってみた。

そしてなんとなくわかったことだが・・・。これはどうしたらいいのだろう?

だけどこの後ある大会のことを考えると

やっぱりそうするしかないか・・・。

戦術の一つとしては使えるけど失敗した時のリスクも高い。

下手したら国一つつぶれかねないけどやるしかない・・・。


サフランに協力を仰ぐか・・。

そう思いながらも自分の鉢植えに今日の水を与えていた。

水をあげてお世話しているところへサフランがちょうどよくやってきた。


『手伝ってほしいことがあるんだけど』

『あ!俺も!』

二人してフフフと笑いながら

『なんの手伝いしてほしい?』

『実はね・・・。井戸の近くにあるものを移動してみたいの・・。もしかしたらそれが原因かもしれないしね』

『俺も同じことを考えていたよ…。だけどどこに移動させる?』

『それなのよね…。街中には人々がいるし郊外の水場の近くに置くと皇国に入ってくる商人たちに嫌がられるし…。どうしようか相談しようと思っていたの』

『じゃあさ・・。とにかく周辺の調査をしないか?俺とサフランで…。』

『え?いいわよ』


お世話が終わると二人で周辺の散歩に行くことにした。

歩いて外へいく途中アレクサンドライトに会ったが何もいわず無言で睨み返してきた彼女を無視して外へ出た。


しかしサフランって強いよなぁ~

アレクサンドライトににらまれても嫌味言われてもへこたれない・・・。

『サフランってすげーな』

『え?どうして?』

『だってあのセーラでさえアレクサンドライトの嫌味攻撃に耐えられなくてリタイアしたのに君はへこたれないというか』

『ああ~あれね・・・。けど私も傷つくこともあるし自身をなくすこともあるわよ』

『そんな風に見えない…。』

『だってあなたがいるもの!あなたもそうとうすごいと思うわ』

『そうかな?あまり意識してないや』


フフフと笑いながらも遠くを見るサフランの瞳は少しぬれていた。

なんだかんだ言ってもやっぱり傷ついているんだろうな~って思いながらいつのまにか城の裏庭まで来ていた。

そこは裏が断崖絶壁になっていてそうそう敵国に攻め込まれないような要塞のようなところだった。

『ここって…。』

『あーここは敵国に責められにくいとこって言われているのよ』

あーここだ!

俺は断崖絶壁の岩肌をなでながらも確信していた。

『サフラン…ここに埋めるっているのはどうだろ?防衛にもなるし』

サフランはしばらく考えていたけど急に顔をあげて

『いいかも!』と言ってくれた。

やはり断崖絶壁だとしても源平合戦のこともあるし

完璧な守りとしてはいいのかもしれない。

『おれはさ・・。この王妃見習い期間が過ぎてもサフランとは一緒にいたいと思っているんだ……。』

サフランはこちらをちらりとみるとフフフと笑いながら

『私も…。亜貴と一緒にいたい』と微笑んだ。

さっそく散歩から帰ると従者たちを呼び準備を整えさせた。

うまくいけば城の守りも固められるし、井戸付近の重さもなくなる!

そう思いつつもいくつか運ぶためのキャリーを準備し

『明日やろう!ここに集合しよう!』とサフランと約束をした。

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