第7話 試練の連続

ログインすると従女が待ち構えていた。

『亜貴さま・・・アレクサンドライトさまがおよびです。』

俺は鉢植えに水をあげるためのジョウロをもってアレクサンドライトの部屋を目指した。

『アレクサンドライトさま 入りますよ!』

『よくってよ!』

中からアレクサンドライトの声が聞こえたので入ってみると皇宮の従女たちがかいがいしくお世話をしている中心でアレクサンドライトはふんぞり返って待っていた。

『およびですか?』

『今から水を汲みに行くのかしら?』

『そのつもりですが…なにか?』

嫌な予感がした。

『では私の代わりに私の鉢植えにあげる水を取りにいってもらえないかしら?』

やっぱりか…。

『えと…私があなたの代わりに水を汲みにいくというのはどういう…』

アレクサンドライトはきっと顔をあげると

『いいじゃないのよ!ついでにお水をあげてくれても!罰はあたりはしないわ!』とキーキーとまくしたてた。

いや…普通にだめでしょw

とりあえず丁寧にお断りして水を汲みに激おも地帯に突入した。

まじやべぇ…本当重い…いったいなにに負荷をかけたらこうなるの?ってなぐらい酷い…そう思いながらジョウロをもってただひたすら歩く

そしてただひたすら流れる景色の中水をくむ。

重い3Dの景色って流れるんだなーカクカクしている(笑)

すげーの一言

とにもかくにもとりあえず水を汲んで・・・・ってこぼれた?

もう一度汲んで~ってまたこぼれた?

やっとの思いで汲みおわったけど

ジョウロに少ししか入ってねー

それごと持っていこうとするとこぼれる・・・・(涙)

つら・・・

満タンにしたけど今度はジョウロが持ち上がらねぇ・・・

つかもっていけねぇ・・・。


つんだ!(いろんな意味で)


そこへバケツをもってサフランがやってきて水を汲んで・・・

え?

わが目を疑った・・・。

水を頭からばしゃーっとかけてる?

もしもし・・・サフランさん?何をしているんですか?(@□@)!?

サフランはにっこり笑うとついてきてくださいといってバケツに少量の水だけもって

びしょ濡れの状態でその場を後にした。

何をするつもりなんだろ?と思っていると

突然重くないところで服を脱ぎ脱いだ服を絞りはじめた。

「水そのものをもっていくのは無理なんです。だからこうやって服に水を沁みこませてもっていく方法ならあまり影響をうけませんよw」


すげぇ!サフランって神!!!!

眼からうろこだった。

忍耐の水の試験

皇国市民のよく使用する井戸場は町外れで激おもだけどこれだったら確かに影響うけないしましだ!

サフランに教えてもらった方法で俺も水を汲んでもっていくことができた。

なんかうれしい!

樽の鉢植に水を入れてお世話しているとセーラがやってきた。

『あの・・・・ジョウロを貸してもらえないかしら?』

『いいですよ』

セーラはジョウロを持って井戸場に向かって歩きだした。

ふうふぅ言いながら何度も往復している。

俺はセーラに先ほどの服にしみこませる作戦を教えてあげた。

すると彼女はうるうるしながら

『ありがとうございます』と感謝の言葉を言った。

そこへアレクサンドライトがやってきた。

『わかっているわよね?』

ん?なんの事だ?

セーラは今汲んできたばかりの水をおしげもなくアレクサンドライトの部屋へともっていった。

ずるじゃん!

サフランは険しい顔をして何か言おうとしている俺の肩をさわり首を横にふった。

それはやめておけと言っているような感じだった。

わかっているけどけどこんなずるがまかり通るのか!

やるせない気持ちになりながら今日は気分も悪いためすぐにログオフした。



次の日

学校で渉くんんとその話をするため渉くんの席に近づいていくと委員長も一緒に話し込んでいた。

『なんかあったのか?』

二人は顔を見合わせると

『いやたいしたことじゃないよ。それよりも悠のほうがなんか話あったんじゃない?』

と言ってきた。

渉くんはこう見えて空気を読むしすごく友達思いだからよくいろんな問題を抱えている友人が周りに集まってくるが…しかし委員長は初めてだった。

『もういいのか?』

『かまわないよ!今話が終わったところ』

『渉くん!』

『このお話は終わり!で?何か話があるんだろ?』

俺は二人を交互に見ながら

『実はさ…昨日の皇宮打破のゲーム内で皇妃選考が始まったんだけど』と話しを始めると委員長は去っていった。

『本当にいいのかよ?なんか重要な話をしていたんじゃないのか?』

渉くんは首を横にふりながら

『たいした話じゃないって…悠も知ってるだろ?委員長が話してくる内容に対したことはないっていうの』

まぁ…確かに委員長の話す内容にたいした話はあまりないが、たまにたいした話もしてくるからちょっと気が引ける。

『それよりも面白くなってきたじゃないか!どんなことしてるんだ?』

俺は渉くんに今までの試練の話をしていった。

すると渉くんは

『へぇ…賢いねそのアレクサンドライトって人』

『ずるくね?』

『そんなことはないんじゃない?ただそのセーラって人がかわいそうだけどね。』

『なんで?』

『皇妃だよ?よく考えてみたら人をうまく使える人がなる職業だ!ということはアレクサンドライトは皇妃としてセーラさんという人をうまくつかったってわけでしょ?ということはだ皇妃に向いている人はアレクサンドライトって人になるわけだね!使われちゃったセーラって人は向いてないってことになる。』

そういわれてはっとなった。

『ただうまいやり方とは言えないけどね‥だって周りの反感をかってまですることだったのかは疑問だけどね。皇妃というのは周りに反感をかうこともなく指示を効率的に出していかに人をうまく使うって人がなる職業じゃないかな?』

『渉くんよく知ってるね…俺よりもゲームを熟知しているかも?』

『たいしたことはないよ…去年のお年玉でこの前攻略本を手に入れたんだ。』

!?

『攻略本あるの?見たい』

『今度持ってくるよ』

これで本が読める!

渉さまさまだ!

俺はウキウキしながら

『じゃあよろしく!』と言って自分の席に戻った。

そろそろ1時間目の授業である。

『はーい今から小テストしますので教科書しまってー』

ぎゃー!


散々な小テストを受けて一通り学校が終わると家路に急いだ。

もちろん帰ってすぐにログインするためだ。

帰宅するとすでに父さんが帰っていた。

『今皇宮打破はどの辺にいった?』

『今皇妃選抜試験を受けてる最中だよ。』

『そっか‥‥それってどのぐらいかかるんだ?』

『説明だと1か月ぐらいかかるって』

『じゃあぎりぎりだな』

『大会申請を出すにしても皇妃になってからじゃないと登録はできないらしいんだ』

あーなるほど…。

父さん曰く何度も父さんは俺のIDアカウントで登録を試みたらしい。

しかしまだ皇妃見習では登録はできないのではじかれたみたいだった。

登録できるようになるには見習いが取れないとだめらしい。

『まぁ仕方ないな…』

大会スケジュールを確認すると皇妃に選抜された次の日までが登録締め切り日でぎりぎりだった。

締切がおわって2週間後に大会が始まるというわけだ。

それまでに攻略本借りれるかな…。

渉くんに連絡をしてみた。

渉くんは外にいるっぽかった。

『皇宮打破の攻略本いつ借りれる?できれば早めがいいんだけど』

『今からもっていこうか?』

『いいの?』

『もちもち!もっていくよ』

渉くんええやつや!

俺は母さんに渉くんが来ることを伝えておやつを用意してもらった。

しばらくして渉くんが攻略本をもってやってきた。

この前書店で見たものと同じ本をもってきたので

もしかして最後の一冊購入したのって渉くんかな?って思いながら中身を読んでみた。

キャラクター設定とキャラクターの特性そしてどんな力を発揮できるかとか大会でどんな役割をするかが書かれていた。

あとは大会時にどんなことをするのかも細かく書かれていた。

キャラクターのアイテムも公開されていてすごくためになった。

皇妃の輝石というアイテムがあるらしく

皇妃見習はそれも手に入れないとだめらしい。

たいていは前皇妃がもっていて皇妃になる人に渡すのが通例とのことだが稀に前皇妃が隠すこともあるらしい。

水の試練のことも書かれていた。

忍耐の水の試練についてもやはり人を使ってやる方法も効果的と書かれていた。

しかしそれ以外でもなぜこのへんの井戸だけ重いのかの調査をすることも重要と書かれていた。

工夫するのもOKらしい。さすがサフラン!

じゃあ俺は重くなっている原因をつきとめれば…。

いいんじゃね?

『お茶とお菓子おいておくわよー』

母さんが扉の向こうでそういっておいていってくれた。

『サンキュー』

『おかまいなくー』

オレンジジュースとポテチを食いながら渉くんに今日の委員長のことを聞いてみた。

『あー委員長ね…。』

ぱりっと音をさせながらも渉くんは話ずらそうだった。

『この前さ~委員長のうちにいったんだけど…一人で弁当温めて食べてるらしくて…それと関係ある?』

渉くんはぽりぽり頭を掻きながら

『まぁね…委員長とは幼馴染で、いろいろと相談はされるけどあまり役にたってないんだ…。』

そういうと渉くんはオレンジジュースをくいっと飲んだ。

『委員長ってあんな性格じゃない?まぁ反感買われることも多くて…特に同性からさすごく嫌がらせを受けているみたいだ』

やっぱりそうかぁ

小学校4年になった時になんとなく女子が遠巻きにキャーキャー言っているのを見たことがあった。

低学年の時とかはあまり気にしなかったことが4年ともなるとやっぱり女子の行動が気になる…。

体操着の上からでもうっすらとわかるブラジャーの紐とか、やっぱり意識するよな…。

発育のいい女子なんかだともう胸のふくらみがうっすらわかるし

この前、女子だけが集められてなんかやってたみたいだし

とか考えていると渉くんがにやにやしだした。

『おい!何考えてるんだよ~もしかして委員長のこと気になるとか?』

顔が熱くなるのがわかるぐらい真っ赤になったんだと思う。

渉くんが『ずぼしか!』とけたけた笑いだした。

『そんなんじゃねーよ!ただ少し気になっただけさ』

『まぁ…委員長はあれで女子の中で綺麗顔のほうだからなぁ…男子で狙っているやつ多いよ』

『そんなんじゃねーよ!』

恥ずかしくて今なら軽く死ねそうだ…(汗)


渉くんが帰った後、さっそく皇宮打破にログインした。

攻略本があるとまた違った見方ができるよな‥‥。

ログインしてすぐ目の前に従女がいた。

『すぐに集まってくださりますか?』

なんだろ?

従女に従われて3人が集まった。

あれ?セーラがいない。

『残念ながらセーラさんは見習いから降りることになりました。』

『えええ!!!』

サフランもアレクサンドライトも俺もびっくりしてぽかーんとなり

何がなんだかわからなくなった。

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