第6話 皇妃選抜スタート
その日は皇妃見習いの4人すべて1か所に集められてのスタートだった。
俺(亜貴)
アレクサンドライト(元皇妃の友人)
セーラ(元従女)
サフラン(元奴隷)
この4人の中から皇妃が選ばれる…。
今日は水の入ったグラスを各自部屋にもっていくように言われた。
グラスの形がさまざまあり
竜が彫刻されているもの
カクテルに使用されそうな形のもの
普通のガラスコップ
そしてお猪口グラス(もちろんガラスでできている)
俺はお猪口グラスにした。
アレクサンドライトは竜の彫刻がされているものをチョイス
セーラはカクテルグラス
サフランは普通のグラスコップにした。
『あくまでも部屋の中心にそのグラスをおいてください。中のお水はこぼさないようにお願いします。一滴でもちがうものが入れば失格となり水の色はかわりません。』
なんか楽だな・・・。
しかしアレクサンドライトはにやりと笑うと
『楽だと思ったら大きな間違いでしてよ!フフフ♪これはねその人が皇妃にふさわしいかどうかがわかるお水でしてよ』
アレクサンドライトの話だとこれは元皇妃から聞いた話らしいが人によって中身の水の色が少しづつ変わっていくらしい。
前回の皇妃は黄金の水に代わっていったらしい。
異物が入るとわかるようになっていて異物が入っただけで失格となるテスト、同じ水でも異物とみなされるらしく本当に気を遣うとのことだった。
水の入ったお猪口グラスを部屋の中央に置くと少し部屋の空気を入れ替えるため窓を開けた。
外から気持ちのいい風が入ってきてあっという間に部屋の中が花の香りで満たされている感じがしていた。
中央のお猪口グラスを見るとまだ透明だ。
どのぐらいで変わるんだろう…。と考えているとコンコンとノックする音が響いた。
入ってきたのは元奴隷のサフランだった。
『今いいですか?』
俺は椅子に腰かけるよう促すと自分も向かい側の椅子に腰かけた。
『私はサフラン・グレーンフォートです。現在グレーンフォート家の養女として迎えられ元皇妃さまにもお仕えしておりました。以後お見知りおきを…。』と丁寧にサフランがあいさつしてきたので俺も・・・。
『新参者の私にわざわざの挨拶ありがとうございます。私は亜貴です。もともと受付をやっておりました。今回の件では皇妃さまの近くにいたとしてテストに参加することになりました。よろしくお願いします。』とかえした。
サフランはにこりと笑うとゆっくりと近くにいる俺にしか聞こえないように話し始めた。
『今回のテストですが、たぶんアレクサンドライト様の息のかかった従女が邪魔をしにくるかと思われます。この水のテストは少しでも異物が入ればそれで終わりなので気をつけるようにお願いします。』
まぁそうだろうなぁ・・・。
そうこう言っているうちにまたレベルがあがったらしい
名前:亜貴
Lv
種族
智3 信5 仁4 勇2 厳1
書類整理ステータス5
皇妃候補ステータス3
種族変換ステータス1
急にあがったなぁ・・・。
『この試練の水を行っている際はレベルは少しづつですけど上がりますよ。』
へぇ…試練の水っていうんだ…。
なんか
『これの他にも育成の水の試験や忍耐の水の試験があるようです。』
『詳しいんですね…。』
『もともとゲームのデバッガーを生業としておりまして…。』
『ああーそれで…納得…。』
『今はやってませんよ💦』
別にやっててもいいと思うけどな…。とか思いながらお茶を飲みつつ談笑していると突然ドアを乱暴にノックする人がいた。
『失礼しますわよ!』
元皇妃の友人アレクサンドライトが突然入ってきた。
『何か用ですか?』
アレクサンドライトはきっとサフランをにらむとこちらに向かって
『こんな女と仲良くすることはなくてよ!』と叫びだした。
『いったいどうしたんですか?そんなに息巻いて…。』
『この女さっそく邪魔をしたんですのよ!セーラの試練の水に何か入れましたわね!』
廊下でセーラさんと思しき人のしくしく泣く声が聞こえていた。
あの後セーラさんは少し目を離したすきに試練の水の色が変わってしまっていたらしい…。
見に行くとまっ黄色になってしまっていた。
すげーお〇っこみたい…。
サフランもそう思ったんだと思う…赤くなっていた。
『たぶん異物が混入したわけではなく本当に色が変わったんだと思いますよ。異物が混入したらコップの水が増えるはずです。』
『水を少し捨てて増やしているかもしれないでしょ!』
『そんな暇を与えるぐらい目を離していたんですか?』
どーにもアレクサンドライトはサフランに、いちゃもんをつけたいんだろうなぁ…。
はっきりいってどうでもいいことだと思うんだけど…。このアレクサンドライトにとってはどうでもいいことでも何かのネタにしてサフランに言いたいんだろう…。
大人げない…。
『もういいですよアレクサンドライトさま…。失格になっているのなら後でわかりますし…。』セーラは泣きながらアレク2サンドライトにそう言ってまたしくしく泣き始めた。
そうこうしているうちにまたレベルがあがっていた。
名前:亜貴
Lv
種族
智5 信5 仁5 勇2 厳4
書類整理ステータス5
皇妃候補ステータス3
種族変換ステータス1
またあがったなぁ・・・。
そうこうしているうちに俺のお猪口グラスの色もいつのまにか変わっていた。
そこへ先ほどの試練の水をもってきた従者がやってきて
『みなさん先ほどのグラスをもってお集まりください。』と伝えにきた。
『試験は終了しました。皆さんお疲れさまです。』
そういうと従者は水のはいったグラス4つをもっていこうとした。
よく見るとそれぞれ変化した後の水だった。
セーラは先ほどと同じまっ黄色の水
サフランは薄い水色になっていた
アレクサンドライトは薄ピンク色
そして俺はきらきら光るシルバー色だった。
どれも正解なのか?
確か前の皇妃はゴールド色だったと・・。
これで近いのってセーラの黄色?
『一番近いのは亜貴さんのシルバーですね』
『そんなわけないでしょ?』
『いえいえ色の中できらきらしているのが一番近いんですよ』
そういうもんなのか?
アレクサンドライトは酷い顔をし、こちらをにらんでいた。
『冗談じゃないわ!これで1番目の水の試練が終わるなんて!』
そう吐き捨てるように恫喝しながらその場を去った。
次の育成の水の試験は次の日に行われた。
また同じように部屋に集められて従者が説明をする形式だった。
『本日は育成の水の試験をしていただきます。こちらにある4つの鉢植えを一つえらんでお持ちください。こちらは4週間を要する試験となるため3つ目の試験と同時並行しておこないます。』
そういうといろんな鉢植えが4つおかれた。
1つは大きな陶磁器の鉢植え
2つ目は普通の茶色い鉢植え
3つ目は木でできた樽のような形の鉢植え
4つ目はガラスでできて中身の土の様子が見える鉢植えがおかれた。
大きな陶磁器の鉢植えはアレクサンドライト
普通の茶色い鉢植えはセーラ
木でできた樽のような形の鉢植えは俺である亜貴
ガラスでできて中身の土の様子が見える鉢植えはサフランが選んだ。
『そして3つ目の忍耐の水の試験ですが、先ほどの鉢にとある場所にある水を毎日くんであげてください。とある場所というのは皇国市民がよく使用する井戸場です。』
『遠いじゃないのよ!』
そう皇国市民のよく使用する井戸場は町外れにある。
しかもバグがよく発生するエリアのど真ん中だ。
重いしエラーがよく発生するため皇国市民もあまり近づこうとしない。
『そうです。必ずそこの水をくんで鉢にあげてください。』
なにか理由があるんだろうが皆目わからない。
しかしサフランはなんとなくわかったようだった。
『わかりました。言われた通りにいたします。』
従者は
『これから4週間の間こちらの宮で皆様にあてがわれた部屋と皇宮内での生活は保障いたしますので試験終了後にまたお声をかけさせていただきます。』というと部屋から出ていった。
重いエリアだけど頑張っていくしかないか…。
サフランはこちらを見ると目くばせし
『これは面白いことになりましたね』とささやいた。
ただの水くみでないことは一目瞭然だった。
わざわざ重いエリアまでいって水をくんで帰って植物にその水をあげる。
重いエリアを体感させる目的もありまたなぜそこのエリアだけ重いのかを考えさせる目的もあるのだとサフランは言っていた。
『だからよく観察し考えて行動していた候補が有利なんです。』
なるほどなぁ・・・。
しかしなぜサフランは俺にいろいろと教えてくれるのだろうか・・・。
他の候補者は警戒してあまり俺とはしゃべってくれないのに・・・。
やはりいきなり候補になりまきこまれた俺に同情してなのだろうか?
そうこうしているうちに従者につきそわれそれぞれの部屋に案内された。
さきほどの部屋と違っていろんなものがおかれていた。
ベット?や衣装棚がおかれ机やいすも用意されていた。
たぶんここで生活するための必要なアイテムなんだろう・・・・。
俺は机の上に鉢植えをおいた。
学校のかえり道に本屋がある。
少し寄ってゲーム攻略本があるか見てみた。
結構な種類がおいてあって見ていて楽しい。
皇宮打破もパソコンゲームのくくりで数冊おかれていた。
佐内 修著と書かれたその本を少しぺらぺらとめくってみた。
意外と詳しく書いてあって俺の知らないことも情報としてはいっていた。
へぇ・・・買ってみようかな・・・。
裏を返し値段をみてびっくり!
2,980円(税抜き)
うへぇ・・・・こづかいいくらあったかな・・・。
さっそく自宅に帰って貯金箱をひっくりかえすと2,800円しかなかった。
足りない…。
小遣いの日は来月の一日にあるけど・・・。
それまであるかな・・・。
かくなる上はお手伝い作戦!
夕飯前に机の上をふいておはしを並べて・・・。
それを見ていた母さんがふふふと笑ってみていた。
『何かほしいものあるの?』
『あるんだけど・・・ちょっと足りない・・・1,000円貸して!』
母さんはにやにやしながらお財布から1,000出してくれた。
よし!
明日学校終わったら買いにいく!
そして学校が終わり・・・本屋に寄って昨日の攻略本を探した。
すでに売り切れていたのだった・・・。
本屋の店員いわくもう入ってくることはないとのこと
くやしぃ!
もっとぺらぺらめくってみとけばよかった!
そう思いながら自宅に帰ってきた。
ログインすると従女が待ち構えていた。
『亜貴さま・・・アレクサンドライトさまがおよびです。』
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