09、青草の快走

 まさに「暗澹たる気持ち」そのもので練習を終え、結局それからその気持ちが晴れることはなかった。


 自分を追い込み練習に集中している間はそんなことも考えずに済むけれど、それ以外の時ではまた「まあまあ」「そこをなんとか」の重陽に戻っている。


 明日はいよいよ試合に向けて北海道へ発つ。という日の練習の終わり。双子と重陽はみんなの前で一言ずつ意気込みを発表させられたが、その時のムードったらなかった。


 ある意味一丸となって松本兄弟を露骨に敵視するチームメイトたち。それを煽る遥希。徹底して無視を貫く有希。そしてひとりおろおろと「まあまあ」「そこをなんとか」とおちゃらけ続ける重陽──地獄絵図である。


 双子の方にも、問題があると言えばある。けれどインターハイが終わって、こんなムードで駅伝なんかできるんだろうか。それがあんまり心配で監督に相談した。けれど監督は「今は目の前の試合に集中しろ」と言うばかりで答えはくれない。


「あー……しんどい。しんどいしんどいしんどい。もうマジ無理ガチャ引こ……SSR出るまで石突っ込んじゃうもんね……」


 家に帰って風呂に入って、髪を乾かすより先にベッドへ倒れて独りごちる。東京で完膚なきまでに恋を失ってからというもの、もっぱら癒しはゲームの男性声優ボイス回収だ。


 彼にとってのヒーローになる。そう決めてから、夕真とは連絡を取っていない。無論、彼からも連絡が来るようなこともない。もともと連絡には無精な人だし、その上あの調子では今は恋人のことしか目に入っていないに違いない。


「ぐう……無慈悲……」


 いくら祈りを込めて画面をつつけど、目当てのキャラが出てこない。このまま爆死して終わりか……しんどい……と涙目になりかけた。その時だった。


「──わっ、ちょ、まっ……もしもし!?」


 画面が急に電話の着信に切り替わり、表示された「織部夕真」の名前に声が引き攣って裏返る。


「もしもし。今、大丈夫?」


「だっ、だだ、大丈夫ですけど……どーしたんすか薮から棒に! ちょーびっくりした!」


「え……いやだって、明後日、試合だろ。直前に邪魔するの悪いから、今日の内に頑張れよって言っとこうと思って」


 電話越しに聞こえる声は、懐かしいほど辿々しくて彼らしい。「もうマジ無理」の気持ちが、彼の一言で全部「よし、やるか!」に変わってしまって、悔しいほど彼への気持ちの大きさを思い知らされた。



「……あざっす! 頑張ってきます! あ、ネットで試合のライブ配信やるらしいんで、都合つくようだったらぜひ!」


 見ていてくれたらこんなに心強いことはない。最高のモチベーションになる。


「あー……ごめん。その日、一日バイトなんだ」


「あ、そ、そっすか。残念……」


「でも、休憩中にアーカイブはチェックしとくから……」


 ベッドの上に正座をしてその続きを待っていた。──が、特にほかには言いたいことがなかったらしく、数秒の沈黙のあと「じゃ、頑張って」と夕真は電話を切ろうとする。


「わーっ待って待って! 急! すごい急!! え、今、急いでる感じですか!?」


「え、別に……外だけど、バイトの帰り……」


「ちなみに、バイトってなんすか? 塾とかカテキョとか?」


 青嵐はそれなりに偏差値も高いし、あり得るし似合う……と瞬間的に妄想を繰り広げてにやけた。


「いや、出版社の事務……っていうか、雑用?」


「あ。そっちのパターンっすね」


「なんだよパターンって」


「いえ、新聞部で記者やってるって言ってたから、あーそっち系かーと思って」


 彼は彼で、もしかしたら将来に向けて歩みを進めているのかもしれない。そう思って、また新しい妄想──もとい、未来の自分たちを想像する。


 青嵐大の、インディゴのユニフォームで箱根路を駆ける。一区も全体を占う大事な区間だけれど、花の二区か、山登りの五区が華々しくていい。アンカーの十区も捨て難い。


 彼は中継所にいるだろうか。それともそれ以外のポイントか。いずれにせよ、赤い髪に青のユニフォームという目がチカチカしそうな姿の自分をそのフィルムに焼き付ける。その時のおれ、アゴ割れてないといいなあ……なんて思う。


「……おれが青嵐受かったら、またいっぱい写真撮ってくださいね! おれ、こないだ自己ベスト更新したんすよ。監督からも、表彰台狙えるってお墨付きもらいました。だからとりま、バーン! とインハイで存在感示してやりますよ!」


 重陽の耳元で、夕真は小鳥のように「ふふっ」と笑った。


「ああ。期待してる。お前ならできるよ」


「……ありがとうございます。頑張ってきます」


 期待してる。同じ言葉なのに、大嫌いなあいつに言われるのとじゃやっぱ全然違うな。と重陽は、彼にかけてもらった言葉を胸に刻んだ。


「じゃ、今日は早く寝ろよ。明日、早いんだろ?」


 と彼はまた早々に会話を断ち切ろうとしてきて、そんなところが切ない。


「はい。そうします。ありがとうございます。……なんか、引き止めちゃってすいません。おやすみなさい」


 電話を切ってからまた彼の顔を思い浮かべて、それからほとんど同時に大手町で見た丹後主務とのツーショットがフラッシュバックして、やっぱりじくじくと胸は痛む。


 けれど、ある意味で自分たちは、恋人同士よりも強い絆で結ばれているんだ。そう思うことにした。


 そりゃあ本心を言えば、触れたいし触れて欲しい。一日中ひっ付き合って目を見て愛を囁き合って、端的に言っていちゃいちゃしたい。


 が、そういう関係性はどんな拍子に拗れたり壊れたりしてしまうか分からない、ひどく儚く脆いものだ。


 けれど、今の自分と彼の間に通っているものはそうじゃない。きっと重陽が走り続ける限り、彼が写真を撮ることをやめない限り、自分たちはずっとずっと繋がっている。離れていても、繋がっている。



 それから重陽は過保護を存分に発揮する母からスーツケースを強奪して荷造りを済ませ、いつもより一時間早くベッドに入った。が、起きたら朝食にはしっかり冷えたレモンパイが出てくるし焼きたてのスコーンを山ほど持たされるしで、頭が上がらない。


「行ってらっしゃい。気をつけてね。ママもお昼の飛行機で千歳に着くから、何かあったらすぐに電話して」


「何かあったらまず監督に言うから大丈夫。ママも、気をつけて来てね」


 まるで我が子を初めてのお使いに出すみたいにおろおろした顔の母は、息子の返事を聞いて少し寂しそうに「そうね。そうするべきよね」と俯いた。


「じゃあ、行ってきます。着いたら一応、ラインするから」


 俯いたまま十字を切って祈りを捧げている母に告げ、重陽は家を出てきた。学校の最寄駅で監督や双子と合流し、空港行きのバスに乗り込む。


「チョーさん何やってんすかそれ。ゲーム?」


 座席に着いて十分もしない内に遥希はニタニタ笑いで通路越しに重陽のスマホを覗き込んできて、鬱陶しいことこの上ない。


「そうだよ。ソシャゲ。お前もやる?」


「あ、いいです。全く興味ないんで」


「あっそ。じゃあほっといて」


 と言って有線のイヤホンを両耳に突っ込みあとは同時進行中のゲームのログインボーナス回収と進行中のイベントストーリー回収に勤める。


 遥希の奥の窓側にいる有希も同じように黙々と読書に励んでいて、遥希は移動中、飛行機の中で監督に「少し静かにしてろ」と釘を刺されるまでずっと一人でぺちゃくちゃやっていた。なんだかんだ、緊張しているのかも知れない。


「涼しい──を通り越して、もはや寒い……っ!?」


 新千歳空港に降り立った、最初の感想がそれだった。気温差は予めチェックしていたものの、予想以上の秋風に重陽は慌ててジャージの上着を羽織る。


「夜はもっと冷えるからな。いつも以上に体調管理、気をつけろ」


 監督の小言に遥希と二人で「はあい」と返事をして(有希は監督相手でも変わらず無視の姿勢を貫き)、預けた荷物をピックアップして今度は札幌行きの電車に乗り込む。


 ここまでで、家を出てから約半日。交通機関の狭い座席に押し込められ続けた重陽の大柄な体は、既に悲鳴を上げつつある。けれど、飛行機に乗った時からちらほらと見かけていた様々な都道府県の高校陸上部のクラブバッグを見かけるたび、背筋が伸びた。


 駅に着くと改札を出たあたりでいくつもの学校がそこかしこに集合していて、なかなか壮観だった。ケニアやエチオピアから来ているのであろう留学生には同じ外国人として親近感を抱いたりもするが、タイムはきっと月とスッポンなんだろうなあ……なんて考えるあたり、やっぱり少しナーバスになっているのかもしれない。


 軽めのジョギングで前日練習を済ませ、迎えたインターハイ当日の朝。競技場へ着いた瞬間に緊張で吐きそうになった。中学から全国大会に慣れている双子は他の地方にも名を馳せているようで、相変わらず全方位に喧嘩腰のようだ。けれど、そんなことにも構っている余裕はない。


「いいか喜久井。前半は、振り落とされん程度に抑え目にな。焦って前に立って使われるな」


「はい」


「いつも通り走れば大丈夫だから。胸張って行ってこい!」


「はい!」


 監督はそう言って重陽を予選に送り出してくれた。まずは予選を通過しなければ表彰台も何もない。


 予選は三組に別れて行われ、重陽は一組、有希が二組で遥希が三組にそれぞれエントリーされた。この予選で、五着以内に入れば決勝進出。一組であれば、六着ないし七着でも他の組で同順位になった選手のタイムによってはまだ可能性はある。


 練習では結局一度も抜き返せなかった双子と組が別れたのは、気持ち的には少し楽だ。とは言え全国から集まった、彼らと同じレベル──ないし彼ら以上の走力を持つ選手がライバルなわけだから、双子がいないことなんてほんの気休めでしかないのだけれど。


 ──気休めでもないよりマシだ! マシマシ! いつも通りいつも通り!


 胸の内で自分に言い聞かせながら、ピストルの音を聞いた。


 両脇にいた留学生がスタートからどっと前に飛び出して行き一瞬つられそうになったものの、堪えて後方でインコースに入る。振り落とされない程度に抑え目に──とは言われたものの、まずその「振り落とされない」というだけで精一杯だ。


 ──いやダメだこれ! いつも通りやってたら落ちこぼれて終わる!!


 不思議と、それが「焦り」ではなく「判断」なのが自分で分かった。前を走るライバルたちの間に間に、一本のジグザグした光る道が見える。


 ひとまず表彰台は忘れることにした。戦略も忘れることにした。完全に「前半は体力温存」なんて考えていられる立場でも場合でもない。まずは目の前の一本。これを勝ち抜かないと意味がない。


 ──風除けにでもなんでも、存分に使いやがれ! おれの逃げ足をなめるなよ!


 思い切ってストライドを伸ばし、目の前の光る道に沿ってなるべく内側を取りながら前に出た。


 少しの間だけ先頭を走ったものの、すぐにひゅんひゅんと他県の留学生にかわされた。が、そんなことは想定の範囲内だ。狙うは七着以内。できれば五着。


 弱気じゃない。これがおれの実力だ。きっと表彰台なんか夢のまた夢。なんのせいにもできない。自分のしてきたことが返ってきてるだけ。


 しょうがない。と思いながら、これまでの自分を呪う気持ちで脚が沈みそうになった。その時だ。


「重陽ーーッ! ファイトーーッ!」


 甲高い母の声が聞こえた。瞼の裏に月が浮かぶ。いつまでも、どこまで走っても、ずっと伴走している鬱陶しいほど強烈な月の光──。


 慰められたくない!! そう思った瞬間、腹の底から力が湧いてきた。顎が下がり、腕は前に出て脚が上がった。


 なんだかんだマザコンだよなあおれって。ちょっと歪んでるけど。


 そう思うと可笑しくて、脚と一緒に口角も上がった。


 中盤で先頭に立ったことで作った貯金も、既に四人に抜かれてほぼ使い果たした。この位置を保てれば決勝確定。残りはトラック一周半。そこで少し安心してしまった。矢継ぎ早に後ろから三人の選手に追い越され、スパートをかけられた。


 ──八着はやばい! 八着はダメ! 死んでもいいから一人は差さなきゃ!!


 今度は正真正銘の焦りで、完全に釣られて重陽もスパートをかける。


 そこでやっと監督の「いつも通り走れば大丈夫」という言葉が活きた。いつも通りに泥臭く、全身の力をすっからかんになるまで使い切るような末脚で一人を抜き返し、もう一人は胸の差で下してなんとか六着に滑り込む。


「び、微妙……ッ!!」


 その一言に尽きた。着順では決勝進出確定とはならず、タイムもまた確実に決勝に行けるかと言うと超が付くほど微妙だ。


 予選二組目では、有希がどうやら終盤で脚が攣ったようでまさかの途中棄権。遥希は一着で難なく決勝進出を決めた。


 全国大会の大舞台で途中棄権という結果に、さすがの有希も動揺したり落ち込んだりして見せるだろうか。


 と思ったけれど、やっぱり彼は表情ひとつ変えずに、ぽつねんとして弟が軽やかに駆ける様を見つめていた。悔しくないわけがないとは思うけれど、何を考えているのかはさっぱり分からない。


 予選三組を終え、重陽はギリギリ最後の一枠で決勝進出。翌日に行われた決勝戦も「死んでもいいから一人は差す!」という気概で挑み、結果的には二人を差してベスト十六に入ることができた。


 遥希は二着で表彰台に上がったが、その悔しがり様たるや凄まじいものであった。干からびてミイラになるんじゃないかと言うほど泣きに泣いて、そんな遥希の姿にたくさんの記者がカメラを向けていた。


 おれ、もしかしなくても結構頑張ったんじゃね? と実感が湧いてきたのは、表彰式の後で地元新聞の記者に取材を受ける監督を横で見ている時だった。記者の関心はもっぱら準優勝を飾った遥希の方にあったけれど、監督が熱心に語ったのはむしろ重陽のベスト十六入りについてだったからだ。


 それに、準優勝で泣きぐずって当たり散らして悔しがる遥希の姿がちょっと「憐れ」だったというのもある。二着で悔しい。それが彼の戦っているフィールドなのは崇高で結構なことだが、泣いて悔しがるほど「できていなかった」ことがある。という気持ちはよく分かるのだ。要するに、遥希は後悔に泣き暮れているんだろう。


 そんな彼に比べて、重陽には「やりきった」という実感が確かにあった。


 走ることも、それ以外でも、その時々でできることをやり切ってきた。その結果が監督の熱意だったり今の自分の清々しい気持ちなんだとしたら、人の顔色を伺って「まあまあ」「そこをなんとか」とキョロ充してきた時間も無駄じゃなかったんじゃないか。とそう思えた。


 ので、そのことを「よく頑張ったな」「えらかったな」と褒めて欲しい人がいる。それ即ち織部夕真である。



 重陽には、心底から調子に乗れる瞬間が少ない。リア充パリピ熱血部活メンを装う喜久井エヴァンズ重陽の真の姿は、単なるネガティブ根暗オタクだからだ。


 しかし、そんなネガティブ根暗オタクが調子に乗ることができる稀有な瞬間が今、訪れている。実に八ヶ月ぶり二回目。昨年末のハーフで入賞して以来──いや、それ以上の調子にノリ具合である。


 とは言え抜け目なく、彼のバイトが終わる時間を見計らい、重陽は「えいやっ!」と声に出して彼の携帯にコールした。


「……もしもし」


 呼び出し音を八回聞いて、もう出ないかな。と思った矢先に彼は少し疲れた声で着信に応じた。


「あっ、お、お疲れ様です! 今、大丈夫すか?」


「ああ。うん。大丈夫。っていうか、こっちからかけようと思ってたとこ」


 と言った彼の少しはにかんだような声色に「は? かわいいんだが? ご趣味は『罪作り』でいらっしゃる?」と喉元まで出かかったのをなんとか堪えて「ソスカ。アザス」と早口で応え、続ける。


「ええと、その、一応、インハイのご報告をと思いましてですね……」


「うん。公式のアーカイブ観た。すごいな全国でベスト十六って。おめでとう。よく頑張ったな」


 欲しかった言葉を強請る前にドンピシャでもらった瞬間。試合が終わって初めて涙腺が緩んだ。


「……ありがとうございます。先輩のおかげです」


「いやいや、何もしてないにも程があるだろ俺は」


「どうでした? おれ。カッコよかった?」


 夕真と接するいつもの調子で尋ねると、彼は笑いながら「マジでお前のそういうとこどうかと思うけど」と前置きしながらも、


「カッコよかったよ。予選も決勝も、ラストスパートには痺れたね」


 と率直に言ってくれた。


「よかった。じゃあ、やっぱりベスト十六は先輩のおかげです」


「いやだから何もしてないって俺は」


「だっておれは、先輩のヒーローになるために走ってるから」


 何せ今の重陽は調子に乗っているので、そんな言葉もするりと出てくる。しかし、電話の向こうの彼からは反応がなく、無言の時間が続いた。


 調子に乗りすぎた! と焦って、重陽の頭は高速で自分の言葉を冗談に変える言葉を検索する。けれど、その言葉が見つかる前に彼は口を開いた。


「志が低いよ。お前なら、世界中のヒーローになれる」


 受容のようでいて、強烈な拒絶だ。そう感じた。


「……ありがとうございます。頑張ります」


 現実、きっつ……と思ったらもう、月並みな言葉しか出てこなくなる。


「次は駅伝だな。今年は例の双子もいるし、行けるんじゃないか? 全国」


「そうですね……でも駅伝はトラックと違ってチーム競技なんで、個人の成績だけ良くてもどうかってとこですけど」


「ああ。それは確かに……でも楽しみにしてるよ。今度は絶対観に行く。インハイ行かなかったの、動画見ながらすごい後悔したもん」


 現実、きっつ……から、頑張りしか勝たん! への急浮上。


「……まぁじすか! 全国行ったら、来てくれるんすか。京都まで?」


「ああ。行くよ。絶対行く。じいちゃんの一眼とバズーカみたいなレンズ構えて、一番いいポイントで待ってるよ」


「え、じゃあおれも絶対行きます。爆速で行きます! 爆速て。ははっ! ウケる」


 体じゅうにやる気とエネルギーが満ち溢れてきて、今すぐにでも走りたい気持ちでいっぱいになった。そんな自分の情緒があまりにチョロすぎて笑えてくる。


「ははは! 爆速ね。俺も新幹線の爆速で駆けつけるよ。京都で会えるの、楽しみにしてる」


「おれも、先輩に会えるの楽しみにしてます!」


 それじゃあ。うん、また。とシンプルな言葉で電話を切ったあと、重陽はおもむろにジャージへ着替えランニングシューズを履き、部屋を抜け出した。


 が、運悪くロビーで監督に見つかり「今何時だと思ってんだ!」と部屋に追い返された。

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