第7話
あれから私のクラス内での立場に変化が訪れた。
学園中に広まった不祥事の被害者ということで「大丈夫? 大変だったわね」「怪我はなかったの?」「怖かったでしょう?」などなど、同情して話し掛けて来る人が増えた。
お陰でクラス内で孤立することもなくなったし、主に虐めていたエレノアの取り巻きどもが消えたので、虐めに合うこともなくなった。
相変わらずエレノアだけには殺意の込もった視線を向けられるが、直接手出ししてくることはない。
取り巻きどもが退学になったきっかけの事件も、エレノアの指示ではなく、取り巻きどもの暴走だと結論が出ている。エレノアがお咎め無しなのはそういう理由だ。今は大人しくしてるが、あの視線を見る限り、まだ虎視眈々と何かを狙っているんだろう。油断は禁物だ。
◇◇◇
ある日、日直だった私は、中庭にあるクラスの花壇に水を撒いていた。如雨露に入れた水がなくなったので、水場に戻ろうと身を翻した時だった。
ガッシヤーン!
私がたった今まで立っていた位置に、私の頭より大きな植木鉢が落ちて来たのだ。何事!?って思って上を見上げると、
「キャアアッ! ゴメンなさい! 私ったらついうっかり! お怪我はありませんでしたか?」
そう言って申し訳なさそうな顔をして謝ってるのは...伯爵令嬢のサンドラ!? コイツは宰相子息ルートの悪役令嬢じゃないか! もちろん、宰相子息のハリスとは面識が無いが、そんな事どうだっていい!
コイツは私を殺す気か!?
殊勝な顔して謝ってるが、目は私を睨み付けている。間違いない、わざとだ! 虐めるなんて生易しいもんじゃない! 直接命を狙ってきやがった! 私は怖くなってその場から逃げ出した。
その後もサンドラの攻撃は続いた...
昼休み、いつものように中庭のベンチに腰を下ろしてパンを齧っていると、
ポトッ!
何かが落ちて来た。ハチの巣!?
「ひいっ!」
私は一目散に逃げ出した。幸い刺されることはなかったが、アナフィラキシーショックで死んだらどうする!?
殺す気か!!
次の日から学食で昼食を取ることにした。するとサンドラがトレイを持って私に近付いて来る。私は身構える。
「キャアアッ!」
わざとらしくサンドラがコケる。そして私目掛けてアツアツのスープ入り皿が飛んで来る。身構えていた私はサッと避ける。
ガッシヤーン!!
「ご、ゴメンなさい! わ、私ったらドジで! チッ!」
おい! 今、最後に舌打ちしただろ! こんなアツアツのスープを頭から被ったらどうなると思ってんだ!
殺す気か!!!
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