第5話
迂闊だった...
今日はやけにカミラの攻撃がしつこかった。それでこの空き教室の前まで逃げて来たんだけど、それが罠だったか...私をここまで連れて来るのが目的だったようで、いきなり教室のドアが開き、あっという間にこの輩どもに羽交い締めにされ、教室の中に連れ込まれて隅に投げ出され今に至ると...
あぁ、きっとこれからあんなことや、こんなことをやられちゃうんだろうなぁ...前世含め、これまで純潔は守って来たのになぁ...こんな輩に散らされちゃうのかぁ...イヤだなぁ...でもまぁ、大人しくしてりゃ命までは取られないだろうし、ここは天井のシミを数えて、嵐が過ぎ去るのを待っていればいい...
いい訳あるかぁ! こんな輩どもに汚されてまで生にしがみ付いてそれで満足なのか!? いいや! そんなの許容できるもんか! 私の尊厳を守るために最後の最後まで抵抗してやる!
私は周りを見回す。教室なんだから当然窓がある。良し! 方針は決まった! 私はジリジリと包囲を狭めて近付いて来る輩どもの隙を突き、でんぐり返しで包囲を突破する! パンツが丸見えになるが構ってる場合じゃない!
「あっ!? コイツ!?」
私は窓の所まで行って、近くにあった椅子を振り上げ窓を叩き割った! 窓の下に誰も居ないことを祈りながら...
ガッシャーン!
そして割れた窓から大声で叫ぶ!
「誰かぁ! 助けてぇっ!」
「ばっ!? この野郎! 静かにしろ!」
輩の一人が私の口を塞ごうとする! その指をおもいっきり噛んでやった!
「痛てぇ! この野郎! ふざけやがって!」
「助けてぇっ! 誰かぁ!」
次の瞬間、輩におもいっきり背中を蹴られた!
「うぐっ!」
ふっ飛ばされた私は、机や椅子を倒しながら床に倒れた! 息が詰まる! 意識が飛びそうになるが、奥歯を噛みしめて堪える!
「舐めやがってこの野郎! ぶっ殺してやる!」
輩どもが近付いて来る。まだだ! まだ戦える! 私は輩どもを睨み付ける! 輩どもが手を伸ばして来た! その時だった。
ガラララッ!
教室のドアが開いた。そこに居たのは...キース様だった。一瞬で状況を理解したキース様は、
「てめぇらぁ! なにしてやがる!」
そこからは圧巻だった。さすがは騎士団長の息子といったところか。輩どもをあっという間に叩きのめした。そして私の所に駆け寄って来る。
「リリアナ! 大丈夫か!?」
大丈夫...と、答えようとしたが、私も限界を超えていたらしい。キース様に抱きかかえられた記憶を最後に、私は意識を手放した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます