シンと僕とデシジョン
シンとデシジョン
「なぁ、シン、僕はこの後に及んで、まだ悩んでるんだ。」
「自分の事かい?彼女との事かい?」
「両方と言えば、卑怯かい?」
「いや、悩んで当然だろ。」
「ありがとう。」
明日彼女に、自分の身の振り方を言おうと思っていた。
本当は、決まっているのに、シンの前で、口に出していたのだ。
その日は、準備期間という事で、会社を休んだ。
彼女も、何かと理由付け休みを取ったそうだ。
その日、家に帰るまでは目いっぱいデートを楽しんだ。夕食は、もつ鍋を食べ、ビールと日本酒がお互いよくすすんだ。
いよいよ家に帰って来た。
彼女は、「今日は、お互いに酔わないみたいね。」と言い、ゴルゴンゾーラと、赤ワインを用意してくれた。ダイニングテーブルをはさんで、向かい合わせに腰を掛けた。
「僕の話をまずするから、聞いてくれるかい?」「うん、私もそうしてくれるとありがたい。」
「僕は、今の会社のやり方に腹が立って仕方がないんだ。」「うん。」「まるでトカゲのしっぽきりじゃないか!」「うん。」「しかも2つも降格だよ。同期の上司が出来てしまう。」「うん。」「でもね、それでも本社勤務なんだよ。」
いつの間にか、2人の頬には涙が流れていた。「元同僚の君はそれがどんな意味を持つか分かるよね。」「もちろん。」「だから決めた。今は力が足りないかもしれないけど、将来的には、あの会社を改革してやる位のつもりで、本社に戻りたい。これが僕の今の気持ちなんだ。」少し間があって僕は続けた「君は、今の会社にやりがいを感じている事は知っている。だったら君は残るべきだと思うんだ。先の事なんて分からない。でも、今しかできない事をするべきだと思うんだ。」
「あなたの気持ちは、分かっていたし、本社には、帰るべきだと思う。それに、同期入社の上司なんて、大きい会社じゃ、あたりまえにある事じゃない。追い抜けばいいのよ。”改革上等”やっちまえ!」涙目と鼻声で彼女は言った。「ありがとう。でも君は残るんだよね。」
「うん、ごめんね。やっぱり、今の仕事は辞められない。長距離になっちゃうね。」
「こっちこそごめんね。」2人は、泣きながら抱き合った。
そして、僕は10日後東京に旅立った。
僕とデシジョン
その日は、思いっきりデートを楽しんだ。夕食は帰りの新幹線での匂いは気になったが、焼き肉にした。ビールとレモンサワーが、お互いよく進んだ。新幹線のホームに着くと人がたくさんいた。日曜日の夕方じゃ、仕方ないか。
僕たちは一旦改札を出て、カフェに行った。時間はたっぷりある。と言うより話す時間を計算に入れて遅い便の新幹線にしていたのだ。
席に案内され、それぞれコーヒーを頼むと、「僕の話をまずするから、聞いてくれるかい?」と言うと「うん、私もそうしてくれるとありがたい。」と彼女。
「僕は、今の会社のやり方に腹が立って仕方がないんだ。」「うん。」「まるでトカゲのしっぽきりじゃないか!」「うん。」「しかも2つも降格だよ。同期の上司が出来てしまう。」「うん。」「でもね、それでも本社勤務なんだよ。」「うん。」「だから辞めるのを止めた。」
「これが、現本社勤務の君はそれがどんな意味を持つか分かるよね。」「もちろん。」「だから決めた。今は力が足りないかもしれないけど、将来的には、あの会社を改革してやる位のつもりで、本社に戻りたい。これが僕の今の気持ちなんだ。」少し間があって僕は続けた。「どう……かな?」
「そんなの嬉しいに決まっているじゃない。」
二人は、再び駅のホームに戻った。
彼女は10日後の彼の帰りを待ちながら。
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