至急のお願い
翌朝、私達が寛いでいると、
「冒険者の皆様に至急のお願いがあります! この街の近郊に魔族が出現しました! 容易ならぬ相手であるため、腕に自信のある冒険者の皆様は、可及的速やかに冒険者ギルド前の広場にお集まりください! 小金貨100枚にて討伐の依頼をお願いしたく存じます!」
宿の前で大声を張り上げている使者が現れた。ギルドからの緊急の通知を届ける使者だった。
こういう大きな街には、相応の軍も駐留しているはずなのに、こうしてわざわざ冒険者にまで声をかけるということは、なるほど容易ならざる相手だと察せられる。
「ママ! 魔族が出たって! 僕達も行かなきゃ!」
ドゥルカはそう声を上げて、身構えました。
私がティフォリアに視線を向けると、彼女も、
「私なら、準備オッケーだから! こういうことも覚悟の上だから!」
と言ってくれました。2人がその気なら、私も、反対する理由はありません。
ただし、
「ただし、内容によっては引き受けないこともあるから、それを分かっていてほしい」
と、注釈をつけた上ですが。
「うん!」
「分かった!」
2人がそう言ってくれたので、3人で冒険者ギルドがある場所に向かいます。
すると、また、見覚えのある背中が見えました。ナフレリグァヌ・レゾヘでした。彼も参加するつもりなのでしょう。
こうして冒険者ギルド前の広場に着くと、そこには、100人以上の冒険者達の姿が。
実際にこの街に入っている冒険者達の数はもっと多いはずなので、呼びかけに応じたのがそれだけということでしょう。
小金貨100枚という大盤振る舞いともなれば、当然、リスクも高いですからね。
すると、ギルドの建物のテラスに、鎧をまとった男性の姿。この街に駐留している軍の指揮官でしょうね。
男性は、「げほんっ!」と咳払いをして喉を整え、声を張り上げました。
「我々の呼びかけによくぞ集まってくださいました。我はここトリティルイアに駐留する軍の総指揮官、バーハート・ウォルトルマ子爵であります。現在、このトリティルイア近郊では、スケルトン兵300とミノタウロス20体が侵攻中につき、我軍がこれを抑えているものの、決め手に欠ける状態であり、膠着状態に陥っております! 故に冒険者の皆様方に協力をお願いしたい所存!」
そのウォルトルマ子爵に、冒険者達の間から、
「小金貨100枚って話だけど、内訳は!?」
単調直入に質問が。それに対してウォルトルマ子爵は、
「前金で20枚。撃退もしくは殲滅でさらに80枚となります!」
との応え。
でも、それを聞いた途端に、集まってた冒険者達からは、
「それはつまり、8-2で死ぬ可能性もあるってことだよな!?」
との声が上がったのでした。
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