トリティルイア
レーソン街道を進むと、そこには、トリティルイアの街がありました。
トリティルイアの街には冒険者ギルドの支部があり、そこで仕事などを紹介してもらうこともできます。
冒険者ギルドは、<冒険者>を騙るならず者達を取り締まるために作られた、役所の出先機関が元になっています。今は冒険者ギルド自体が大きくなったので独立して運営されてますが。
あと、登録してる冒険者の中には、元騎士や元兵士も多いですね。いろいろな事情から騎士や兵士を続けられなくなった者が仕事として冒険者になった形です。今では私もその一人ですが。
「イリス様! トリティルイアの街です!」
小高い丘になっている場所を登りきったところで、ティフォリアが声を上げました。
「おーっ!」
ドゥルカも声を上げます。
「ママ! おっきな街だ!」
そうですね。トリティルイアは、我がバーディオン王国の中でも五本の指に入る大きな街です。商業も盛んで、人も多い。
だから宿も立派なのがあって、今日は久しぶりにちゃんとしたベッドで寝られるでしょう。
そうしてトリティルイアに入った私達は、まず、冒険者ギルドに立ち寄って、身元の照会を行います。これによって所在を明らかにし、身分を保証してもらうんです。それを怠ると、モグリの冒険者と見做され、下手をすると捕らえられてしまうこともあります。なにしろ、先程も申し上げたとおり、冒険者を騙ったならず者もいるので、大事なことなんです。
「はい、それではこちらにお願いします」
冒険者ギルドに着いて受け付けてもらうと、照会用の小部屋に通されます。そこには、念話を使える術者がいて、その念話で、私達の姿を確認するわけですね。
念話は、離れた場所にいる者同士が話をするだけでなく、相手の見たものを見ることもできるので、最初に登録した時に面会した術者に見てもらう形で照会します。
ちなみに念話の術者の多くは記憶力も大変に優れていて、一度見た人間の顔は忘れることがないそうです。
これは、一人で覚えるというよりは、念話で繋がっている術者同士で記憶を共有することにより可能になるのだとか。
「はい、イリス様、ドゥルカ様、ティフォリア様、照会OKです。ようこそ、トリティルイアへ。お仕事ですか? 逗留ですか?」
私達の照会を終えた術者の女性が、問いかけます。
「逗留です。三日間の予定です」
私が応えると、
「承知しました。逗留予定の方は三番の窓口で受け付けています」
そう案内してくれたので、三番の窓口に向かったのでした。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます