第5話【初の仕事は探索の仕事その2】

「なる程……そういう事があったのですか」


 それからあくる日、僕はこの事をオリヴィアさんに報告しに来た。


「報告ありがとうございます。しかし、邪悪結社ゲンム………まさかその様な者達が暗躍していたとは。とにかく早急に対策を打たないと……」


 これまで配下の人達の調査報告などもあってかオリヴィアさんはこの事態を深刻に考えていた。


「オリヴィアさん、及ばずながら僕もお手伝いします……ここにいないみんなもきっと同じ考えです」


「ありがとうございますナオ様。ただ無茶はしないで下さいね」


「はい!」


 と言いつつもただ一つ気掛かりな事がある。それはあの時戦ったゲンムの1人が明確に僕を殺そうとした事だ。

 もしかしたらユーフェス村の時からずっと僕が狙いなのでは?だとしたら何が目的なのだろうか?僕の中でゲンムの本当の狙いが何なのか謎が深まるばかりだった………。





 そして、邪悪結社ゲンムの本部………………アルムの森の隠れ家が発見された件を配下の青いフードの仮面の男の男の1人が報告に来ていた。


「ほぅ、それはまことか?」


「は、ですが他の王都周辺にある隠れ家はまだ発見されておりませんのでご安心を!」


「いや、敵はいつ気付くか分からん!貴様は即刻、各地の手の者に繋ぎを出し警戒を怠るなと伝えておけ!!」


「ははぁ!!」


 報告を終えた青いフードの仮面の男………ゲンムの一般兵は姿を消す。そして報告を聞いていたこの男こそ邪悪結社ゲンムのNo.2である最高幹部のドウキである。


「よし、今すぐゲンム四大幹部を呼べ!」


「は!」


 ドウキは他に控えていた配下に命令を下す。


「しかし………あの召喚術師の血を引く小僧は思った以上に手強いな。これは注意せねばならない………」


 ドウキが呟いてる内に4人程の人影がこの場に集まっていた。


「揃ったか……我がゲンムの精鋭四大幹部よ!」


「は、黒騎士クレフはこちらに!」


「剛将ゴーリキ推参!」


「邪術師ギル………お呼びにより参上いたしたぞ……」


「妖忍ヒリュウ、命令により見参しました」


 ゲンム四大幹部……騎士として正攻法での戦いを好む黒騎士クレフ、力押しによる戦法を得意とする剛将ゴーリキ、邪術を用いた心理戦など卑劣な手段を好む邪術師ギル、諜報戦に長けている紅一点の妖忍ヒリュウの4人で構成されたドウキに次ぐ実力者である。

 ドウキは揃った四大幹部の前である人物の姿を映し出す。その映し出された姿はナオであった。そして続いてシンやカナといったナオの仲間達の姿も映される。


「よいか、此奴らは間違いなく我らゲンムの障害となる!その前にどんな手段を使ってでもお前達の手で必ずあの世に送ってやるのだ!!」


「はっ!」


「此奴らを始末し、例の物さえ手に入れば世界は我ら邪悪結社ゲンムの手に入ったも同然だ!」


 そして一同は声を合わせる。


「全ては我らが主、幻無王の為に!」


 号令が終わると四大幹部は各自の行動に移る為に姿を消した………そして響き渡るドウキの不気味な笑い声…………。

これから始まるであろうゲンムの攻撃の前に果たしてナオ達はどうやって立ち向かうのか?そしてドウキの言う"例の物"とは一体何なのか?。

 この物語は今、新たな局面に向かおうとしていた…………


 

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