第40話モモ子とニャオちゃんの関係

40,モモ子とニャオちゃんの関係


七月末になると私の商売の方で降って沸いたように移転の話がでた。


今の場所では鳴かず飛ばずなので、どこかいい場所があったら移りたい


とは思っていたが考える暇もなく移る方へ話が進んでいた。


これ、もしかしたら猫のおかげ?なんて思ったりしている私である。


という訳で八月から十月ごろまでは忙しくあまりモモ子や


ニャオちゃんに構っている暇がなかった。


それが功を奏したのか思ったよりもニャオちゃんはモモ子になついていた。


例えば、外から帰って来た時など二階からニャオニャオ言いながら


階段を降りてきて居間で寝そべっているモモ子の口元に来て頭を下げる格好をする。


するとモモ子は臭いを嗅いで何かを確認している。


それで許されると互いに臭いを嗅ぎあってから頭を撫でてくれと


押し付けあったりじゃれあったりしてから私の方にやって来る。


モモ子をこの家のボスと認めたのか単なる挨拶なのかわからないが


これで二匹の関係はうまくいくのだろう。


モモ子が焼きもちを妬くことも少なくなる。


ニャオちゃんの方は何も考えている風はないが


モモ子の方は何かと気に障る事もあるらしく不機嫌な事もあった。


ニャオちゃんが当たり前のように私の膝の上に乘って来ると


すぐに起き上がってそばにやって来る。


私が椅子に座ってニャンコを抱くと、


ちょうどモモ子が立ったときの顔の高さが同じになる。


そこどけというように鼻先でニャオちゃんをこずくので


私は左手でニャオちゃんを抱き右手でモモ子の頭をなでる。


すると今度はニャオちゃんがそっちばかり撫でないで私も撫でてよ


とでも言うように両手を伸ばして私のあごのあたりを引っ掻く真似をする。


そういえばこの爪の出し方、雄と雌に変わりがあるのだろうか。


前の雌は爪は出しても引っ掻くことはなかった。


優しく撫でるような爪の出し方だった。


でも、このニャオちゃんは爪の出し方が下手なのか


時折私の顔や手に引っかき傷を作ってくれるのだ。


甘え方が下手なのか、それとも元雄だったので力が余っているのかしら。








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