第9話愛犬モモ子とそのひいお婆さん犬ルーシーの話
9,愛犬モモ子とそのひいお婆さんルーシーの話
わが愛犬のモモ子は残念ながら私が帰って来ても二階の寝室のベッドの上にいる。
「モモ子!モモ子!」と十数回玄関先で呼ぶとやっとパタンとベッドから
飛び降りる音がしてドタドタドタと階段を駆け降りてくる。
日によっては何も音がしないので心配になって二階に上がっていくと
腹を出して高いびきの最中である。
「モモ子」と呼ぶとビクッとして目を覚ます。
そしてバツが悪そうにちらっと私の方を見て慌てて跳ね起きる。
これじゃあ留守番犬の役を果たさない。
もっともあてにはしていないがせめて私が帰ってきた時には
お出迎えをしてほしい・・・
モモ子のひいおばあさんにあたるルーシーという犬は頭の良い犬だった。
私がいつ帰ってもきちんと玄関でお座りをしてドアを開けるのを待っていたものだ。
余計な悪戯もしないし拾い食いもしない。
無駄吠えもしないし声に出して言わなくても目を合わせただけで
私の心を読んでくれた。
愛犬の鏡のような犬だった。
一番感心したのは私が眠る時には添い寝してわが私を寝かしつけてから
ベッドを出て床の上で眠り、朝起きるころにベッドに入って来て私を起こす。
らしい。
というのも、私はこの事実をたまに泊まりに来る妹から聞いた。
一度寝たら朝まで起きない私はずっと一緒に寝ているものだとばかり思っていたのである。
私を寝かしつけてくれていたなんて、まるで母親のようだ。
しかも時間になっても起きないとベッドを降り、フローリングの床を
『カツ、カツ』と馬のヒズメのような音を立てて部屋の端から端まで往復し始める。
それでも起きないと顔をペロペロとなめて起こしてくれた。
何匹もゴールデンリトリバーを飼ったがルーシーが一番賢くて美人であった。
目と目が合っただけで互いの気持ちがわかるほど心が通じている気がしていた。
残念なことに事故で失ってしまったが・・・
その血筋を引くはずの子なのに、モモ子といえば?マークがつく。
ルーシーという犬を知らなければモモ子も充分に良い犬なのだが・・・
ただ一つ拾い食いをするという癖さえなければの話であるが。
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