第7話雪の日に・・・
7,雪の日に
ところが八日の日に雪が降った。
朝起きた時,庭は一面の雪だった。
モモ子は雪が大好きである。
いつもより散歩を長くして家に戻るとあの猫がいた。
縁側の餌袋に頭を突っ込んでいたが、私たちの気配を感じたのか慌てて縁の下へ逃げ込む。
モモ子がすかさず追うが、いつもの挨拶のようなもので追い詰める気はない。
猫の方も適当なところで隠れていればやり過ごせるのはわかっている。
モモ子を家に入れてから縁の下の猫を呼んでみるとさほど時間もかからず腕の中に入る。
寒さのせいだろう。
でも、この雪の降る日に寒さ嫌いの猫がここにいるという事は
飼猫ではないという証拠なのだろうか。
捨てられたのか、逃げてきたのか、あるいは旅行中の車での移動中に車から出てしまって
戻る家がわからなくなってしまったのか。
いずれにせよ行く場所のない猫という事らしい。
とりあえず、今日のこの雪の寒さから救ってあげようと思った。
庭にある犬小屋にダンボールを置き、そこに猫を入れた。
猫は嫌がりもせず、入っている。
犬小屋は半年ほど前まではモモ子が使っていたが
今は家の中に入ることを覚え,使わなくなってしまつたものである。
家の中からいらない布を持ってきてダンボールに入れ
改めて猫を入れると素直に入っている。
排泄用に空いた場所に新聞紙を敷いた。
水を入れた容器と餌を数粒おいてドアを閉めたが嫌がる様子はなかった。
閉じ込められるのを嫌がるのが普通だと思っていたが 慣れているのだろう。
こんなに慣れていて可愛いい猫なのに捨てる人がいるのだろうか。
ふと、不安になる。
情が移った頃に飼い主が現れるのではないだろうか。
でも、探しているとしたら飼い主の気持ちは痛いほどわかる。
飼い主がいるのだとしたら早く元の飼い主に渡してあげたいという気持ちになる。
とりあえず今日はここで暖かくして過ごせるだろう。
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