第9話


「夕飯なんだけどさ...何食べたい?」


俺が尋ねると、マヒロは遠慮がちにこう言った。



「あのね...コロッケがいい...」


「材料は昨日買い揃えたのがあるの。冷蔵庫の野菜室にとか中見てもらえれば、牛豚の挽肉も入ってる

から使ってもらえれば...」


「二人分よか、ちょっと多いくらいの量で

売ってたの買って来たからシンジの分も作って食べてね...

最も、今日はこの家に一緒に泊まるし、

ご飯だって私、一人じゃ寂しいから

シンジも...ね?」


「分かった...」


「シンジ...」


「ん?」


「ごめんね。手のかかる油料理なんて

やらせてさ...」


「別に。ちょうど俺もコロッケ食べたいと思ってたとこだし...」


さて。

まだ仕事中の

母親には。


居間のテーブルの上に置き手紙を残して来た。


母さんへ


マヒロが俺のせいで腕を骨折した

俺はマヒロの家にいて、お世話係として

御奉仕する羽目になった

心配しないでくれ

隣の家にちゃんといて、

マヒロの身の回りのことできるかぎり

してあげる役目を全うする



文章下手くそだが。


伝わればいいも思ってる。


育ての親の母さんなら、

俺が言わんとしてること、

乱文乱筆でも分かると思うんだ。












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