第6話


マヒロの家は俺のすぐ隣の家だった。


「じゃな、マヒロ。

また明日な...!」


俺はマヒロの家まで来て、

別れようとした。


それなのに、だ。


「あのね、シンジ」


「ん?」


「夕飯作ってほしい。

それから、お風呂一緒に入って背中流してほしい。

あとね、一緒にベッドで寝てほしい」


「え」


「見てよこれ」


マヒロはひょいと包帯ぐるぐる巻きの左腕を俺の目の前にかざして見せた。


「不自由になってるの。

怪我が治るまで、私の身の回りのお世話してよ」


「え」


「え、じゃないよ。私の

お世話係、シンジに頼みたいんだけど!」


「いや、でも...流石に風呂とか

寝る、とかまずいだろ?」


「おまえの厳格な父親が、嫁入り前の

娘になんてことを...!って言い出すだろ?

風呂は、おまえ、おばさんと

入ればいいだろ?」


「それがさー、居ないわけよ。

仕事でふたりとも海外に行ってて、

当分帰って来ないわけ!

私、この家に今日から一人なの!」


「いや、しかしな、、

おまえの背中を流すのは俺の母さんでもよくないか?母さんは看護師してるから、

そーゆー、お世話なれてるし。あ、でも、

今日は夜勤の日か...」



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