第142話 明菜、みどり、明日香のその後

緑川明菜と仁科みどり、そして、望月明日香の3人は元の地球に帰還してから約4か月が経過していた。

8月に起きた出来事で3人は色々と警察に聞かれたのだが、その記憶は全くなかった。

その事件とは、明和学園高校爆破事件....明和学園高校の教室「3年5組」が謎の大爆発を起こし、その場にいたとされる教師と生徒合わせて14名の内、死者11名、負傷者3名が出た事件である。

その負傷者は当時教育実習生であった、緑川明菜。3年5組の生徒であった、仁科みどりと望月明日香の三人で死者は3年5組の生徒達で、川崎仁美、佐伯しずか、剣崎和哉、大谷弘之、片桐省吾、近藤真一、佐久間大吾、立花良太、湊川龍二、林道琢磨、矢作英二、の11名。

その事件のおかげでみどりと明日香は大学の推薦が取れていなかったのあったのだが、何故か1校のみ推薦受験が出来ると言われ、その大学の推薦試験を受けて無事に合格をしたのである。

明菜の方が中途半端な教育実習となり、教師試験は何とか合格出来たのだが、学校の新規教職員の募集は既に決まっていた所が多かった。

しかし、ある学園が何故か明菜に声をかかり、明菜は無事にその学園に小学校の教師として来年の4月から入る事になった。


そして、2年が過ぎた有る朝、


ジイイイイイイイイイ。

目覚まし時計が大きく鳴っていた。


「眠い......。」

朝が弱い女性....明日香が目覚まし時計を止めて二度寝しようとしていると、


「明日香! 起きなさい! もう7時だよ?」

みどりが明日香を起こしに来ていたのであった。


「みどり....もう少し....。」


「明日香! 起きないと勉強教えないよ? それでも良いのなら寝て良いよ?」

みどりに明日香の痛い所を付かれて慌てて起きる明日香であった。


「分かった! 今起きた。」


「先ずは顔を洗ってから朝御飯にするよ?」

二人は風呂場の隣の洗面所で顔を洗い終わった後、リビングに向って行くと朝食の準備が終わった明菜がテーブルについていた。


「おはよう。みどりさん。明日香さん」

朝ご飯の準備をしていた明菜が二人に挨拶をした。


「おはようございます、明菜さん。」


「ああ....眠い.....。」


「明日香さん。夜更かしでもしたの?」


「昨日、部活動が忙しいかったので、帰ってくる時間が遅かったのよね?」


「そうなんだ。みどりさんは確かサークルに入っていたわよね?」


「そうですね....色々と勉強になるかと思って入部したのだけど、恋バナ話ばっかり....もう。明菜さんは小学校の方は?」


「今ね、やっと今年から新1年生の担任を貰ったのよ。先日の入学式で生徒達と初めての話をしたら....やんちゃでおませな子ばかりだったわ....はあ」


「みんな、それぞれ大変なんだねえ.....」


「「うんうん」」

明菜が愚痴をこぼしたらみどりと明日香も頷いていた。


「もう7月かあ...あの爆発事件が発生してもう2年も経つんだ....。」


「私達、あの爆発から良く生きていたと思ったわ。」


「明菜さんの言う通りですね...私もビックリしています。」


「しかし、3人とも偶然だよねえ。まさか内容が違うけど同じ学校に入ったのにはビックリしたわよ?」

明菜は苦笑いしながら朝食を食べていた。


実はこの3人、場所は違っても行く所は同じであった。

その場所は、山梨県にある小中高大学があるエスカレータ式の女子専門の学園である。

みどりと明日香はその大学でみどりは経済学部に入り、明日香は文学部に入り、今は剣道より大学からフェンシング部に入部していた。

明菜は小等学科の教師となり、今年初めての担任を受け持つ事になった。

明菜達はあの事件の後、交流をして行って3人供同じ場所に通う事になったのと、1人暮らしは不安があった為、3人でマンションを借りてシェアしていたのだ。


「そう言えば、みどり聞いている?」


「なあに?」


「私とみどり。今日何故か学長から呼びだしを受けている事に?」


「知っているわ。確か13時に学長室に来て欲しいって言っているわ」


「そうなんだ。実は私も理事長から呼びだしを受けているの?」


「明菜さんも?」


「何かしら?」


「さあ....もう時間だ。明日香、明菜さん、行きますよ」


「私は車の準備してくるから、外で待ってね」


「「はあい」」


明菜は急いで車を出す準備に出て行き、その後明日香とみどりもマンションの外に出て明菜の車に乗って学園に向った。

学園に到着すると明菜は小等学科へ、明日香とみどりか大学に別れて行く。

13時になると明菜は理事長室へ、みどりと明日香は学長室に向って行った。


明菜は理事長室に入ると50代の女性が座っていた。


「緑川先生。ご苦労様です」


「はい。それで理事長、ご用件とは?」


「実は緑川先生に海外研修に行って欲しいのよ? 場所はシドニーでそこにある日本人学校、期間は3年~4年をめどに考えています。その後、そのままシドニーに滞在か又は日本に戻るかを決めて欲しいのよ?」


「海外研修に行く理由とは?」


「実は、日本人学校の先生が居なくて、特に小学校の方がね。そこで我が学園では有望な若い教師を海外に派遣して経験をして欲しいのが理由です」


理事長からの海外研修は明菜に取っては都合が良かった。

それは、あの爆破事件によって明菜のメンタルが弱くなっていたのだ。

日本での仕事は子供の親からも色々と文句を言われて更にメンタルが弱くなって、それを見た理事長が明菜の気持ちを察して海外研修と言う名目で気分を変えようと考えて今に至った。


「その件、よろしくお願い致します」

明菜は直ぐに返事をして理事長室から出て行くのであった。


丁度同じ頃、明日香とみどりも学長室で学長との面談をしていた。


「私達が交換留学生として行くのですか?」

みどりは学長に交換留学生の話を聞く。


「仁科さんは日本では経済学を学ぶには最先端ではありませんので経済学の最先端であるアメリカのC大学に交換留学生として約3年間行ってもらいます。その後、留学期間が終わりましたら、このままC大学に在籍してもかまいません」


「私は一体何処に行くのですか?」

明日香も学長に尋ねると


「望月さんは、スポーツ留学としてフランスにあるF大学に行ってもらう予定です。其処には望月さんが今しているフェンシングを専攻していますよね? その大学のフェンシング部は世界で三本の指に入る所なのです。勿論、期間が終了してもそのまま在学してかまいません」


そして、二人に一番な話を学長から聞くのである。


「留学期間の間、学費はこちらで準備します。それとそのまま現地での卒業までの期間の間も学費と生活費、家賃はこちらで負担します」


「それは....私達に取ってはありがたい話でありますが、何故学園が面倒を見る事になるのですか?」


「それも私も聞きたかったです」


「それはですね、ある人物が貴方達限定で援助をしたいと言っていましたので、その人物の事は極秘事項なので説明出来ません。どうしますか?」


学長の説明を聞いた2人は考えていた。

みどりは今後の経験で大学を卒業したら、アメリカの大学に入学すると考えていた。

明日香も今しているフェンシングが楽しいので大学を卒業したら、仕事しながらフェンシングをしたいと考えていたのだが、仕事の合間に出来たら良いかと思っていた。

それが二人とも時期が早く、しかも現地に滞在して良いと言われた為、二人の取った結論は、


「「よろしくお願い致します」」


二人は学長室を後にして家に帰るのであった。


家に帰った3人は今日の出来事を話合って、来年の1月にそれぞれの留学先に行く事になる。

そして、1月までの間、3人はそれぞれの仕事、又は授業を受けて更に留学に必要なパスポートの取得、ビザの発行、それとみどりと明日香は運転免許の取得をして、出発の当日を迎えた。


出発の日の朝、3人はマンションから近い喫茶店に入って朝食を食べていた。

住んでいたマンションは今日で退去が終わっていた為、スーツケース一本だけで行く事になった。


「みどりさん。明日香さん。此れからはそれぞれの道を行くから、たまには連絡を取り合いましょうね?」


「そうですね。明菜さんの言う通りです」


「一番心配なのはみどりだよ? 大丈夫なの?」


「私は英語は出来るし、明菜さんも英語出来るでしょう? あんたはフランスだから一番不安なのよねえ....」


「私は留学が決まった時からフランス語の授業に変更して頑張ったからね。まあ日常会話ぐらいは出来るけど?」


「まあまあ。それぐらいにしてそろそろ時間よ?」


「「了解」」

3人は喫茶店を出てそれぞれの留学場所に行くのであった。



○○○○○

その頃、理事長室に座っていた理事長は3人の事を考えていた。


(あの世界の神である、あの人からのお願いを聞かないとね.....それと、あの方に出会うの事が出来る場所があの3か所しかなかったのよねえ.....。これであの3人の事は出来たはず....ねえ『ロマリア』の女神エレナ。この地球の神があなたの願いをかなえたわ....。後は貴方の世界の事はあの方次第ですよ.....さん)


心で呟きながら理事長はお茶を飲んで微笑んでいた.....。



~作者より~

ヒロインの4人、みどり、明菜、明日香、クラリスはこの回以降、エンディングまで出て来ません。

エンディングで今後の3人を書きますのでお楽しみ下さい。


次回はギルガメッシュの所に行くグレンの話です。

残り数話となりますがよろしくお願い致します。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る