第141話 勇者の塔にて......別れ

リンドリウムを倒した明菜、みどり、明日香、クラリスは勇者の塔の中に入って行った。

中に入ると中央に円筒状の乗り物があり、4人はそれに乗って最上階に上がった。

最上階に上がると目の前に扉があり、扉に4つの手形の跡が左から順に配置していた。


「この手形の跡に自分の手を触れたら良いのかしら?」


「そうみたいですね。明菜さん」


「これって一遍に手に触れないと行けないのかな?」


「たぶんです」


4人は相談すると各々が持っていた通信魔道具から誰かの声が聞こえてくる。

その誰かとは......。


『おい。みんな。最上階に到着をしたのか?』


「ねえ。前に扉があってその扉に手形があるの。どうしたら良いの?」


『それはな.....エレナが俺だけに対して話をして来たのだが、その手形は左から明菜、次、みどりでそして明日香、最後にクラリスの順で手に触ったら開くはずだ』


「分かったやって見る」

グレンの指示で4人は次々と手形に触れて行く。

すると手形が光り、扉が開いた。


「開いた。入ろう」


「「「了解」」」

そして、4人は扉の中に入った。

部屋に入ると中央に4つの台が配置していて、台の後ろには筒状の物が天井に伸びていた。

『次もさっきと同じ順番で立ってくれないか?』


「「「「了解」」」」

台の前で明菜、みどり、明日香、クラリスの順で立った。


『これから言う事を聞いて欲しい。これを間違うとギルガメッシュに対抗する方法がなくなるからな?先ずは明菜。台にある手形の跡に手を触れてくれ』


「分かったわ」

明菜はグレンの指示通りに手形の跡に手を触れると、明菜の身体が光輝いている。


『次はみどり』


「了解」


みどりも同じ様に手を触れると身体が光輝いた。


『次は明日香』


「うん」


明日香も同じ様に手を触れると身体が光輝いた。


『最後にクラリス』


「はい」


クラリスも同じ様に手を触れると身体が光輝いた。


『お前達、今の状態を教えてくれないか?』


「全員が光輝いているわ」


『そうか、次に言う言葉を発してくれないか? その言葉は『ルエカ・ニイカセ・ノトモ』と言うんだ良いな?』


「「「「了解!」」」」


4人の内3人だけグレンが指示した言葉を言った。

それはクラリス以外の明菜とみどりと明日香であった。

『『『ルエカ・ニイカセ・ノトモ』』』


するとグラリス以外の3人がそのまま光の玉に変化して上空に飛び立って行く。

その情景を見たクラリスはただ一人残っていた。


「旦那様。これで良いのですよね?」


『ああ。その通りだ』


「アキナ達は何処に行ったのですか?」


『元の世界に戻ったんだ。俺達が召喚される前の時代だけどな? 元々、俺達を召喚したのはだからな。クラリスには説明しただろう?』


「はい......。」


○○○○○


スタンビートの前にグレンはクラリスに勇者の塔について話していたのだ。


「クラリス。これで良いんだ」


「旦那様はアキナ達を元の世界に戻さないと行けないのですか?」


「このまま、ロマリアにあいつらを置いとくとギルガメッシュに操れてしまうからだ。理由は俺達を召喚したのがギルガメッシュの配下であったエステリーゼだったかんだ。召喚されると召喚された神の加護が入ってしまう。俺達は元々ギルガメッシュの加護を受けてしまっている。そして、俺はギルガメッシュに殺されて、女神エレナによって此処に転生したので女神エレナの騎士の称号を得た。明菜達は空中要塞の時に俺の帰還魔法で一回元の世界に戻って行ったのだが、女神エレナは俺の記憶封鎖が不完全なので一回ロマリアに再召喚させて、再帰還する方法を取ったのがこれだったんだ。今度の帰還は明菜達の記憶を消す以外に体内にある全魔力を吸い上げ、光の球体にしたんだ。そこでお前が今ある3つの球体を一つにしないと行けないので、今から言う言葉を言うんだ。『光よ。我が元に戻れ』って言え!」


「はい。『光よ。我が元に戻れ』!」

クラリスが唱えると上空にあった光の球体がクラリスの身体に取り込んで行った。


「次はクラリスの番だ。これをしたら俺の所に光が来る。合言葉は『光よ。我が主の元に』だ」


「はい。『光よ。我が主の元に』!」


クラリスの身体から光の球体が出て、球体は我が主の所に飛んで行った。

その場所は......グレンの所だった。


「グハアアアア!」

グレンは大きな悲鳴を上げて、ころころと転がって行く。

グレンの身体から光が消えるとグレンはよろめきながら立ち上がった。


「これで.....ギルガメッシュと互角に戦える......クラリス。後の始末は頼むぞ....俺はサザンクロスで奴のいる暗黒門に飛び込む!」


「旦那様。お気を付けて」

クラリスがそう言うとグレンが乗ったサザンクロスは暗黒大陸に向って行った。



○○○○〇


勇者の塔にただ一人だけ残っていたクラリスは、勇者の塔の外に出た。

入り口にはリリアンヌが待っていた。


「クラリスさん。アキナさん達は元の世界に戻ったのですね?」


「はい....って何でその事を知っていたのですか?」


「それはですね。私達がエレナ様の加護があるからなんですよ? ただこの加護は限定付きで勿論、貴方にも同じ事が言えるのです。それは.....」


『クラリスちゃん。それは私が言うわよん』


「ビクトリア女王陛下!」


『女神エレナの加護はグレンちゃんがギルガメッシュを倒したら、私達の加護が消えるのよ。これは女神エレナ様からの神託が降りたのよねえ。クラリスちゃんはホーリータウンに戻って防衛をして欲しいのよ? リリさんと一緒に議員会館に置いている転送魔法陣を使ってホーリータウンに向ってちょうだい。』


「と言う事ですわ。クラリスさん」


「わかりました.....」

リリアンヌとビクトリアの説明を聞いたクラリスは転送魔法陣を使ってホーリータウンに戻って行った。


○○○○○○

その頃、明菜達はある所に寝ていた。

それは東京にある某病院の中の病室で寝ていた。

それは明和学園高校で起きた爆破事件でたまたま巻き込まれて、明菜とみどりと明日香は爆破によって吹き飛ばされて、偶然にもプールの水の上に浮かんでいたのだ。

そう...明菜達はロマリアに召喚された状態に戻って来たのだ。

前と違うのは.....以前の時は指輪があったのだが、今回は指輪は全く無かったのと、魔力が無かった事であった。


つまり....明菜達は2度とロマリアには戻る事が出来ないのであった。

しかも...今までの記憶も全て消えてしまったのある.....。




~作者より~

次からは後半戦に入ります。

恐らく予定だと残り10話ぐらいと思いますので最後まで読んで下さい。

次回は明菜達のその後を書こうかと思います。

お楽しみ下さい



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