第124話 研究都市ローベル

グレン達はローベルに近い場所に居た。

其処にはゴーレム部隊と改造魔物部隊が激突している最中であった。

その後ろに研究都市ローベルがあった。


「既に始まっているな....キラービーを此処から出すしかないか」


『そうなりますね。グレンさん』


「私もそれに賛成」

みどりは返事をするとクラリスが不安な顔で

「それに何か嫌な予感がします。旦那様」


「嫌な予感って。何かあるのか? クラリス」


「はい...」


「此処でキラービーを放ってローベルに向かわせよう。中に入ると今までより時間が短くなるので注意が必要だ」

グレンはキラービーをローベルに向って放った。

キラービーは前に戦っているゴーレムと改造魔物の間を通って無事にローベルに到着した。

そして領主邸に到着して中に入ると其処には誰もいなかったのであった。


「どう言う事だ? 誰もいないぞ」


「本当だ。誰もいない」

更にキラービーは領主邸を細かく調べたが......誰もいなかった。

すると、移動基地から通信が入って来た。


『グレン様! 大変です!』


「どうした?」


『はい。レオンの部隊とリグルの部隊がある場所に向って進行中! そして、魔導装甲車らしき軍団も其処に向って進行中です!』


「しまった! その装甲車はスチュワートの部隊だ!」


「「「「なんですって!」」」」


「それで何処に向っているのだ」


『はい。多分アリオスがいる.......ラークシャーです』


「「!」」


レイモンド夫妻は驚きを隠せなかった。


「なんでラークシャーなのだ」


「レイモンドさん。良いにくい話だが.....ラークシャーはアリオスが支配されている」


「え.......」


「レイモンドさんが言っていた援護はこの帝国内では無いって事だ」


「なんと言うことだ.....」


「その前にローベルの領主宅に何か情報が残っていないか確認するぞ。このままローベルに入る。今なら問題ないはずだ」

グレン達はそのままローベルに突入して入った。

装甲車から降りたグレン達は急いで領主宅に向って走って行った。


領主宅に到着して中に入ると本当に誰もいなかった。


「本当に誰もいなかったのね?」


「みんな、もう一度、分かれて調べよう!」

グレン達は別れて領主宅を調べていると明日香が大声で叫んだ。


「ねえ! こっちに来て!」

明日香の方に全員が集まると明日香がいたのは領主の執務室の中であった。


「どうした明日香?」


「この部屋、おかしくない? 特に壁を叩いて見て」


グレンは明日香の言う通りに壁を叩くと乾いた音が聞こえた。


「これは.....空洞になっている。そうなると....明日香、壁を斬れ!」


「分かった!」

明日香が壁を剣で斬ると空洞の場所が出て来て、床には扉があった。


「ねえ、これって地下室?」

みどりが尋ねると明菜が答えた。


「そうね。地下室だわ。どうする?」


「中に入るぞ。俺が先頭で、続いてレイモンドさん夫婦と明菜、そして、みどり。最後に明日香とクラリスで行くぞ」


「「「「「「了解!」」」」」」

グレン達は地下に降りて行くと大きな部屋が出て来た。

その大きさはほぼ領主宅と同じ大きさで其処には10個ほどの部屋があった。


「ここになにがあるのか?」

グレンは一つの部屋の前に立ち扉を蹴り上げた。

扉は壊れて、そこには.......


「これは......」


「私の特殊部隊のメンバーだ.....しかも全員死んでいる.....」

其処にはクラリス直属の部隊のメンバーが吊り下げられて.....死んでいた。

残りの部屋を調べたら、全員同じ様に吊り下げて死んでいたのであった。

すると、みどりが声を上げた。


「みんな! この人まだ生きている!」


みどりがいる部屋に全員が集まるとまだ息がある隊員が吊り下がっていた。

直ぐに隊員を降ろすと、隊員がクラリスの顔を見て


「クラリス様......大変です.....ヘレン部隊長が.....」


「ヘレンがどうしたのだ?」


「ヘレン部隊長が.....裏切りました.....」


「それはどう言う意味だ?」


「私達とヘレン部隊長はスチュワートの調査をしてこの屋敷に入ったのですが、アリオス王子とスチュワート王子が話をしていました。レオン王子とリグル王子をラークシャーで戦わせようと話をしている最中に、突如、ヘレン部隊長がスチュワート王子の兵を指示して私達は捕まってしまいました。そして地下室に監禁されて、拷問を受けました.....次々と死んでいった仲間を見ながらヘレン部隊長は.....アリオス王子に抱かれて喜んでいました......。でも、我々は自白しませんでした。1時間前に3人は此処から魔導装甲車20台を使って、今はラークシャーに向って.......。」


「みどり。回復魔法を頼む!」


「クラリス。分かったわ。」

みどりが生き残った隊員に回復魔法をすると隊員は少し落ち着いて、今までの内容を話した。


「ありがとうございます.....。実はヘレン部隊長だけ最初にラークシャーにいるアリオス王子の所に潜入しましたが、1週間戻って来ませんでした。そして、ヘレン部隊長は帰って来て、全員に各王子の情報を集めていました。その報告をヘレン部隊長に報告したら、ヘレン部隊長は何処かに行った見たいでした。その時は我々も気づかないでいましたが.....何かヘレン部隊長の様子がおかしいと思い、私一人でヘレン部隊長の後を付けていました。そうしたら....行った場所が......帝都の王城だったのです。其処で私は見てはいけないものを見てしまったのです」


「それはどういう事なのか?」


「城の帝王の部屋でヘレン部隊長が....帝王に抱かれて喜んでいた風景でした......。しかし、部隊長は抱かれながらこう言いました「ああ。様と」」


これを聞いたグレンは理解をした。

ヘレンはラークシャーでアリオス宅に忍び込んで捕まり、そして、アリオスに犯されてアリオスの性奴隷に落ちてしまった事に、しかも、グレン達の行動もヘレンから聞いていた可能性があるって事を....


「私はもうダメです.....。最後に言う事は一つだけです。アリオスは帝都に居ます。それと部隊長はラークシャーにに扮しています....」

そう言って最後の隊員が息を引き取ったのであった。



~作者より~

遅くなってすいません。

次回はラークシャーでの4王子の戦いが始まります。

此れからどうなるかは期待して待って下さい。



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