第122話 商業都市ベルトン(前編)
次の日、グレン達は要塞都市ベルを後にして商業都市ベルトンに向った。
ベルからベルトンまでは馬車で約一か月の距離であったのだが.......
「あんた! 何ちゅう速度で走っているのよ!」
明菜が呆れたような顔で叫んでいた。
そう....グレンの用意した装甲車は....マジで速かった。
しかも、速度による揺れも全く感じなく快適に進んでいた。
「今の速度? 確か約200キロオーバーしているはずだが?」
「貴方って.....常識って言うのはないの?」
みどりも明菜と同じ事を言っていたが、明日香は少し違った。
「ねえ。私も運転したい!」
「明日香?」
「なあに? みどり」
「貴方ってスピード狂なの?」
「だって楽しいだもん。この速度は私には丁度いいから!」
ドヤ顔で言う明日香。
「思い出したわ.....みどりさん。覚えている? 半年前に三人で行った「遊園地事件」....あそこで明日香さんが乗ったジェットコースターで.....」
明菜が「遊園地事件」を思い出して話すとみどりも半ば諦めながら話していた。
「明菜さん....それは言わない方が良いかも....はあ....あの事件で明日香がジェットコースター好きなのが分かったから....」
みどり達の話を聞いたグレンは、
「明日香のジェットコースター好きってどう言う意味だ?」
「どうします? 明菜さん」
「私が話すわ.....半年前に夏旅行と言う名目で東京に帰ったのよ。其処で明日香さんが遊園地に行きたいって言って....その時は私とみどりさんも久々だから行こうになって.....遊園地に来た途端に明日香さんに連れられてジェットコースターに乗せられたのよ? しかも....午前中ノンストップで....。その後昼食べた後、私とみどりさんはギブして明日香さんと別行動にして夕方に入り口に集合する事になって.....」
「それでどうした?」
「集合時間に明日香さん来ていなくて.....」
「明日香を明菜さんと一緒に遊園地を探したら....いたのよ」
「何処に?」
「「ジェットコースターに!」」
「まあ。楽しかったので...」
「「貴方が言うな! 昼からずっとあればっか乗っていたって!」」
明日香は遊園地のジェットコースターに一日中乗っていたのであった。
「明日香。お前バカか?」
「なによ? あんたにバカって言われないわよ! このオタク!」
「もう.....良いから、もうすぐベルトンの街の近くに着くから全員降りる用意してくれ」
グレンが全員にそう指示しるとレイモンド夫妻が驚いた顔で
「もう着くのですか? ベルから出て3時間しか経っていないのですが?」
「馬なら一か月だろ? こいつは馬より10倍以上速いって」
「「もう....良いです」」
レイモンド夫妻は沈黙して行った。
そして、装甲車から降りたグレン達は無事にベルトンに到着した。
ベルトンの入り口に警備兵が居たのだが、商業都市なのでレイモンド夫妻の冒険者カードで簡単に中に入る事が出来た。
商業都市ベルトンは帝国一の商業が発達している街で、帝国以外からの他国から出入りしている唯一の街である。
グレン達は、ある宿に向って行く。
その宿の名前は『アルベト亭』と言う他国の商人専門の宿であった。
中に入ると、受付の人が声をかけて来た。
「いらっしゃいませ。アルベト亭にようこそ」
「宿を取りたいのだが?」
「はい。この宿は商人専用の宿なので一組一部屋になっています。それで何組ですrか?」
「一組7名だが?」
「それなら一泊夜と朝ご飯込みで金貨2枚となっています」
「それでいい」
「それでは3階の「303」号室です。此れが鍵なので」
「ありがとう」
「ちなみに部屋には防音装置がついていますので、外には聞こえませんので。安心してご相談とかしていただいて下さい」
グレン達は303号室に入ると、
各々の好きな席に座って行ってグレンが話を始めるのであった。
「それじゃあ。キラービーを外に出すからな?」
グレンはキラービーを外に放った。
商業都市ベルトンは要塞都市ベルと違って外壁が全くない代わりに街の周辺に八本の塔が規則的に建っていた。
その理由は、その八本の塔には巨大な魔道具が設置しており、魔道具から結界が張られていて街を包んでいたのである。
各塔の中には、魔道具に魔力を入れる魔導士が約20名ほどいて、24時間交代で魔道具に魔力を入れていたのだ。
その光景を見たグレン達は、首を傾げながら話していた。
「なんと言う効率の悪さなのだ? その結界魔道具ってそんなに多くの人がいるのか?」
『グレンさん。あの魔道具は完全防御の結界魔道具なので一人当たり3時間ずつ魔力を入れないと動作出来ないのです。それ程に強力な魔道具なのですよ?』
レイモンドが魔道具の説明をした。
「ねえ。貴方? 確かホーリータウンにも同じ完全防御結界の魔導具を設置していたわよね?」
「なんだ。知っていたのか? みどり」
「だって明菜さんに完全結界の魔法陣を貴方が使った魔道具の魔石に組み込んでいたのを見ていたから」
「みどりさん....。その結界の魔法陣を魔石に組み込む作業はキツかったわよ。だって約100個作ったから......」
明菜は魔導具の魔石に魔法陣を組み込み作業をキツさをしみじみと答えた。
『グレンさん。その魔道具は大きいのですか?』
「いや。これぐらいの大きさだったぞ?」
グレンは手振りで魔道具の大きさを出した。
それの大きさは野球のボールぐらいの大きさであった。
『そんなに小さいのが....約100個ですか?』
「違うぞ? 約2000個以上だ」
「「「「「え?」」」」」
「最初は明菜に100個の結界魔道具に魔法陣を組み込み作業をさせていたのだが、うちの鍛冶職人がね.....明菜の魔法陣を同じように魔石を粉にしたペンで書いて魔力を入れたら出来たのよねえ。其処で残りの2000個はその鍛冶職人が全てく作ったのだよ? その魔道具は外壁すべてに間隔を空けて壁の中に入れたのだよ。お前達壁に塔が東西南北にあっただろう?」
「そう言えば東西南北にあった気がするわ」
「その東西南北にある塔は、中心にある領主宅と繋がっていてね。領主宅の地下にある物質を使って魔力を東西南北の塔に送っている。その塔から壁に埋め込められた小さな魔道具に伝わって結界を張っているのだよ?」
「あの地下にある大きな魔道具?」
明日香がグレンに尋ねると
「そそ、地下にある物質は無限に魔力が発生する装置なんだ。その装置は5人の魔力を根こそぎ持っていかれる代わりに一回魔力を注ぎ込むと約一か月持つ品物なのだよ? つまり俺の結界は一か月に一回、その魔力を注ぎ込むだけで済むのだ。見た感じベルトンの完全結界より強力みたいだが?」
「「「「「「............」」」」」」
その場にいた全員が黙り込んでいた。
「東西南北にある塔はもう一つの役目があってね。それは監視塔として使っている。これで四方から敵が来ても情報が領主宅に入る訳だよ?」
「もう......あんたはバカ????」
「「「「「うんうん」」」」」
「そのお陰でここの魔法の技術が俺の街の技術より遅れているのが分かった。」
グレンはキラービーを領主宅に向かわせた。
領主宅には3人の人物が会議をしていた。
『グレンさん。中央にいるのがリグル兄上です。隣の2人は兄上の家臣ですね』
「何かの会議か? 聞いてみよう」
グレンは会議の内容を聞くのであった。
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