第121話 要塞都市ベル

グレン達は要塞都市ベルの周辺を見て回った。

此処要塞都市ベルは、半径100キロの円状の都市で、周りには高さ3メートル、幅が2メートルの外壁で囲まれていた。

外壁には東西南北に門があり、そこから商人や住民が出入りしていた。

中央には領主宅があり、そこに第一王子のレオン=ロックハートが住んでいる。

南に商業施設、北には騎士団の訓練所、西には貴族や上級住民が住んでいる地区、東には一般住民の地区に分けられていた。

グレン達が入れる場所は商業地区と一般住民地区のみで、それ以外の地区に入る為には貴族の紹介が必要になる。

グレン達は招待状が無い為、商業地区にある宿に向って部屋を確保して、全員がグレンの部屋に集まっていた。


「今から「キラービー」を使って北の騎士団の訓練場と西の貴族達のいる地区に飛ばすから、レイモンドさんは説明を頼む」


「分かりました」


キラービーは最初に北の騎士団の訓練場に向って行った。

騎士団の訓練場は街の半分を占めていて、倉庫が5か所と寮みたいなのが3か所あった。


「この倉庫にあのゴーレムがいるはずです」


「倉庫の中に入ってみようか?」

グレンはキラービーで倉庫の中に入ると.....置いているゴーレムがいなかった。


「レイモンドさん。何もないけど?」


「.....どこかに移動したのかな?」


「寮らしき建物に行って中を見てみる」

次は寮の中に入ったが.....誰もいなかった。


「騎士団が誰もいない.....」


「もしかして、既に出発したのかも知れません」


「そうなると.....領主宅に行かせる」

グレンはキラービーを領主宅に向けて飛ばした。

領主宅に着いて中に入り、部屋を隅々まで探していると、謁見室らしき部屋で声がして来たのである。

グレンはその部屋にキラービーを飛ばして中に入ると、数名の人物が会議をしている最中であった。


「グレンさん。中央にいるのがレオン兄上で、隣にいるのがレオン兄上の作戦参謀に近い立場であるベルドール伯爵と会計担当のレオドール子爵ですね。その後ろにいるのは誰でしょう? 私が知らない相手です」


レイモンドが中にいる人物を説明しているとレイモンドが知らない人物がレオンに話をするのであった。


『レオン閣下。ゴーレム軍団200体は無事にリグル王子がいるベルトンから近いダーツ村に到着しましたぞ』


『分かった。ツルギ男爵。ベルドールよ、この計画は絶対に成功するのか?』


『問題ありませんぞ? この計画はベルトン壊滅する事であります。ターツ村からベルトンに調査団を派遣して、時期を見て攻略開始としましょう』


『レオン閣下。リグル王子が改造魔物がいる研究室は何処にあるのでしょうか?』


『さっき、調査団から聞いた所ではラークシャーの可能性が高いと報告があった。それで別動隊に指示をしてラークシャーに向かわれた』


『確かあそこはレイモンド王子の拠点ですな?』


『今は違うぞ? アリオスが今は支配している』


『やっぱり....アリオスはリグル王子と繋がっているのですね?』


『そうなるだろうな。だからアリオスが誰の王子と組んでいるのか調べないといかん。しかし、リグルの方も改造魔物の準備が出きているはずだ。』


『戦いの場所は何処にしますか?』

ツルギ男爵はレオンに確認した。


『それは、第三王子のスチュワートが拠点としているローベルにしようと思う』


『それで第三王子と第二王子を抹殺したら、後はアリオス王子をどうにかするだけですね?』


『そう言う事だ。レイモンドは確か帝国から出てロマリアに流れ込んだと言う情報が出ている。多分、あいつはロマリアにいるはず。帰って来ても直ぐに捕まるはずだ。』

レオンはそう答えるとベルドールは笑いながら


『レイモンド王子は元々継承権がありませんので、問題ないかと』


『だが、アリオスは注意が必要だ。後は調査団の結果次第だな?』


『調査団はいつ此処に戻って来るのですか?』


『調査団はダーツ村に帰還しろと指示をしている。俺も明日此処から出てダーツ村に行く予定だ。この戦いは約1か月後に勃発する。それまで準備を怠るな!』


『『『『はい!』』』』


キラービーの行動時間の限界が来たのでグレンはキラービーを回収したのであった。

これらの会話を聞いた全員は沈黙していた。


「レオン兄上はアリオス兄上の存在に気が付いたのでしょうか?」


「想像だが、アリオスは三人の王子に別々の情報を公開していると考える」


「どうしてなの?」

明菜はグレンに説明して欲しいとお願いした。


「つまりだな。アリオスは各王子の情報は既に手元にあって、それを利用して三人の王子達が戦争する様に仕向けていると思う。レオンだけの情報だけでは判断できないから、明日はリグル王子の所、明後日はスチュワートの所、最後はラークシャーに向ってから、基地に戻って今後に計画を立てようと思う」


「その方が良いかも知れませんね?」

レイモンドが頷くと嫁達とマリアンヌも同意して、今日は泊って次の日にベルを出発する為、全員寝るのであった。


だが気になるのが.....レオンが言った調査団って言っていたがグレンは気になっていた。


(まさか....あいつが王子達の調査団と言ったら、つじつまが合う.....アリオスって策士だな?)

グレンはそう思って寝るのであった。





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