第118話 「サザンクロス」の中で(前編)

潜水艦「サザンクロス」の中にある作戦室で、グレン達とレイモンド夫妻とで帝国の実情を確認していたのであった。


「レイモンドさん。帝国の王子達は何処を拠点にいているのか教えてくれないか?」


『分かりました。先ず第一王子のレオン=ロックハートですが、帝国の西にある要塞都市ベルを拠点にしています。ベルは帝国でも一二を争う軍事施設がある都市で、代表的なのが人が乗って動かすゴーレムです。その数300』


「そのゴーレムってどんな姿なのですか?」

明菜はレイモンドに聞くとレイモンドは紙にゴーレムの姿を書いて見せたのであった。


「ねえねえ。これって私達の世界で放映していたアニメのロボットと同じじゃない?」

みどりはそう答えてグレンは思い出したのである。


(おいおい。これは......まるでボ○○ズじゃないか.....)


『そのゴーレムの他に大砲が30基。これは魔弾を打てる大砲です。そうですね、先のビルド戦役で使ったロマリア軍の大砲に近いと思います。しかし、ロマリアより大きさはないかと思います』


「それをベルの周りに設置していると考えられる訳だね?」

明日香は大砲の位置を確認して話す。


『レオン兄上は政治には疎いですが、戦いの戦略に関しては帝国で三本の指に入ると思います。あのゴーレム部隊1体につき騎士団が100人部隊に相当すると私は考えています。』


「つまり、武の第一王子って事か.....。次はリグル第二王子について教えて欲しい」


『リグル=ロックハート第二王子は、帝国の東にある商業都市ベルトンを拠点としています。ベルトンは帝国一の商業都市で帝国から西にある諸国との交流があります。リグル兄上は、大の女好きでありますが、策略が得意でレオン兄上に対抗して魔物を操る魔法具を開発して、オーガにその魔法具を組み込んでいます。その数1万ほど』


「そのオーガ達は何処にいると考えているのか?」


『ベルトンから南に10キロにある収容所に置いていると思っています。参考ではありますが、第三王子スチュワート=ロックハートの拠点はレオン兄上とリグル兄上との中間にあります。なので、リグル兄上はスチュワート兄上と共闘を考えているはずです。そして、スチュワート兄上の拠点は、先ほど言いましたけどレオン兄上とリグル兄上の中間にある研究都市ローベルです。此処は帝国一の研究をしている都市で此処で様々な魔法具を開発しています。スチュワート兄上は帝国の王子の中では一番の知識を持った人で、国王には興味がなかったと思っていましたが.......何故王位継承に参加したのかわからないのです。だが、魔王国との繋がりがあるのはスチュワート兄上だと私は考えています。』


「レイモンドさんは第三王子のスチュワート王子が国王に近いと思っているのか?」


『はい。そうです』


「そして、第四王子の事を聞きたいのだが?」


『第四王子アリオス=ロックハートは、私も数回しか見ていないのです。何せ拠点と思われる所から顔を出していないのです』


「第四王子の拠点は?」


『帝国の帝都から直ぐにある小さな街リズボーンって言う所です。此処は小さな街でありますが.....』


「ありますが?」

グレンは首を傾けてレイモンドに聞くと、レイモンドは静かに話をするのであった。


『リズバーンの街は、いわゆる私が拠点にしているラークシャーと同じ中立の街であります。なのでアリオス兄上は王位継承には関係ないと思っています』


「レイモンドさんはラークシャーを拠点として三人の王子に継承権争いを辞めるように説得するのだね?」


『はい』


「これは俺の考えだけど、聞いてくれるか?」

グレンはその場に居た全員に話をするのであった。


「レイモンドさんの話を聞いて、俺が今帝国の状況をあの変態女王から聞いた話を

聞いて感じたのが、帝国には魔王国の配下が既にいるって事だ」


「「「「「「え?」」」」」」

全員は驚きを隠せなかった。


『それってどう言う意味ですか?』

レイモンドはグレンに聞くのであった。


「俺は、帝国に行くのを1週間送られた理由はわかるか?」


「それって私以外の嫁、明菜さんと明日香とクラリスの「支配」を解除する為でしょう?」

みどりは話した。


「それもあるが、本当の理由は、今の帝国の状況を知っているからだ。まあ、これを見てくれないか?」

グレンは空間魔法で4つの魔法具を取り出した。

それは小さな虫の形をした物であった。


「この小さな虫見たいな魔法具は、名前を『キラービー』と言って、録画機能が付いた飛行魔道具だ。これを以前、帝国冒険者と言っていた奴から持っていた帝国の地図を参考にして各地に送ったのだよ」


「ねえ。それって以前にクラリスと同伴したあの人達の物?」

明菜はクラリスが以前に王家の墓に調査した時に同伴した人物を思い出してグレンに確認をしたのである。


「ああ。あいつ等が死んだ後、遺品の中にあったの物だ。その地図をよく見てくれ。地図に赤いマークがあるだろう?」

グレンは地図に赤いマークを付けている場所を指した。

するとレイモンドは驚いて叫んでしまった。


『これって帝国の主要都市のある場所じゃないですか!』


「ああ。俺はこのマークが帝国の都市と思って、今の魔法具を使って赤いマークの場所に放ったのだよ。一遍に数か所を見るのが無理なので、一か所ずつこれで撮影をして、一昨日、此処に帰還させたのだが......レイモンドさんにはキツイ言い方になるかと思うので先に謝って置く。それで......」


『良いですよ。気にしていませんから』


「この魔法具で分かった事は、王位継承権で一番の黒幕は.....アリオス=ロックハート第四王子だと考えられる」


『なんですって!』


「これから、説明するから聞いて欲しい」

グレンは全員に今の帝国の状況を説明するのであった。



~作者より~

遅くなりました。

次からは出来るだけ日数を少な目にして掲載しますのでよろしくお願い致します。

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