第115話 帝国出発前日 「暗殺」

ガイアスの城の謁見室でエリミアとエリーゼが話をしていた。


『お姉様。グレン達が明日「ホーリータウン」を出るみたいです。しかもグレンの嫁全員で行くそうです』


「なんですって! このままだとあの方の命令通りにはいかないわ」


『どうします?』


「直接、私達が領主宅に向ってグレンから離さないと......」


『それなら問題ないわ。私の私兵を使います。盗賊として領主宅を襲えば問題ないわ』


エリーゼが私兵を盗賊としてグレンがいる領主宅に襲撃する計画をエリミアに話して、そしてエリミアに指示をする。


『エリミア。此処に私の専属の騎士団を呼んでくれる?』


「はい。お姉様」

エリミアは謁見室を出て行くのであった。


『あの忌々しいグレンの嫁を我が支配下にしたら、此処を拠点としてロマリアとレオバードに宣戦布告するわ。あはははははは!』

エリーゼが高笑いしている時、後ろから一人の男性が声をかけた。

「おい。」


その声を聞いたエリーゼは後ろを振り返って声を出した。

『何者?』


「お前.....此処で死んでくれ。」

その男はエリーゼの首に短剣で斬り込んだ。

エリーゼの首から血飛沫が飛んで行く。


『ぐは.....お前は......ここまでか......』

更に男はエリーゼの首を落としたのであった。


エリミアが謁見室に入ると......そこに首を斬り落としたエリーゼの死体があった。


「お姉様! 誰がお姉様を殺したの!」


「俺だよ」


「貴方は.....グレン!」

エリーゼの首を斬り落とした短剣を持っていたグレンが立っていたのであった。


「そのエリーゼの顔をよく見ろ」


「はい?」

グレンからエリーゼの首を見たエリミアは.....


「これって....まさか.....」


「そうだ。魔族だ。エリーゼは魔族の配下だ」


エリーゼの首は白い蛇の首になっていたのであった。

それを見たエリミアはその場で気絶してしまった。


.....10分後、エリミアは目を覚ました。


「此処は?」


「お前の城の謁見室だ」


「グレンさん。」


「気が付いたな? 思い出したか?」


「確か。空中要塞に捕まった後、お姉様の眼を見て一緒記憶が飛んで.....気が付くとこの謁見室に貴方と貴方の嫁達と話をしていたのは憶えている....」


「今までの記憶が混乱しているみたいだな?」


「ええ? この白い蛇の魔物は?」


「エリーゼだ」


「お姉様なの?」


「ああ。慎太郎によって改造されていたのだ。それで今のお前の状態を「鑑定」したら「創造神エレナの使徒」の称号があったので今は問題ないと思う」


「はい。今創造神エレナ様の声が聴こえました。内容は今聞きました」


「それなら、問題ないな?」


「ええ。まさか....お姉様が....」


「それでお前の「称号変更」のスキルは?」


「今はありません。大丈夫です。お姉様は突然の病死として処理をします。もうすぐお姉様の私兵が此処に来ます。グレンさんは此処から出て下さい」


「分かった。後の処理は任せる」

グレンはその場を後にした。

その後、エリーゼの私兵達が謁見室に到着してエリミアがエリーゼが魔物に変化してエリミアを襲って来たのを謎の男がエリーゼを殺害したと説明して、エリーゼの亡骸は火葬にしたのであった。

エリミアは翌日、エリーゼが謎の病気で亡くなった事を国民全体に発表した。


その頃、ホーリータウンの領主宅には、グレン達とレイモンド夫婦が食堂に集まっていたのであった。

そこでグレンはレイモンドに核心の話をするのであった。


「レイモンドさん」


『何でしょうか?』


「貴方は.....本当の名前はレイモンド=ロックハート。帝国の第五王子ですね?」


「「「「え?」」」」

その場にいた嫁達は驚いた。


「俺は知っていたのですよ? 貴方が隠蔽で姿を隠していた事に」


『ばれていたのですね?』


「しかも....貴方は.....「創造神エレナの使徒」でもある」


『そこまで知っていたのですね?』


「ああ。ちなみに俺と俺の嫁達も「創造神エレナの使徒」だ」


『『え?』』


「そして、その隣の人は貴方の妹、帝国王女マリアンヌ=ロックハートですよね?」


『そこまで知っていたのですね?』


「話していただけませんか?」


『わかりました.....話ましょう』

レイモンドは淡々と話をするのであった。


『私は現国王との五番目の王子として生まれました。マリアンヌとは血がつながっていません。それはマリアンヌの両親が現国王の配下であった騎士団長と副騎士団長であります。マリアンヌが5歳の時、マリアンヌの両親が魔物の襲撃にあって殺されてしまい.....国王がマリアンヌを養女としました。その後私とマリアンヌはお互いに好きになって5年前に帝国を脱出してここロマリア王国で冒険者となって生活していました。3年前に創造神エレナ様から声を聞いて、このままだと帝国は滅亡してしまうと言われ、マリアンヌと供に帝国に戻って兄上達の争いを辞める様に嘆願しようと思ったのです。だが、状況は思わしくなくなってしまい、ロマリア女王に相談したら貴方を紹介されたのです。お願いです! 私と一緒に帝国に行って帝国の滅亡を防いで欲しいのです!』


「俺からは一言いうけど。良いか?」


『はい。』


「レイモンドさん。帝国の国王になれ。それが一番の早道だ。それは創造神エレナの神託でもある」


『はい。それは覚悟をしていました。私が国王継承権に名乗りをします。協力できますか?』


「無論」


『ありがとうございます』

レイモントはグレンに感謝をしたのであった。

すると、明菜がグレンに聞くのであった。


「あなた?」


「どうした?」


「帝国に行くのには海路で行くしかないよね? 今帝国は鎖国体制になっているから入国出来ないわよ? それと入国しても私達の身分はどうするの?」


「それは、今帝国にいるヘレンに頼んでいて、さっきヘレンから「ラークシャー」の街に来て欲しいって言っていた。レイモンドさん。ラークシャーって分かりませんか?」


『ラークシャーは、此処から海路で3日の距離にある港町です。実は.....私の配下が領主となっている街で、王位継承争いには参加していない唯一の中立の街でございます。船がありましたら、近くに小さな海岸があってそこから歩いて1日で着きます』


「レイモンドさんの言う通りにしよう。今からその海岸経由でラークシャーに向うぞ!」


「「「「了解!」」」」


「あんた。まさかだと思うけど? また作ったのね.....」


「ああ。作ったぞ。まあ見てろって」


「はあ....本当に止めてね....合体ロボとか変形ロボとか....」

明日香がそう言うとレイモンドはビックリする話を切り出すのであった。


『ちなみに第一王子には『機械人形』に乗って兵士が約2000と第二王子には頭に機械の輪を付けた『魔物』が約10000。それと第三王子には....ある物が1000ぐらいあると思います』


「レイモンドさん。ある物とは?」


『なんでも異世界人が作ったらしいのですが.....こればっかりは私にはわかりません』


「帝国の街を回っていかないと行けないのか?」


『そうとなります』


「それでは、明日の朝にホーリータウンの港にある『第10倉庫』に集合だ。クラリス。レイモンド達の案内を頼む」


「分かりました旦那様」


「みどりと明日香と明菜は、当面の食料と物資の調達を。」


「「「分かった!」」」


「俺は先に『第10倉庫』に行って準備するので今日は家に戻らないから。では解散!」


グレン達は解散したのであった。



~作者より~

次回より帝国に入ります。

オタク要素は此処から始まります。

お楽しみ


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