第107話 ハミルトン(後編)
ハミルトンに到着したグレン達は二手に別れて行動を開始した。
一つはクラリスを主とした明菜達女性陣が領主との会談で一泊する事に、もう一つはグレンの単独行動で反ハミルトン派のマンバーと会談する事になっていた。
「じゃあ行ってくる。今日の夜に『念話』で話すからな?」
とグレンは馬車から降りて行った。
「さて、行きますか。クラリス」
「そうですね。明菜」
明菜達は領主宅に到着したのであった。
入り口には憲兵がいてマリオンが声をかけるのであった。
『何か用か?』
「はい。私はクラリス=ラファエル侯爵夫人の執事でマリオンと言います。クラリス様がお見えになったと領主様にお伝えをお願いします。」
『分かった。それで隣の女性達は?』
「彼女たちはクラリス様の護衛の方でございます。」
『少し待たれよ』
憲兵が屋敷に戻り、待っていると入り口から執事らしき人が来て
『お待たせしました。クラリス様。どうぞお入り下さい。しかし、お連れの方はお断りしますので宿などでお待ち下さい』
「はあ?」
明日香が不機嫌な顔して文句を言う前にみどりが答えるのであった。
「おかしいですね? 私達はビクトリア女王から直接ご指名を受けて来たのですよ? 今女王専用の通信魔道具で確認しますが? 良いですよね?」
みどりは通信魔道具を取り出した。
それを見た執事は顔を青くなって
『直ぐに領主様にご確認をします』
と言って屋敷に戻って行ったのであった。
「みどり。そんな魔道具あったの?」
「さっき。グレンから貰ったのよ。ビクトリア女王専用の通信魔道具をね?」
マジであった。
「グレンが何かあったらその場であの変態女王を呼び出していいぞって言っていたから」
「みどり。マジで怖い....」
「私は政治家の娘だよ? 交渉事なら任してね。あの子悪党なら一回脅迫したら後は楽だから」
とみどりが言った時に執事が戻って来て
『護衛の方もどうぞお入り下さい』
「ありがとうございます」
明菜達は中に入り、マリオンは馬車に乗って待機をしてもらった。
「明菜さん。グレンに連絡をして。今すぐに」
「分かったわ」
明菜は『念話』でグレンに連絡をするのであった。
『あなた。中に入ったわ。それでどうするの?』
『皆。聞こえているか?』
『『『『はい』』』』
『今何処にいる?』
『客室に案内されて、今客室に居るわ』
『俺の方は待ち合わせの場所に着いたばかりだ。明菜。転送魔法陣を張ってくれないか?』
『待ってね』
明菜は答えて客室に転送魔法陣を張った。
『今使ったよ?』
『サンキュ。明菜。それで俺達が中に入る事が出来る。今日、決着をつけるぞ』
『『『『はい』』』』
明菜達はグレンの計画を聞いて実行するのであった。
〇〇〇〇〇〇
一方、グレンはヘレンが言っていた宿『優月亭』に入り、ヘレンが借りた部屋に入った。
其処には1組の男女が座って待っていたのであった。
「初めまして。私はグレン。冒険者だ」
『僕がロビン=イクシャスと言います。隣の彼女はシレーヌ=ハミルトンと言います。それで僕達の協力をしていただけると聞いたのですが?』
「貴方達が俺に協力して欲しい。ハミルトン子爵を拘束するのにね?」
『『え?』』
「君達はハミルトン宅に入ってハミルトン子爵に抗議するのだろう? ロビンさんの父上を返して欲しいって」
『はい』
「それって失敗するぞ?」
『私が説得するので大丈夫だと思います』
シレーヌはそう言い切ったがグレンは
「それは絶対にない。何故ならハミルトン子爵には「奴隷化」のスキルを持っているからだ。それを使ったら君達は終わりだよ? シレーヌさん。貴方は父上のスキルは知っているのですか?」
『いいえ』
「娘に自分の持っているスキルを言う親がいると思いですか? 貴方の父上は用心深く狡猾な男だ。俺がやろうとしているのはハミルトン子爵を抹殺する為にビクトリア女王から直接依頼を受けたのだよ? 自分の親が捕まえるのに覚悟がありますか?」
『......』
「それじゃあ。此処から俺が説明する。先ずはこれを見てくれないか?」
グレンは左手を捲り上げて二人に見せるのであった
『『その紋章は.....ロマリアの貴族の証.....』』
「俺の本当の名前はロマリアとガイアスの認定された貴族、グレン=レイノルズ伯爵である。ハミルトンを拘束してこの地を俺が領主としてロマリアとガイアスの女王達から任命されたのだ。君達とロビンさんの父上にはこれから俺の配下としてこの街の治安を守っていただきたい。そしてこの街の領民達を幸せに暮らせる街にしよう。」
『『.......』』
「俺はこの宿までにこの街の領民から色々と聞いた。重税をかけて生活が苦しいと言っていた。だから、俺はそれを変えようと此処に来た。だから協力して欲しい。
それとクラリスと護衛の女性は俺の妻達だ。よろしくな」
『『えええええええ!』』
「二人はどうする?」
『『お手伝いします。』』
「この事が解決したら、シレーヌさんは一領民となりロビンさんと結婚してもらい、ロビンさんとロビンさんの父上は俺の側近になってもらうので良いかな?」
『『はい!』』
「今から領主宅に行くぞ。」
『どうやって行くのですか?』
「シレーヌさんはロビンさんの手を握って。ロビンさんは俺の手を....そう。じゃあ行くぞ!」
グレンは転送魔道具を使って....消えて行ったのであった。
〇〇〇〇〇〇
クラリス達は領主の御もてなしをされている最中であった。
『これはこれはクラリス様。このハミルトンにようこそ』
「お初にお見えかける。クラリス=ラファエルだ。」
『そうぞ。お食事にしましょう。そちらの護衛の女性の方々も是非』
「いただきましょう。」
クラリスが料理を見るとみどりが念話で話をするのであった。
『みんな。この食事には睡眠薬と媚薬が中に入っているから、気を付けてね?』
『みどり、分かっている。全員。スキルを発動してね。それで無効になるから』
『『『『了解』』』』
クラリス達はスキルを発動して全異常耐性を無効にして食事を食べて行くのであった。
「これは美味しいですね」
「うんうん」
クラリス達は美味しそうに食事をしていた。
(そろそろ、効果が出るはずだ。クラリスも中々良い身体しているなあ。護衛の女性も良い....これは夜の楽しみが増えるぞ....あはははは)
ハミルトンは心の中で喜んでいるのであった。
そして、食事が終わった後、クラリスがハミルトンに話をするのであった。
「私達が此処に来た理由は....貴方を拘束する為に来ました」
『なんですって!』
「私達が来る前に私の部下達がこの街を調査しました。貴方は改造人間を100人を魔王国から買っているのは知っているのですよ?」
「それと、領民に重税をかけて借金まみれにされて女性なら貴方の性奴隷として、男性なら奴隷として魔王国に売り飛ばしているの事を全て把握しています。」
『それはそれは。ご冗談を』
「なら、其処にいる護衛の方々は何でしょうかな? 胸に魔石が組み込まれているのはどうしてですか?」
『これはネックレスですよ?』
「そうですか?」
『そうですよ?』
(何で薬が効かない? どうしてだ?)
「ちなみに今食べた料理には睡眠薬と媚薬が入っていましたよね?」
『え? そうでしたか?』
「はい。『鑑定』でわかりましたよ? しかし、その程度では私達には効きませんので。それは『全異常耐性無効』のスキルが働いて、しかもこちらのミドリさんがこの部屋全体に『浄化』を使って料理の薬効果を無効としたので安心して下さいね?ハミルトン子爵様」
ハミルトン子爵は顔を青ざめる。
「私達の『主』が言った通りでしたね?ねえアキナさん」
「そうね....それよりもまさか薬を入れて私達を性奴隷にするとは?」
「みどり。このデブおっさん...どうする?」
「明日香....もうすぐ着くから少し待ってね」
『なんじゃあ?? その『主』とは誰だ!』
ハミルトン子爵が叫びなから立ち上がると部屋から誰かが入って来たのであった。
「それは俺だ」
「「「「旦那様!」」」」
『え? 旦那様って...お前は一体何者だ!』
「おれか? 俺の名前はグレン=レイノルズで、伯爵の位をビクトリア女王からいただいている。女王の命令でこのハミルトンの領主になった者だ」
『嘘だ!』
「本当だ。其処にいる女性達は俺の妻だ。侯爵夫人に手を出したらどうなるかわかっているだろうな?」
『改造人間達出て来て、こいつらを殺せ!』
ハミルトンは改造人間達に指示をしようとするが...この場にいた改造人間以外は出て来なかったのである。
「お前の改造人間は既に灰になったぞ?」
グレンはそう言うと素早く残りの改造人間を斬り倒してしまった。
『ああ....私の改造人間達が......』
ハミルトンは頭を下げてしまった。
其処に一組の男女が入って来て
「お父様! 覚悟を決めて下さい!」
『シレーヌ! 隣にいるのはベクター=イクシャスの息子か?』
「そうだ。ロビン=イクシャスだ。さっき父上を助け出した」
「ここまでだ。ハミルトン子爵殿」
『終わりだ.....これでロマリアは終わったぞおおおおお!』
ハミルトン子爵は....その場で自殺をしたのであった。
これでハミルトンの領主の件は終わったのであった。
~作者より~
次回からグレンの領主生活が始まります。
お楽しみ下さい。
尚、更新は毎日の予定ですが、遅くなるかも知れませんので
ご了承下さい。
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