第91話 2年後②(クラリスと転生正樹の場合)
*クラリス視点*
私の名前はクラリス=ラファエル侯爵夫人。歳は22歳。未亡人です。
主人の名前はマサキ=ラファエル侯爵で2年前の戦いで死亡しました。
2年前、武装国家ガイアスがレオバード連邦へ攻め込んだが、旦那様はじめ、私と他の妻であった、アキナさんとミドリさんとアスカさんと供に空中要塞に攻め込み、元ガイアス国王の妻エリーゼ様とその妹であるエリミア様を救出。
そして、旦那様がガイアス国王を倒し、アキナさんとミドリさんとアスカさんを元いた世界『地球』に帰還させて、エリーゼ様とエリミア様と私はロマリア王国の王都の城の中に転送しまして、その後、空中要塞は旦那様と一緒に自爆しました。
その後、エリーゼ様とエリミア様はガイアスに戻り、エリミア様が女王にあり、エリーゼ様は元王妃としてガイアスを治める事になりました。
レオバード連邦は、国名をレオバード共和国に変更して副議長のロクサーヌ=ユグドラシル様が共和国の大統領になりロマリア王国とガイアス王国と中立同盟を組んだのでした。
私は当初ロマリア王国に居ましたが、ロマリア王国の貴族から結婚の申し込みが沢山あって、父上からも結婚をしたら良いかと提案されましたが、ビクトリア女王はそれを全て断ってくれたので助かりました。
理由は....今でも旦那様を愛しているからです....いやん。
それでビクトリア女王から提案でガイアス王国のエリミア女王の補佐として、今はガイアス王国の王都シン・シティ改めロイドンにある家に住んでいます。
『おはようございます。クラリス様』
メイドのベラが私を起こしに来ました。
「おはよう。ベラ」
『朝食が出来ています。』
「ありがとう。」
私は食堂に行き朝食を食べていると執事のベルトンが
『奥様。今日の予定はお忍びでエリミア女王様が外に出たいと言われていますので、城に来て欲しいと言われています。』
「分かりました。ベルトン」
ちなみに私の家にはベルトンとベラの夫妻、庭師のロイドとアニー夫妻、料理人のバッカスとミーナ夫妻を入れて計7人います。
私の主な仕事はエリミア女王様の補佐で、週に一回は外出する事になっていました。
私は着替えて城に向い、エリミア女王の部屋に入ったのでありました。
『クラリス。いつもご迷惑かけてごめんなさい。』
「いいえ。気にしないで下さい。今日はどう言った用件ですか?」
『はい。南東にあるユッケ村に行こうかと思います。』
「それって。去年、エリミア様を助けられた若者の様子を見に行くのですか?」
『まあ。それもありますが。』
「分かりました。馬車を用意します。」
『馬車は要りません。貴方の馬に乗せてくれば良いわ』
「あ...。服装を街の服装にして内密に行くのですね?」
『そそ。それと貴方も今の服じゃなく軽装でお願いしますね。』
「わかりました。」
私達は軽装に着替えて王都を出発したのでありました。
王都からユッケ村には馬で2時間程度の距離であります。
途中エリミア様は私と色々と話をするのでありました。
『クラリス。もう2年経ったのですね。』
「はい...そうなります。」
『貴方。今でもマサキさんの事、思っているのですね。』
「はい。エリミア様が旦那様が転生して生きていると聞いているので」
『私も神託を聞いたのですが、何処に転生しているのかわかりませんのよ?』
「私は来年、旦那様を探そうと思っています。」
『そうね。来年が3年目になるからね。』
「もうすぐ着きますよ?」
私達はユッケ村に着きました。
そしてユッケ村に入って一番離れた家に向って歩いていました。
「ここが、エリミア様が助けた若者の家でございます。村長から聞きました。」
『そう。』
私は若者の家の扉を叩いて
「すいません。誰かいませんか?」
『はい。どなたですか?』
「私はクラリスと言います。私の連れのエリミアさんが貴方に会いたいと言いまして来ました。」
『どうそ。入って下さい。』
私達は中に入ると20代前半の若い男が椅子に座って居ました。
その姿は銀色のロング髪を後ろに束ねてエメラルドの眼が輝いていました。
まるで...旦那様と同じ気配をしていました。
『どうぞ、座って下さい。』
若者は私達に座って欲しいと言われて私達は椅子に座りました。
『エリミアさん。この前はありがとうございました。』
「いいえ。今日はお供を連れて来ましたの。」
『そうでしたか。』
「私はクラリス=ラファエルと言います。貴方のお名前は?」
『俺の名前はグレン=レイノルズと言います。ラファエルって言うとあのラファエル侯爵夫人ですか? エリミア女王様』
「ええ。そうよ。」
「エリミア様。グレンさんは何故エリミア様を女王と知っているのですか?」
『実はエリミアさんを助けた時に教えてもらいました。』
「そうですか....。」
『それで女王様。用件とは?』
「あなたにお願いしたい事があるのです。すいませんクラリス席を外してくれませんか?」
「はい。」
私はグレン宅の外に出てエリミア女王の話が終わるのを待っているのであった。
*グレン視点*
俺の名前はグレン=レイモンズ 21歳。
昔、松風正樹として空中要塞の戦いで命を落とし、女神エレナによってこの世界に転生したのであった。
転生後は、このユッケ村から離れた森で一人モンスターを倒してレベルを上げていたのであった。
エリミアとの出会いは去年の春、エリミアが一人で城を抜け出し王都を見物していると慎太郎の生き残りの元部下がエリミアを誘拐して、俺が住んでいる森に連れて来た。
エリミアを人質にして元部下が国王させろと言う要求をしようとしていたのであった。
そこにたまたま俺がその場所にいて、元部下を倒してエリミアを助けたのであった。
その後、俺はエリミアを森の近くの村、ユッケ村に連れて行き、ちょうどエリミアを探していた近衛騎士団が滞在していたのでエリミアを渡したのであった。
ユッケ村の村長は俺を村人として扱ってもらい、一番離れた家をいただいて今は王都で冒険者登録をして森のモンスターを討伐しながら生計を立てていたのであった。
ある日、エリミアがユッケ村を訪ねて来た。
一人の女性を連れて。
俺は2人を中に案内して
「どうぞ、座って下さい。」
二人は椅子に座って、俺がエリミアに此処に住む事のお礼を言うのであった。
「エリミアさん。この前はありがとうございました。」
『いいえ。今日はお供を連れて来ましたの。』
「そうでしたか。」
俺は連れの女性を見て驚いた。
『私はクラリス=ラファエルと言います。貴方のお名前は?』
(クラリス....。元気にしていたのだな?)
「俺の名前はグレン=レイノルズと言います。ラファエルって言うとあのラファエル侯爵夫人ですか? エリミアさん」
『ええ。そうよ。』
『エリミア様。グレンさんは何故エリミア様を女王と知っているのですか?』
「実はエリミアさんを助けた時に教えてもらいました。」
『そうですか....。』
「それでエリミアさん。用件とは?」
『あなたにお願いしたい事があるのです。すいません、クラリス。席を外してくれませんか?』
『はい。』
クラリスは家の外に出た後、俺は防音結界を展開してエリミアに話をするのであった。
「おい。エリミア。どう言う事だ? クラリスを連れて来るとは?」
『まあ。良いじゃないですか?』
「それで要件とは?」
『実は女神エレナ様から神託を頂きまして、その話を貴方に伝えに来ましたの。』
「その神託って言うのは?」
『実は、来年の夏、良くない事が起きるって言っていました。』
「その良くない事って?」
『それは私にはわかりません。それよりグレンさん。今レベルはどれくらいになりました?』
「後一か月程でレベル100になる。」
『神託通りになっていますね。転職は何処にしますの?』
「シルバーレイクの教会で転職した後、旧ナイトハイム城跡に行こうと思う。」
『そうですね。その方が良いかと思います。それで転職をするとエレナ様の声が聴こえますから』
「その後はまたここでレベル上げをするつもりだ。」
『そのレベル上げですが、神託によると貴方のいる森に迷宮が出るって言われました。そこに貴方はその迷宮を突破して欲しいと言う事です。』
「その迷宮に何かあるのか?」
『そこはお楽しみにして下さい。それと迷宮に入るのにはレベル『60』以上じゃないと入れませんよ?』
「だったら森でレベル上げをするしかない。」
『レベル上げなら『シルバーレイク』の地下迷宮でして下さい。階層は50階層以降でお願いしますね。一応ビクトリア女王に伝えていますので、転職したらビクトリア女王の所に行って下さいね』
「あの変態女王の所にか?」
『ええ。それとビクトリア女王様は今年子供が出来ました。男の子ですって』
「それってガーネット侯爵との子?」
『今は表向きはガーネット侯爵ですが、裏では結婚していますよ。貴方が転生した後直ぐにね。』
「そうか....。」
『貴方への報告はこれで終わりです。』
「ありがとうな。」
『クラリスを呼んで良い?』
「ああ。」
俺は防音結界を解除して、エリミアはクラリスを呼んだ。
『それでは、私はこの辺で』
「ありがとうございました。」
『今度はクラリスが此処に来てもらいます。』
『え?』
『クラリス。顔が赤いですよ?』
「それでは、クラリス様。お待ちしていますね」
エリミアとクラリスは家を出て行くのであった。
(エリミアめ....余計な事をするなって!)
*クラリス視点*
私達はグレンさんの家を出て城に戻って行きました。
途中エリミア様が私に話をするのでありました。
『クラリス。あのグレンさんって貴方の旦那さんに似ている気がするね?』
「そうですか.....。」
『まあ。色々とあるかと思うから、今後は貴方がグレンさんの所に行くのですよ?』
「え.......。」
(どうしてだろう? .....あのグレンって言う人を見るとまるで....まさか....ね。)
私はそう思いながら城に戻り、いつもの通りにエリミア様の補佐の仕事をするのでありました。
....来年の夏....意外な出会いは待っていると知らない私であった....。
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