第75話 正樹VS亜人勇者セシル

勇者セシルと正樹の戦いは激しさを増していたのであった。

最初はお互い手加減をして攻撃していたのであったが、


『久々の強敵に会えて嬉しいぞ。』


「そりゃあ。どうも。」


『ならば、せっかくの強敵だ。此処は本気で行くとするか。』

セシルが本気を出そうと準備をしている時、リリが正樹に注意をするのであった。


「気を付けて下さい。セシルの本気を出したら、マジで貴方が負けます!」


「リリさん。それより『風精霊魔法』で俺の周りに風を覆ってくれないか?」


「分かりました。「風精霊シルフ」! この者に風の庇護を!」

リリが風精霊のシルフを呼び出して正樹の身体に風の庇護を与えた。


「正樹さん。どうして風精霊の庇護を受けのですか?」


「それは後で説明しますよ。どうやら、セシルの本気が完了したみたいだ。」

正樹は勇者セシルの姿を見たのであった。


それは白い獅子の顔でミスリルの鎧がセシルの魔力によって強化されて色が赤く染まっていたのであった。

手には普段は両手で大剣を持っていたセシルであったが今は片手で大剣を持っていたのであった。

それを見た正樹は、


(まるで、親父のコレクションにあった〇イ〇ン〇にそっくりだなあ。)


『行くぞ!小僧!』


「かかってこいやあああ!」

セシルは大剣で正樹の左から斬り込んで行く。

それを剣で受け止めて、もう一個の剣でセシルの首元に斬り込んだ....が。

セシルの首にはキズ一つもなかったのであった。

すばやく下がる正樹を追いかける様にセシルは大剣で攻めまくった。

何とか二刀流で受け止めていた正樹であったが、一緒反応が遅くなってセシルの大剣が正樹の腹に斬り込んで行く所で、間一髪かわしたと思ったが...セシルの大剣の風圧でモロに正樹の腹に命中して正樹は飛ばされて落ちた。

正樹は倒れたまま起きていない。


『良く避けたな....さすが我が強敵だ。だが、私の次の攻撃を防いでみろ。』


「何を言っている? 俺は無傷だぞ?」

正樹は立ち上がったのであった。

セシルは正樹に覆っている何かを見て


『お前。それはリリの「風精霊シルフの加護」だったのか?』


「ああ。正解だよ。」

正樹が覆っていたシルフの加護でセシルの攻撃に耐えていたのであった。

しかし、完全防御じゃなかったらしく。


(肋骨を全部折れてしまった。折れた骨は肺まで刺さっていないのがラッキーだったな。)


『それなら、俺も使わせていただくぞ「土精霊魔法ノーム」! 俺に力を与えろ!』

なんと亜人であるセシルが精霊ノームを呼び出して、セシルにノームの加護を与えたのであった。


「リリ。セシルは「精霊」を呼び出す事が出来るのか?」


「いいえ。出来ません。亜人には精霊が見えませんので。」


『ああ。これか...これはな...こういう事だ!』


セシルは鎧を脱ぎだした。

セシルの胸には左に赤い宝石、右に青い宝石。中心に黒い宝石が埋め込められていたのであった。


『あははは。俺は「ジュンイチ・オカザキ」によって改造されたのだ。おかげで俺は最強の勇者になったのだ! 青い石は魔力量が大量アップする魔石で、黒いのは時間無制限の身体強化の魔石で。もう一個の赤い石は、俺が殺したシルベールの心臓で作った魔石だ!』


「え....そんな....お兄様の心臓で作ったって? どういう事なの!」


『俺がお前の兄であるシルベールを殺したのでだ! そしてある男にシルベールに成り代わってお前を捕まえろっと言ったのも俺だ! 俺は『勇者』ではあるが、『赤い風』総隊長でもある。理由は決まっている。お前を捕らえて『精霊王』を召喚させる事、もう一つはお前の父ロクサーヌ=ユグドラシルから『エルフの至宝』を奪ってこのレオバード連邦をガイアスの支配下にする事だ!』


「お兄様........。」


『ロクサーヌを始めエルフ族は俺達亜人族がエルフの里を襲っている時に、反ワーグナー派の亜人族と協力して首都レオバードで籠城しているのだ。しかし、後一週間もすれば、武装国家『ガイアス』の強行部隊が到着して首都を攻撃をする。万が一ロクサーヌが死んでも脳だけあれば情報は聞き出せる。』


「お前...そこまで落ちたか?」


『俺は亜人の『勇者』であっても職業は『剣王』である!』

セシルは本来『剣王』であったのだが、セシルの父ヘルグ=ワーグナーが『勇者』を認定していただけであったのだ。


『お前は此処で死ねええええ!』


「お前は俺が倒すうううう!」

正樹とセシルの最後の戦いが始まった!


『行くぞ! 「獅子・斬鉄斬」!』


「こっちも! 「紅蓮・三段突き」!」


セシルは大剣で正樹の脳天に正樹はセシルの胸に高速三段突きを放った!


ズバアアアアアアアアン!


両者の剣が斬り合って行く.....て両方がただ立っていたのであったが...

一つの影がその場に倒れて行く.....。


そして最後に残ったのは....全身血だらけの正樹が立っていたのであった。

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