第69話 再会②

『聖域の神殿』の前に立っていたのは、獅子族である亜人勇者セシル=レオ=ワーグナーである。

銀色の鎧を身に纏ってただ誰かを待っているようには見えないのであった。

セシルの姿を見たリリはセシルの傍に寄って来て声をかける。


「セシル。会いたかった。」

だがセシルはリリに対して


『何故。此処に来たのだ?』


「それは、貴方が手紙で此処で待ち合わせしょうと書いていたのじゃない」


『そう言う事か...。』

セシルは誰がリリを此処まで来させたのかが分かったように答えた。


「それで私に話って何かな?」


『それは.....。』

セシルが躊躇っていると隣からフードを被った二人が姿を出した。

フード姿の二人は体格から男女だと思われる。

そして女性の方が開口一番に声を出したのであった。


「やあねえ。セシル君。ちゃんと説明しなきゃダメじゃないの?」

続いて男性の方も声を出して

「そうだよ。勇者セシル。聖女リリアンヌさんが困っているよ?」


「セシル。この二人は?」


『....。』

セシルはただ沈黙しているのであった。

それを見た男性は、


「勇者セシルが言いたくないので私の方から言わせていただくよ。聖女リリアンヌさん。貴方のユニークスキル『精霊王召喚』で精霊王を召喚して欲しい。我が王の為に。」


「リリさん。こっちへ早く。」

正樹がリリに言ったのを聞くとリリは正樹の所に戻ったのであった。


「お前は誰だ?しかも我が王とは一体誰の事を言っている。」

正樹はフードの男女に問いただした。


「あれえ.....そこにいるのは松風正樹君じゃないか? 約5年ぶりかな。」


「何故俺の事知っている?」


「それはね....。」

フードの男性はフードを脱いで顔を見せた。

その顔は20代前半の若い男で....しかも日本人。

それ見た正樹は


「貴方は....岡崎純一さん。」


「そうだよ? 正樹君。おや...隣にいるのは...緑川明菜さんじゃありませんか?」

岡崎純一は明菜を見ると懐かしそうに話して来る。


「まさか...純一さん...生きていたの?」


「そうだよ。明菜さん。僕は5年前に此処に転移して来たんだ。ついでに隣は...。」

純一が隣の女性に向けると女性はフードを脱いて明菜に答えるのであった。


「やっぱ。明菜じゃん。私よ。西村久美子だよ。」


「久美子さん....。貴方も此処に?」


「私も同じよ。5年前に此処に転移したのよ? ああ...そう言えば慎太郎も此処にいるよ? やっぱ彼に会いたいのでしょう? だって恋人同士だもんね。」


「「え?」」

みどりと明日香は今の状況が分かっていないので驚いている。

正樹は2人に尋ねるのであった。


「あんた等。此処に来たのはガイアス国王の葛城慎太郎の命令だよな?」


「その通りだよ。流石正樹君。慎太郎が欲しがっていた人物だ。実は、リリさんに「精霊王」を召喚してもらって精霊王の魔石が欲しいのだよ? それと明菜さん。一緒に来ない?」


「リリさんは俺の依頼主で、明菜は俺の嫁だ。手を出すと....殺す」

正樹は純一に睨みつける。


「そうかあ.....正樹君...君は明菜さんを抱いたのか? これはいかんなあ...慎太郎は初物好きだから。それじゃあ.....明菜さんはいらないか。あはははは。」


「ええ....純一さん。慎太郎さんに言って。貴方とは恋人でもないから!」

明菜は怒りを込めて言った。

其処には慎太郎との関係で何かがあったと正樹は思ったのであった。


「ねえねえ。早くそこのエルフをお持ち帰りしようよ? 慎太郎のあのスキルを使ったら、あのエルフは必ず言う事を聞くのは分かっているのだから。」


「そうだね。でも正樹君と明菜さん。そこの女子高校生2人と女性騎士は正樹君との関係は?」


「「「嫁です!」」」

みどりと明日香とクラリスは揃って答えたのであった。


「なるほどねえ.....そう言う事ですか。正樹君。君は意外とハーレム状況になっているのだね。」


「そりゃどうも。それでリリさんを奪うのか?」


「そこで、このセシル君の登場です。さあ。勇者セシル。聖女リリアンヌさん以外の人達を殺してリリアンヌさんをこちらに連れもどせ!」


『....分かりました...。』


「おい。純一さん....いや岡崎純一! あんた、セシルさんに何をしたのだ! 答えろ!」


「それはね....。セシルは私の人形なんだよ?」


「分かった? それじゃあ。僕達は此処で失礼するよ。色々とやる事があるのでね。」


「じゃあねえ。明菜。また会ったら遊びましょう!」

そう言って岡崎純一と西村久美子は消えて行くのであった。


「おい。待てええええええ!」


「.....慎太郎さんが...生きているんだ...。」

明菜は呆然となっていたのであった。


「明菜!」


「....。」


「明菜!しっかりしろ!今は此処をどうにかしないと俺達マジで死ぬぞ!」

正樹は明菜の頬をピンタをして言うのであった。


「正樹...今は此処をどうにかしないと行けないのよね?」


「そうだ。」


リリはセシルに声をかける。

「セシル! どうしたの? 何であの人達の人形って何なのよ!」


『....あはははははは! 我は勇者セシル! 其処の悪魔どもを退治して聖女を我が主の元に送り届けるのが我の使命!』


セシルは剣を取り出して戦闘の準備に入る。


「みんな! 勇者セシルを止めるぞ! リリさんは離れていて! 明菜! リリさんへ結界魔法を!」


「分かった! リリさん。そのままでいて下さいね」

明菜はリリの周りに防御結界と魔法防御結界を張った。


「行くぞ!」


「「「「お!」」」」

正樹達と勇者セシルとの戦いが始まった。




~作者より~

本日、累計10万PVに達しました。

これも読者の皆さんのお陰です。

これからもよろしくお願いします





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